仕事で怒ってる人にも伝わる言い替え術
ある日の夕方、売場がかなりバタついていた時のことでした。
やることが重なって、みんな余裕がない。
そんなタイミングで、部下のひとりに作業の順番を変えてほしくて声をかけました。
「この作業の前に、先にこっちお願いしたいです」
すると相手は、明らかにイラついた顔でこう返してきました。
「今それ言います?」
その一言で、空気が変わりました。
言い方きついな。
こっちは仕事の優先順位を伝えただけなんだけど。
そんなの、こっちだってわかってるよ。忙しいのはみんな同じだし。
そう思って、正直かなりイラッとしました。
そして次の瞬間、こう返したくなったんです。
「いや、今だから言ってるんです」
「感情的にならずに話してもらえますか」
「仕事なんだから、建設的にお願いします」
でも、あとから気づきました。
もしあの時それを言っていたら、
たぶんもっとこじれていた。
こっちは正しいことを言っているつもりでも、
怒っている相手に正論をそのまま返すほど、
会話って壊れやすいんですよね。
今回は、
怒っている相手に、こちらの要望をどう言い換えれば伝わりやすくなるのか
これを整理していきます。
正しいことを言っても、通らない時がある
仕事では、正しい優先順位を伝える必要があります。
順番を変えてほしい時もある。
やり方を修正してほしい時もある。
今すぐ止めてほしいことだってある。
でも現場では、
正しいことを言えば伝わるわけではない
場面が確実にあります。
特に相手が怒っている時。
余裕がない時。
自分を責められたと感じている時。
そういう時の相手は、内容そのものより先に
* 否定されたか
* 切られたか
* 見下されたか
* 責められたか
ここに反応しやすいです。
だからこちらが、
* いや
* でも
* 違います
* そうじゃなくて
* 落ち着いてください
こう返した瞬間、
仕事の話ではなく感情のぶつかり合いに変わりやすい。
こちらは整理したいだけ。
でも相手からすると、
自分の感情や言い分を切られた
と感じるからです。
怒っている相手に、一番危ないのは「Youメッセージ」
怒っている相手とぶつかりやすいのが、
相手を主語にして断定する言い方です。
たとえば、
* あなたの言い方がきついです
* あなたは感情的です
* あなたはいつもそうです
* あなたの考え方は違います
これ、かなり言いたくなります。
正論ですのでね、、、
でも相手からすると、
「自分を決めつけられた」
「否定された」
と感じやすい。
ただでさえ怒っている相手に、
さらに“あなたはこうだ”で入ると、
相手は話し合いではなく防御に入る。
そうなると、こちらの正しさはほぼ届かない。
代わりに使いたいのが「Iメッセージ」
そこで大事になるのが、
Iメッセージです。
これは、相手を断定するのではなく、
自分の考え・意図・希望として伝える言い方です。
たとえば、
* 私としては、先にこちらをお願いしたいです
* 私は、この順番で進めてもらえると助かります
* 私の意図としては、責めたいわけではなく整理したいです
* 私は、まず優先順位だけ揃えたいです
こうすると、相手にかかる圧がかなり変わります。
同じ内容でも、
「あなたが違う」
ではなく、
「私はこう考えている」
に変えるだけで、ぶつかり方はかなり変わります。
仕事ではつい、正しさをそのまま押し込みたくなります。
でも怒っている相手には、
“あなたは”より“私は”
の方が通りやすいです。
「落ち着いてください」は、逆効果
これも本当に言いたくなる言葉です。
私も言いたいです、、、
「落ち着いてください」
でも、怒っている相手にこれを言うと、
かなりの確率で逆効果になります。
なぜかというと、相手は
* 今の自分を否定された
* 感情を認めてもらえてない
* 上から抑え込まれた
と感じやすいからです。
つまりこちらは場を整えたいだけでも、
相手からすると
さらに火をつけられた
ように感じることがある。
だから必要なのは、
感情を止めさせることではなく、
感情があることを一度受けることです。
たとえば、
* そう受け取られたんですね
* そこが引っかかったんですね
* 今かなり立て込んでますよね
* お怒りなのはわかりました
* 一度整理してもいいですか
この一言があるだけで、相手は少し受け取りやすくなります。
ここで大事なのは、
全面的に同意することではありません。
ただ、
今そこに感情があることを、いったん否定しない
それだけです。
怒っている相手には「言い換えリスト」を持っておいた方がいい
現場では突然きます。
忙しい時。
余裕がない時。
売場が回っていない時。
クレーム対応の後。
誰かがミスした直後。
その場で毎回冷静に言葉を選ぶのはかなり難しいです。
頭が冷静で無い場合がある為、
だからおすすめなのは、
自分の中で禁止ワードを先に決めておくことです。
たとえば、
* いや
* でも
* 違います
* 落ち着いて
* いつも
* 普通は
* 絶対
* 常識的に
このあたりは、怒っている相手をさらに熱くしやすいです。
なので、言い換えを用意しておく。
たとえばこんな感じです
* 落ち着いて
→ 一度整理していいですか
→ 今どう感じているか教えてください
* いや、それは違います
→ 私の意図としてはこうでした
→ 私はこういう認識でした
* いつもそうですよね
→ 今回はここが気になりました
* 絶対こっちが優先です
→ 優先順位でいうと、先にこちらをお願いしたいです
* あなたの言い方きついです
→ 私は少し強く受け取りました
この準備があるだけで、
その場の感情で返しにくくなります。
実際の現場なら、こう変えた方が通りやすい
最初のエピソードの場面なら、たとえばこうです。
相手が
「今それ言います?」
と返してきた時に、
悪化しやすい返し方
* いや、今だから言ってるんです
* 感情的にならないでください
* そういう言い方やめてもらえますか
* 仕事なんで建設的にお願いします
ではなく、
まだ通りやすい返し方
* 今かなり立て込んでますよね
* タイミングがきつかったのはわかってます
* その上で、優先順位だけ先に揃えたいです
* 私は先にこちらをお願いしたいです
この違いは大きいです。
相手を否定してから本題に入るか。
相手の状態を少し受けてから要望を置くか。
内容は大きく変わっていません。
でも、受け取られ方はかなり変わります。
怒っている相手に伝える時の基本の型
ここまでを、仕事で使いやすい形にまとめます。
① 受け止める
* そう受け取られたんですね
* 今かなり立て込んでますよね
* そこが引っかかったんですね
② 整理する
* 一回整理していいですか
* 今は優先順位だけ揃えたいです
* まず事実だけ確認したいです
③ 依頼する
* 先にこちらをお願いしたいです
* この順番で進めてもらえると助かります
* ここだけ修正してもらえるとありがたいです
この順番です。
受ける → 整理する → 依頼する
怒っている相手に、いきなり結論をぶつけるほどこじれやすい。
だからまずは、順番を変える。
これだけで会話の壊れ方はかなり変わります。
これは、我慢の話じゃない
ここは大事です。
こういう話をすると、
「結局こっちばっかり気を遣うのか」
と思う人もいると思います。
その気持ち、すごくわかります。
こっちにも言い分はある。
相手の言い方が悪い時だってある。
本当は言い返したい。
正したい。
それは当然です。
でも仕事で必要なのは、
その場で気が済むことより
最終的に前に進むこと
だったりします。
だからこれは、我慢の話ではありません。
迎合でもない。
弱くなる話でもない。
通すために、言い方を選ぶ話です。
最後に
怒っている相手に必要なのは、
正論をそのまま返すことではなく、
伝わる言い換えです。
* Youメッセージで断定しない
* Iメッセージで自分の意図を伝える
* 「落ち着いて」ではなく感情を受け止める
* 禁止ワードを言い換える
これだけでも、会話の壊れ方はかなり変わります。
こっちにも言い分はあるし、
言われっぱなしでは腑に落ちない。
それでも仕事では、
正しさをぶつけることより、
通る形で伝えることの方が強い。
シリーズで読むと理解しやすい記事
ここまで読んでくださった方は、
前の記事も合わせて読むと流れがかなりつかみやすいです。
* 反発してくる年上部下に、感情を持っていかれない方法
* 怒っている相手をさらに怒らせない対処法
今回の記事は、そこからさらに一歩進めて、
「じゃあ具体的に何て言えばいいのか」
を整理した内容です。
次回予告
ここまで読むと、次に気になるのはたぶんこれです。
「結局、場面ごとに何て言えばいいの?」
具体例が知りたい
その疑問はもっともです。
次回は、
* 怒っている部下への返し方
* 高圧的な相手への言い換え
* 年上部下・上司・同僚での使い分け
* その場で使える返答テンプレ
ここをもっと具体的にまとめます。

