「承認」「共感」の技術~安心感とつながりをつくるステップ|はじめての学級経営⑰
~信頼関係の土台をつくる「承認」と「共感」~
この記事は…
✅子どもとの距離がなかなか縮まらない…
✅注意した後、なんだか子どもがよそよそしくなった気がする…
✅もっと安心して過ごせる学級をつくりたい…
そんな悩みや疑問を解決します。
学級経営において最も大切なのは、「子どもたちとの信頼関係」。
でも、どうやってその土台を築いていけばよいのでしょうか。
特に「落ち着きがない」「話を聞いてもらえない」といった場面では、つい注意や指導に意識が向いてしまいがちです。
しかし、そんなときに必要なのは、人を惹きつける才能ではありません。
「承認」と「共感」という技術です。
本記事では、子どもとの信頼関係を築くために、教師ができる「承認」と「共感」の技術について、具体例とともにご紹介します。
最後まで読むと、日常の中で信頼関係を育むコツがわかり、「このクラス、なんだかあったかいな」と感じられる雰囲気づくりができるようになっていきますよ。
この記事を読むと…
✅子どもの「承認」につながる言葉がけのバリエーションが手に入る
✅「共感的にかかわる」とはどういうことかが分かる
✅トラブルや注意のあとに信頼関係を深めるヒントが見つかる
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<目的>
子どもと信頼関係を築く関わり方を身につける
<要約>
「子どもとの関係がうまくいかない」「注意ばかりになってしまう」「クラスが落ち着かない」そんな方に向けて、この記事では、子どもとの信頼関係の土台を築くために欠かせない「承認」と「共感」の技術を紹介します。子どもとつながるための具体的な声かけや態度がわかれば、日々の関わりが少しずつ変わり始めます。
<関連コンテンツ>
【はじめての学級経営⑯子どもを伸ばす7つの関わり方】
今回の記事では前回の記事で紹介した【7つの関わり方】から「承認」「共感」について詳しく解説します。
【はじめての学級経営⑱「励まし」「褒め」「価値付け」の技術】
👆7つの関わり方「③励ます」「④褒める」「⑤価値付ける」について解説
【はじめての学級経営⑲「フィードバック」「叱り」の技術】
👆7つの関わり方「⑥フィードバックする」「⑦叱る」について解説
1.【マインド】子どもと信頼関係を築くための心構え

前回の記事では、子どもを伸ばす関わり方の全体像を解説しました。
<子どもを伸ばす関わり3ステップ>
【ステップ1】「安心とつながり」のステップ👈今回はここ!
<目的>
信頼関係の土台を築く
<関わり方>
①承認する/②共感する
【ステップ2】「自信と意欲」のステップ
<目的>
心のエネルギーを充電して、勇気を育てる
<関わり方>
③励ます/④褒める/⑤価値付ける
【ステップ3】「行動変容」のステップ
<目的>
よりよい方向に導き、成長を促す
<関わり方>
⑥フィードバックする/⑦叱る
今回はこの中で、「①承認する」「②共感する」を中心に、理論と実践を紹介していきます。

まずは、子どもとの関係ができていない状態を想像してみてください。
新学期の4月や学級が荒れていて関係がうまくいっていないような場面です。
このように「これから信頼関係を築く」段階では、担任として持っておきたいマインドがあります。
⑴ 子どもの心をひらくには、まず「安心」から

学級経営の土台にあるのは、「安心感」です。
どれだけ良い指導法やシステムがあっても、子どもが心を閉じていては機能しません。
安心感とは、「この先生のそばにいて大丈夫」「ここにいていいんだ」と思える感覚です。
信頼関係は、自然には生まれません。
教師の側が意図的に「つくる」ものです。
怒る前、叱る前に、まずは「安心できる存在」であることが大切です。
担任が子ども達の「安心できる存在」になるために、やることはたったひとつです。
担任が子ども達の"味方"でいると決める
今ここで、「自分は子ども達の味方でいる存在だ」と心に決めてください。
私は革新的でオリジナルな実践もなければ仙人レベルの授業力もありません。
それでも、アンケートで「クラスが楽しくない」と答えたクラスの児童は一人もいませんでした。
つまり私は、"安心感のある学級"をつくることには長けています。
そんな私が学級担任を持つとき、必ず心に決めていたことが、
担任が子ども達の"味方"でいると決める
です。
学級開きでも子ども達に伝えていました。
あまり権威性を語るのは好きではありませんが、
「まぁ、実績があって言っているなら信じてみてもいいかな」
と思い、行動する人が一人でもいてくれたらうれしいな、と思っています。
まとめると、
担任が子ども達の"安心できる存在"になるための第一歩は、
【子ども達の"味方"でいると決めること】
<おまけ>
大塚愛さんの「フレンジャー」という曲が私が抱いていた【担任としての子ども達への想い】にピッタリな歌詞でした。
何かに迷ったら 思うようにして
いつだって 君の味方でいるよ
どんなストーリーもありえる世界で
いつだって君を受け止めてあげる
何かイヤになったら できる限りで
いつだってそこにかけつけてあげる
何もいらないさ 好きにすればいい
いつだってそこにいてあげるんだ!
⑵ "子どもの現在地"を認めよう【4つの色眼鏡を外そう】

先ほど、
担任が子ども達の"味方"でいると決めよう!
と書きました。
ですが残念ながら、心に決めただけでは、子どもとの関わり方は大きく変わりません(もちろん、まずは決意することは大切です)。
なぜなら、教師は大人であり、子どもよりも「視座が高い」からです。
子どもより長く生きて、人生の失敗や成功を繰り返した"経験"があります。
だからこそ、子どもへの"期待"が高くなってしまうのです。
注意ばかりしてしまうとき、多くは「期待と現状のギャップ」に目が向いています。
私たちは知らず知らずのうちに、以下のような“色眼鏡”で子どもを見てしまうことがあります。
①「できて当然」色眼鏡
②「同僚に何か言われたら…」色眼鏡
③「私のクラスならできるはず」色眼鏡
④「もっと成長してほしい」色眼鏡
①「できて当然」色眼鏡
これは子どもの現状を見ずに、"期待する状態"ばかりに目がいってしまっているときに掛けている色眼鏡です。
✅時間通りに着席して当たり前
✅勉強はできて当たり前
このような色眼鏡を掛けていると、「できていない」状況に目がいくようになり、注意が多くなります。
②「同僚に何か言われたら…」色眼鏡
「同僚に評価されたい」
「みんな一緒にしておけば自分は安全だ」
このような思いがある人が掛けているのが【②「同僚に何か言われたら…」色眼鏡】です。
もちろん、同僚や常時と良好な関係をつくり、密にコミュニケーションをとることは大切です。
しかし、同僚の顔色を窺って仕事をしていると、時に"子どもの安心安全や成長"よりも、
「同僚に何か言われないように、子どもに注意しよう」
「同僚に何か言われないように、この実践はやめておこう」
と"自分を守ること"を優先してしまうことになります。
③「私のクラスならできるはず」色眼鏡
ダニング=クルーガー効果
自称中級者
④「もっと成長してほしい」色眼鏡
真面目な先生ほどかけてしまう。
子どもと自分の成長速度に見合わない実践を取り入れてしまう。
<色眼鏡の外し方>
私は、4つすべての色眼鏡を掛けて子ども達と接していた時期がありました。
それでも時間をかけて、一つずつ外していきました。
4つ全ての色眼鏡をコンプリートしていた私でも、外すことができました。
もし「自分は色眼鏡を掛けていたかも…」と気付いたとしても、焦る必要なんてありません。大丈夫です。
一つずつ色眼鏡を外して、目の前の事実に目を向けてみましょう。
色眼鏡の外すためのコツは、
教室で起きている事実に目を向けること
机の上が片付いていない子がいたとします。
「なんで片付けてないの!今すぐやりなさい!」ではなく、
「筆箱とノートが机の上に出ているね。どうする?」と声をかけます。
子どもが片付けたら、「机の上のものを片付けられたね」と、事実を伝える。
このように"こうなってほしい"という期待を一旦心の隅に置いて、"目の前の子どもに向き合う"ことが、色眼鏡を外すためには大切です。
そして、一旦心の隅に置いた"こうなってほしい"という思いも大切に持っておいてください。
必ずまた使う時が来ます。
ですが、それは子どもとの関係性ができてからの話。
焦る必要はありません。
今はそっと、心の中にしまっておきましょう。
長くなってしまったので、最後に一つだけ。
大谷翔平さんの
「憧れるのをやめましょう」
ではありませんが、
「(子どもに)期待するのをやめましょう」
見放すという意味ではなく、
「子どもの"現在地"を認めよう」
という意味です。
そしてその姿勢を言葉で表すための技術が"承認"です。
2.【スキル】承認する技術

⑴ 存在承認(行動に関わらずする承認)

承認とは、子どもとの「つながりの見える化」です。
「あなたのことをちゃんと見ているよ」というサインを送る行為です。
存在承認は、行動に関わらず、存在そのものを認めること。
「おはよう」
「いつもありがとう」
「今日も来てくれてうれしいよ」
ハイタッチや笑顔でのアイコンタクト
…こうした小さなやりとりが、子どもの心に安心感を育てます。
⑵ 3つの承認(行動の最中・行動後にする承認)

① 行動承認
→ 今まさに取り組んでいることを認める
「静かに読んでいるね」
「ノートをていねいに書いているね」
② 成長承認
→ 昨日より今日、できるようになったことを認める
「前より進んで取り組めるようになったね」
「忘れ物が減ってきたね」
③ 結果承認
→ ある活動の成果や頑張りを認める
「やりきったね」
「最後まで書けたね」
これらの承認は、「できていない子」にも使えます。
ポイントは、評価せずに事実を伝えることです。
⑶ 「褒める」と「承認する」のちがい

褒める=評価(ジャッジ)を伝える行為
承認=事実を伝える行為
褒めること自体は悪いことではありません。
ただし、「すごいね!」「えらいね!」といった言葉は、関係性が浅い段階では相手に圧を与えることも。
褒めることは“薬”のようなもの。即効性はあるけれど、頻度やタイミングに注意が必要です。
一方で、承認は“漢方”のようなもの。
じわじわと効いて、信頼関係の土台をつくっていきます。
とくに新年度や学級づくりの初期には、承認の積み重ねが効果的です。
3.【スキル】共感する技術

⑴ 共感の前提
子どもは、「話を聞いてくれる人」に心を開きます。
共感とは、「あなたを大切に思っているよ」「わかろうとしているよ」というメッセージ。
共感は、「承認」があってはじめて成立します。
まずは、「ちゃんと見てるよ」と伝えることから。
⑵ 共感の基本ステップ「EARS」

共感の基本ステップ「EARS」という考え方を紹介します。
これは英語圏で使われている共感の考え方を私がアレンジしたものです。
共感する場面でこの「EARS」を意識すると、共感の姿勢が子どもにも伝わります。
E: Emotion(感情をキャッチする)
表情や声のトーン、しぐさなどから感情を読み取ります。
「悲しそう」「怒ってるみたい」「うれしそうだね」
A: Attention(集中して聴く)
最後まで話を聴く、相槌を打つ、うなずく。
「ちゃんと聴いてるよ」という姿勢が伝わることで、子どもは安心します。
R: Reflection(言葉で返す・感情を映す)
「バカって言われて、すごく傷ついたんだね」
「できなくて、落ち込んでるんだね」
子どもの気持ちを言葉にして返すことで、「わかってくれている」と感じてもらえます。
S: Support(支える)
話を聞いたあと、「どうしようか」「一緒に考えよう」と寄り添う声かけができると、子どもは前を向く力を得られます。
もう一つのS:Stay
"ただそこにいる"ことも共感になることがあります。
例えば、イライラして物に当たっている子に「イライラしているんだね。」と伝えても効果が薄い、むしろ気持ちを逆なでしてしまうということは、先生ならよくご存知のことと思います。
そこで、「10分間別室で落ち着こう」「落ち着くまで一緒にいるね」と伝え、"間"をつくる
これも、気持ちに共感して、寄り添う行動と言えます。
⑶ 「共感」と「同感」のちがい

<学習のまとめ>

今回は、子どもを伸ばす関わり3ステップ【安心とつながりのステップ】から「承認」「共感」について詳しく解説しました。
まとめると、
<この記事のまとめ>
・信頼関係の土台には、「受け止めてもらえた」という安心感
・「承認」と「共感」で子どもとの信頼関係を築く
・日常のちょっとした声かけやまなざしが、つながりを育てる
信頼関係は、魔法のように生まれるものではありません。
教師が、子ども一人ひとりの“存在”に目を向け、日々のやりとりの中で「承認」と「共感」を丁寧に積み重ねることで、少しずつ育まれていきます。
クラスが安定しないときこそ、子どもたちとの“つながり”に立ち返ることが大切です。
教室でひとつだけでも「承認」や「共感」の関わりを実践してみてくださいね。
お疲れさまでした!
この記事を通して、「子どもとの関わりに悩んでいるけど、今さら誰にも聞けない…」と感じている先生の力に、少しでもなれていたらうれしいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
お相手は、もみじでした。
また次の記事でお会いしましょう👋
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