成長を促すステップ ~行動を変える「フィードバック」と「叱り」~|はじめての学級経営⑲
~子どもが“自分で変わろう”と思える声かけとは?~
この記事は…
✅子どもの行動を変えたいのに、どう伝えればいいか分からない…
✅注意しても、また同じことを繰り返してしまう…
✅叱るのが苦手で、つい感情的になってしまう…
こんな悩みや疑問にお答えします。
学級経営の中でも、「子どもの行動をどう変えていくか」は多くの先生がぶつかる壁です。
💭一生懸命伝えているのに、なかなか行動が変わらない…。
そんな経験もあるのではないかと思います。
実は、子どもが行動を変えるとき大切なのは「自分で気づく」ことです。
ただ叱るだけでは伝わらない場面も、伝え方の工夫次第で行動を変えるきっかけになることがあります。
本記事では、子どもが“自分から変わろう”と思える伝え方のコツとして、
「フィードバック」と「叱り」の技術を具体例とともに解説します。
最後まで読むと、
✅子どもの行動変容につながる「伝え方の型」が分かる
✅叱ることに苦手意識を持っている先生も、自信をもって声をかけられるようになる
そんなヒントが見つかりますよ。
▼はじめての学級経営シリーズ📚▼
※シリーズの全記事が収録されています。
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<目的>
子どもの行動変容を促す伝え方を身につける
<要約>
子どもの行動は、「叱る」か「褒める」だけで変えられるものではありません。子ども自身が行動を振り返り、自らの気付きに基づいて行動を選択できるように導く必要があります。その鍵となるのが「フィードバック」と「叱り」の技術です。本記事では、行動に働きかける2つの技術の違いと活用方法を明らかにし、明日から使える具体的な伝え方を紹介します。
<関連コンテンツ>
【子どもを伸ばす関わり方】についての記事をまとめています。
【はじめての学級経営⑯子どもを伸ばす7つの関わり】
👆全体像がよく分かります
【はじめての学級経営⑰「承認」「共感」の技術】
👆子どもと信頼関係を築くための技術です
【はじめての学級経営⑱「励まし」「褒め」「価値付け」の技術】
👆自信と意欲を育てるための技術です
1.人はどんなときに行動を変えるのか

人がどんなときに行動を変えるのかを理解しよう
子どもであったとしても、人が変わるということはそうありません。
ですが、子どもの成長を最大限まで促すことが教師の本分です。
そこでここでは「人はどんなときに行動を変えるのか」を学びます。
人が本当に行動を変えるのは、「他人から言われたから」ではなく、「自分で気づいたとき」です。
では、どんなときに人は“気づき”、行動を変えるのでしょうか。
ここでは、行動が変わる6つの理由と認知行動療法について解説します。
⑴ 人が行動を変える6つの理由
①【違和感】
今のやり方にモヤモヤを感じたとき
②【理想】
なりたい自分や目指す姿を想像できたとき
③【達成感】
やったことがうまくいったとき
④【成功体験】
小さな成長を実感できたとき
⑤【納得感】
自分で理由が理解できたとき
⑥【環境変化】
周囲の雰囲気が変化したとき
①【違和感】今のやり方にモヤモヤを感じたとき
「このままじゃまずい」
そんな小さな違和感は、行動を見直すきっかけになります。
例えば、朝の準備が毎日バタバタしている子どもたちに、「今の準備の様子を動画で見てみよう」と言って録画を見せる。
客観的に自分たちの行動を見たとき、「思ったより騒がしかった」「机の上がぐちゃぐちゃだ」と、自ら気づくことがあります。
違和感を抱くきっかけをつくることで子どもの行動変容を促すことができます。
②【理想】なりたい自分や目指す姿を想像できたとき
子どもたちは、
💭「あんな人になりたい」
💭「こんなクラスになりたい」
という理想を思い描いたときに、自分の行動を見直すようになります。
学級経営で言えば、"学級目標"や"個人目標"がこれに当たります。
また「価値付ける」「フィードバックする」「叱る」技術によって、よいモデルや理想像をイメージしやすくなります。
③【達成感】やったことがうまくいったとき
「うまくいった!」という実感は、継続への活力になります。
とはいえ、人は自分ができるようになっていることに気付けないことがあります。
達成していることを自覚していないのですね。
そこで、「○○していたね」「○○できたね」と担任が言葉にして伝える。
つまり「承認する」「褒める」「価値付ける」技術などを使います。
他人に言われることで、達成感を抱き、次の行動に移す動機付けになることもあります。
成功体験を言語化し、振り返る時間をつくることが大切です。
④【期待感】大切な誰かに期待されていると感じたとき
💭「先生が信じてくれている」
💭「おうちの人が応援してくれている」
このようなポジティブなプレッシャーは、子どもの行動を前向きに変えるきっかけになります。
「自分なんて…」と思っていた子でも、誰かが「できるよ」と言ってくれた瞬間に、一歩を踏み出すことがあります。
「君ならできる。信じているよ。」
「一緒にやってみよう」
などの「励ます」技術によって期待感を子どもに伝えることができます。
⑤【納得感】自分で理由が理解できたとき
最も深い気付きは
「ああ、そういうことだったのか」
と腑に落ちたときです。
納得できれば、子どもは「じゃあ、次はこうしよう」と自然と行動を切り替えます。
人は指示されたからではなく、自分で気づいたときに行動を変える力を持っています。
教師の役割は、そうした気付きを促す「きっかけ」を意図的に仕掛けることです。
⑥【環境変化】周囲の雰囲気が変化したとき
周囲が変わってきたときに「自分も変わらなきゃ」と行動を変える【⑥環境変化】といった要因もあります。
これまで解説してきた「人が行動を変える理由」
【①違和感】
【②理想】
【③達成感】
【④期待感】
【⑤納得感】
によって一人一人が行動を変え、それが広がり学級の雰囲気がよい方向に向かう。
このように、一人ひとりの変化が少しずつ積み重なることで、クラス全体に前向きな雰囲気が広がり、
これまであまり積極的でなかった子どもにも変化が生まれます。
まるで静かな水面に石を落としたときの波紋のように、誰かのよい行動がじわじわと広がり、周囲にも影響を与えていきます。
最初は中心にいた数人の変化かもしれませんが、その波紋はやがて教室全体に届き、「自分も少しやってみようかな」という気持ちを引き出していきます。
このような「正のスパイラル」に入れば、学級経営の勝ちパターンに乗ったと言っても過言ではありません。
これが「子どもを伸ばす7つの関わり」で目指しているゴールです。
⑵ "気付き"で人は変わる

人が行動を変えるためには、「気付き」が不可欠です。
では、その“気付き”をどう生み出すか。
そのヒントになるのが、心理学で用いられる認知行動療法のABCモデルです。
<認知行動療法のABCモデル>
認知行動療法(CBT)とは、
「認知(ものの捉え方や考え方)」と「行動」に働きかけて、気持ちを楽にしたり、問題を解決しやすくするための心理療法(精神療法)
のことを言います。
私たちは、何か出来事が起こったとき、その出来事をどう受け止めるか(認知)によって、気分や行動が大きく変わります。
たとえば、同じ「先生に注意された」という出来事でも、「自分はダメだ」と考えるか、「次に活かそう」と考えるかで、気持ちや行動が違ってきますよね。
認知行動療法では、ストレスや悩みの根本にある「考え方のクセ」や「行動のパターン」に注目し、
より現実的で柔軟な考え方や行動を身につけることを目指します。
そして今回紹介する「ABCモデル(ABC理論)」は、私たちの感情や行動がどのように生まれるのかをわかりやすく説明するための枠組みになります。
<ABCモデルと【子どもを伸ばす関わり方】>
<ABCモデルとは>
A(Activating event)出来事
「何が起こったか」
B(Belief)捉え方 ※直訳は信念
「その出来事をどう受け止めたか」
C(Consequence)結果
「その結果としてどんな感情や行動になったか」
認知行動療法では、このように
「出来事(A)」が起こり、それに対する「捉え方(B)」をもとに「結果(C)」として人の感情や行動が引き起こされる
といった理論で「感情・行動」を説明しています。
子どもが出来事(A)をどう捉えるか(B)によって、その後の行動や感情(C)が変わるという考え方です。
では、教師の働きかけは、この「出来事(A)」「捉え方(B)」「結果(C)」に影響を与えるものなのでしょうか。
【子どもを伸ばす7つの関わり】がどこに影響を与えているのか、整理してみましょう。

・「②共感する」は"捉え方/認知(B)"を受け止める技術
・「④褒める」は"結果(C)"を称賛する技術
※「①承認する」も存在承認以外はCに働きかけている
・「③励ます」や「⑤価値付ける」は"捉え方/認知(B)"に働きかける技術
・「⑥フィードバックする」はABCに働きかける、気付きを促す技術
・「⑦叱る」もABCに働きかける、行動を変えることを促す技術
これから学ぶ【⑥フィードバックする】【⑦叱る】はABCすべてに働きかける関わり方です。
他の5つに比べると難易度が高い技術ではありますが、使いこなすことができれば、教師としての技量はぐんと上がります。
【まとめ】
⑴人が行動を変える6つの理由
①【違和感】
今のやり方にモヤモヤを感じたとき
②【理想】
なりたい自分や目指す姿を想像できたとき
③【達成感】
やったことがうまくいったとき
④【成功体験】
小さな成長を実感できたとき
⑤【納得感】
自分で理由が理解できたとき
⑥【環境変化】
周囲の雰囲気が変化したとき
⑵"気付き"で人は変わる
<ABCモデルとは>
A(Activating event)出来事
「何が起こったか」
B(Belief)捉え方
※直訳は信念
「その出来事をどう受け止めたか」
C(Consequence)結果
「その結果としてどんな感情や行動になったか」
2.フィードバックする技術

子どもに気付きを促す"フィードバックする技術"を身につけよう
ではここからは"フィードバックする技術"についてみていきましょう!
学級全体に向けて「フィードバック」ができるようになると、子ども達に気付きを促すことができ、行動を変えるきっかけになります。
⑴ フィードバックとは何か?
そもそも「フィードバック」とはどんな関わり方なのでしょうか。
フィードバックはビジネスにおいて上司が部下に対して行う"評価"というイメージが強いかもしれません。
ただ、教師が学級で使う「フィードバック」は少しちがいます。
そこではじめに「①一般的なフィードバック」
次に「②教師が使いこなしたいフィードバック」
について学んでいきましょう!
①一般的なフィードバック
フィードバックとは、「行動や結果に対して情報を返すこと」です。
これは「褒める」「叱る」とは違い、事実を淡々と伝える技術です。
たとえば次のような場面が該当します。
「今、班の中で○○さんがメモをとっていたね」
「発表のときに、○○さんの声は後ろまでしっかり届いていたよ」
スポーツのコーチが「今のスイングは最後まで振り切れていたね」と伝えるのもフィードバックです。
このように、観察した事実を相手に返すのがフィードバックの基本です。
②教師が使いこなしたいフィードバック
教師が使うフィードバックには「教師目線での見え方」が含まれることが特徴です。
より具体的に言うと、
教師の目線から「行動の事実」「その影響」「見え方」を返すこと
です。
感情的な判断ではなく、事実をベースにした見え方を伝えることで、子どもの望ましい行動を引き出すことを目的としています。
単に「○○していたね」と伝えるだけでなく、
「○○さんが意見を聞いてうなずいていたね。あれを見て、話していた人は安心したと思うよ」
のように事実やその影響、客観的な見え方を淡々と伝えます。
つまり、フィードバックとは“行動の鏡”。
教師が「どのように見えたか」を言語化することで、子ども自身が自分の行動を客観視できるようになります。
フィードバックとは"行動の鏡"
相手からの「見え方」を伝えることで、自分を客観視して気付き、行動を変えるきっかけをつくります。
⑵ フィードバックの型

フィードバックには、基本的な型があります。
それが以下の3ステップです。
①事実(何があったか)
→実際に起きたことを具体的に述べる
②影響(どんな結果を生んだか)
→その行動がもたらした結果を伝える
③見え方(どんなクラスに見えるか)
→その行動がどう見えていたかを伝える
この3つをセットにすることで、子どもたちは「なるほど、自分たちの行動はそう見えていたのか」と理解しやすくなります。
フィードバックの基本は「【事実】【影響】【見え方】を伝えること」と覚えておきましょう。
⑶ フィードバックの種類
フィードバックは「④褒める」「⑤価値付ける」とちがって、ポジティブなことだけでなくネガティブな行動にも着目します。
そのため、フィードバックには
①ポジティブフィードバック
②ネガティブフィードバック
の2種類があります。
これらについて、教室でクラス全体に向けて行うフィードバックの具体例を紹介しながら解説します!
①ポジティブフィードバック
【定義】
望ましい行動を強化し、継続・発展させるためのフィードバック
【目的】
行動の「再現」を促す/クラスの価値観として定着させる
【具体例】
(事実)
先生が「並びます」と言ったら、口を閉じて素早く整列をすることができていました。
(影響)
おかげで、全員が安全で速やかに避難することができました。
(見え方)
みなさんは「いざという時にすぐに動けるクラス」なのかもしれないね。
このポジティブフィードバックを使うことで、子どもが当たり前だと思っている良い行動に光を当てます。
これによって「私たちは"すぐ動ける"」というと"捉え方"を伝え、望ましい行動を促すように働きかけることができるのですね。
②ネガティブフィードバック
【定義】
望ましくない行動に気づかせ、改善を促すフィードバック
【目的】
行動の「内省」と「修正」を促す
【具体例】
(事実)
掃除が終わった後に机がぐちゃぐちゃなまま教室移動をしました。
(影響)
机が邪魔で準備が遅くなり、図工の授業に遅れました。
(見え方)
「時間を守れない、だらだらしたクラス」に見えたかもしれませんね。
ネガティブな内容でも感情を交えず、淡々と
"事実→影響→見え方"
つまり、"事実とその意味"を伝えるこで、
子どもたち自身が改善点に気付くきっかけをつくることができます。
【まとめ】
✅フィードバックとは"行動の鏡"
相手からの「見え方」を伝えることで、自分を客観視して気付き、行動を変えるきっかけをつくる
✅フィードバックの型【3ステップ】
①事実(何があったか)
→実際に起きたことを具体的に述べる
②影響(どんな結果を生んだか)
→その行動がもたらした結果を伝える
③見え方(どんなクラスに見えるか)
→その行動がどう見えていたかを伝える
✅フィードバックの種類
①ポジティブフィードバック
→望ましい行動を強化し、継続・発展させるためのフィードバック
②ネガティブフィードバック
→望ましくない行動に気づかせ、改善を促すフィードバック
3.叱る技術

子どもに行動変容を促す"叱る技術"を身につけよう
先ほど解説した"フィードバック"は「子ども自ら気付きを促すことができる」という強みがありました。
これは裏を返せば「自分で気付けなければ行動が変わらない」というデメリットもあります。
そこで登場するのが「叱る」技術です。
ここでは【子どもを伸ばす関わり方】の中でもトップクラスにむずかしい「叱る」について学びましょう!
叱る目的は?
→⑴気付きと行動変容を促す「叱り」
いつ叱る?
→⑵叱るタイミング
どうやって叱る?
→⑶叱る3原則/⑶叱り方5ステップ
⑴ 気付きと行動変容を促す「叱り」

そもそも何のために子どもを叱るのでしょうか。
叱る目的は、
相手の行動を変えること
より詳細に説明すると、
望ましくない行動を減らし、望ましい行動を増やすことで成長を促すこと
が叱る目的です。
叱るとは、「相手の成長や安全のために、感情をコントロールしながら、事実に基づいて理由や解決策を伝える行為」です。
「怒る」との違いは、感情の発散でなく、成長のための冷静な指導であること。
怒ることで自分がスッキリしたいだけならそれは「叱る」ではなく「攻撃」になります。
たとえば、こんな例は攻撃になります。
<NG例>
「なんでこんなことしたの!」
「あなたはいつもふざけてばかりでダメな子です」
→感情的・人格攻撃
とはいえ、このような「ダメな例」を多くの人は知っています。
それでもうまく叱ることができずに、クラスが荒れ気味になっていくのには原因があります。
それは、
✅正しい叱り方を知らない
→教員養成大学であったとしても「このように叱りますよ」という具体的なノウハウを教わることはほとんどありません。そのため、今まで自分が叱られた経験から感覚的に叱っている人が多いのが現状です。
✅そもそも叱った経験がほとんどない
→叱るというのは相手の成長を促すためのものです。そのため、相手を伸ばす必要のない関係性(友人など)であれば叱る必要はありません。学生時代に"叱る"という経験がないため、叱ることが苦手な人が多くなるのは実は当り前のことなのですね。
つまり、叱る技術を身につけるために必要なのは、
✅"正しく叱る方法"を知ること
✅"正しく叱る経験"をすること
この2つになります。
そこでここから先は「正しく叱る方法」を「タイミング」「原則」「叱り方5ステップ」に分けて解説していきます。
学級経営の基本であり、肝でもある「叱る技術」を身につけましょう!
⑵ 叱るタイミング
私の場合、次の3つの基準をもとに叱るか/叱らないかという判断をしていました。
<叱るタイミング・3つの基準>
①相手の心や体を傷つけたとき
②ともに決めた約束を守らなかったとき
③できるのにやらなかったとき
この3つは上から優先順位が高いケースになっています。
つまり、最も優先すべきタイミングは
「①相手の心や体を傷つけたとき」
この叱る基準は必ず4月に共有します。
次に「②ともに決めた約束を守らなかったとき」。
クラスとしてのルールや目標ができた後に、それを守らなかった場合、叱ります。
最後に「③できるのにやらなかったとき」。
クラスとしてさらに成長を加速させていくタイミングで、この基準をもとに叱り、行動変容を促します。
【叱る基準①】相手の心や体を傷つけたとき
先ほど紹介した叱るタイミングと優先順位。
<叱るタイミング・3つの基準>
①相手の心や体を傷つけたとき
②ともに決めた約束を守らなかったとき
③できるのにやらなかったとき
こちらはマズローの欲求階層をもとにして「叱る基準」を決めています。

「①相手の心や体を傷つけたとき」というのは主に「生理的欲求」や「安全の欲求」を脅かすときです。
例えば、
✅身の危険がある行動をしたとき
→安全確保のため
✅トイレでふざけていたとき
→安心して用を足せる環境をつくるため
✅暴力・暴言があったとき
→クラスを「安心して学べる場所」にするため
このような場合は、たとえ子どもとの信頼関係ができる前であっても叱ります。
関係構築より「安全安心な環境」が優先されるためです。
【叱る基準②】ともに決めた約束を守らなかったとき
良好な人間関係の中で互いに切磋琢磨できる集団を育てるために必須なのが、「互いの自由を尊重する」ことです。
そのため、集団にはルールが必要です。
例えば、広く見れば「国」も集団の一つ。
国には憲法があり、法律があり、規則があります。
これも「互いの自由を尊重するための約束」です。
とはいえ、法律を犯した場合は罰せられますが、学級のルールで罰する必要はありませんよね。
ただし、スルーもしてはいけません。
皆が納得した上でつくったルールを破っている子どもがいたとして、その姿を他の子ども達は見ています。
そこで見逃してしまうということは、暗に「ルールは破ってもいい」と教えていることになっていまいます。
そのため、学級全体でつくったルールを守らなかった人がいた時には、「それは、ちがいます。やめなさい。」と毅然とした態度で叱ります。
<学級ルールの例>
✅人の話を最後まで聞く
✅反応(リアクション)をする
✅相手に聞こえる声量で話す
✅ちくちく言葉(ネガティブ発言)を減らす
✅ぽかぽか言葉(ポジティブ発言)を増やす
✅あいさつをする
など
【叱る基準③】できるのにやらなかったとき
先ほどの【マズローの欲求階層】。

叱る基準①②は以下の欲求に働きかけるものでした。
【叱る基準①】相手の心や体を傷つけたとき
→「生理的欲求」「安全の欲求」
【叱る基準②】ともに決めた約束を守らなかったとき
→「所属と会いの欲求」「承認の欲求」
そして「【叱る基準③】できるのにやらなかったとき」。
これは「自己の能力や可能性を最大限に発揮したい」という「自己実現の欲求」に働きかけるものです。
そのため、最も高次な【叱る基準】になります。
より成長を促し、互いに切磋琢磨できる集団に育てていく段階になったとき、この叱る基準を設けます。
✅できる(かもしれない)のにやろうとしない
✅もっとできるのに手を抜いている
このような場面で叱ることによって、望ましい行動を増やし、成長を加速させていきましょう。
<補足>マズローの欲求階層説とは?
マズローの欲求階層説(Maslow’s hierarchy of needs)は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した、人間の欲求を5つの段階に分けて説明する心理学理論です。
【マズローの欲求階層説の概要】

生理的欲求
生命維持に必要な基本的な欲求。食事、睡眠、排泄、呼吸など。
安全の欲求
身体や心の安全を求める欲求。経済的安定、健康、安全な住環境など。
社会的欲求(所属と愛の欲求)
他者と関わりたい、社会や集団に所属したいという欲求。友情、家族、愛情など。
承認の欲求
自分や他者から認められたい、尊敬されたいという欲求。自信、自尊心、他者からの評価など。
自己実現の欲求
自己の能力や可能性を最大限に発揮したいという欲求。創造性、成長、自己実現など。
<叱るタイミング・3つの基準>
①相手の心や体を傷つけたとき
→学級開き直後の4月から
②ともに決めた約束を守らなかったとき
→学級目標や学級のルールができたら
③できるのにやらなかったとき
→成長を加速させたいタイミング(例:夏から秋)
※ここから先はメモ書きになります。ご了承ください。
⑶ 叱る3原則
ここからは具体的な【叱り方】を見ていきます。
①感情を整えてから伝える
→ 怒りのピークは6秒。深呼吸をして、叱り方の構成を考えてから話す。※タイミングを逃さないように速やかに。
②行動にフォーカスする
→ 人格ではなく、行動の何が問題だったのかを明確に。
③未来につながる言葉を使う
→「次はこうしよう」「君ならできるよ」と前向きに締める。
⑷ 叱り方5ステップ
<個別指導編>一人または少人数に向けた叱り方
⓪(全員が)"落ち着いた"環境にいる/感情である
①状況確認
・「何があったの?」「きっかけは?」と事実を聞く
・「どんな気持ちだったの?」と感情を聞く
②共感
・「悲しかったんだね」「悔しかったんだね」と受け止める
③振り返り
・「何がいけなかったと思う?」「次はどうする?」と考えさせる
④指導
・「○○はダメ。理由は○○だから。次は○○しよう」と具体的に
⑤励まし
・「次はきっとうまくいく」「君ならできる」と前向きに締めくくる
※【例外】繰り返す場合は、「信じられません。もし変わろうと思うのであれば、行動で示してください。」と伝えることもある。
<全体指導編>クラス全体に向けた叱り方
⓪静寂
手を止めさせ、静かにさせる
①承認
直前の望ましい行動を承認する
②事実共有
事実を共有する
「こういうことがありました。」
③指導
指導(叱る)する
「それはちがいます。」
④感情
感情と改善点を伝える
「とても残念(悲しい)です。」
「次は○○してください。」
⑤終末
スパっと切り上げる。
「話は以上になります。」
<学習のまとめ>

今回は学級経営の基本である「フィードバックと叱りの技術」について解説しました。
まとめると、
・子どもが行動を変えるのは、“気付き”があるとき
・フィードバックは、行動を鏡のように映して自覚を促す
・叱りは、冷静に未来に向けて行動を修正する指導
お疲れさまでした!
この記事を通して、「今更こんな当たり前のこと聞けない…」と困っている先生の力に少しでもなれていたらうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お相手はもみじでした。
また次の記事でお会いしましょう👋
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