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「トレ後30分以内にプロテイン」はもう古い。17年筋トレしてきた医師が本当に大事だと思うこと

トレ後30分。タイマーが鳴るまでにプロテインを飲めなければ、その日のトレーニングは無効。17年前の自分は、毎回ひとりで脱出ゲームをやっていた。

きっかけは、大学のジムで先輩に言われた一言だった。

「トレ後30分以内に飲まないと、今日のトレ、無駄になるぞ」

それを長いあいだ律儀に守った。友人に「飯でも行こうや」と誘われても、「あと7分以内に家で飲まないと」と断る。トレーニングで気分が整ったはずなのに、終わった瞬間から時計に追われていた。

しかも、人より厳密に守れている自分を少し誇らしく思っていた。細かいルールほど効いている気がした。

今は、トレーニング後すぐに飲めなくても焦らない。

筋トレ後にプロテインを飲むタイミングは、何分以内かより、1日のタンパク質の総量と前後の食事間隔で決める。 自分が気にしているのは、この2つだ。


筋トレ後30分を過ぎても、プロテインが無駄になるわけではない(アナボリックウィンドウ)

30分で閉まるほど、筋肉の窓は狭くなかった。

「筋トレが終わったら30分以内にプロテインを飲む。この時間を逃すと、筋肉がつきにくくなる」

これが、いわゆる「アナボリックウィンドウ」だ。

筋トレ後は、身体がタンパク質を使って筋肉を作り直す反応が高まる。
ここまでは間違っていない。

ただ、その反応が30分で急に終わるわけではない。

2025年には、筋トレ前にタンパク質をとった人と、筋トレ後にとった人を比べた5つの研究がまとめられたが、筋肉量の増え方に、はっきりした差はなかった。¹⁾

2024年の研究では、筋トレ経験者が1日体重1kgあたり2gのタンパク質をとりながら、8週間トレーニングした。

一方のグループは筋トレの直前と直後。もう一方は3時間前と3時間後にタンパク質をとった。

8週間後、両群とも筋肉量と筋力が伸び、明確な差はつかなかった。²⁾

トレ後30分を過ぎた瞬間に、筋肉を増やす機会が消えるわけではない、ということだ。

ただ、この研究には前提がある。
全員が1日のタンパク質の総量を十分にとれていた。
朝から何も食べず、トレーニング後も長く食べない人まで同じとは限らない。

プロテインを飲むタイミングは、筋トレ前後の食事で決める

トレーニングの数時間前に、肉や魚、卵、乳製品、プロテインなどを十分にとっていたなら、終了直後に急ぐ必要はない。

食事の消化吸収はまだ続いている。帰宅してから普通に食べればいい。

朝イチの空腹状態でトレーニングするなら、次の食事までの時間次第で変わる。終了後すぐに朝食を食べられるなら、そこでタンパク質をとればいい。

昼まで何も食べないなら、トレーニング前後のどちらかでプロテインを飲む。

「トレ後何分か」より、「トレ前後の食事が何時間空くか」。

朝イチのトレーニングでは、タンパク質とは別に糖質を取るかどうかという問題もある。長めにトレーニングする日は、糖質を食べてから行ったほうが後半まで回数を落としにくいというメリットもある。³⁾

朝食を抜いてよい人と、食べたほうがよい人の分け方はこちらにまとめた。

朝メシ抜きで筋トレしていい人、食べたほうがいい人(6/18アップデート)

プロテインのタイミングより先に、1日のタンパク質の総量を確認する

筋肉を増やしたいなら、プロテインを飲む時刻より先に、1日のタンパク質量を確認する。

2018年に複数の研究をまとめた解析では、タンパク質を増やすほど、筋トレによる筋肉量の増加も大きくなった。けれど、1日体重1kgあたり約1.6gを超えると、そこから先の上乗せはかなり小さくなった。⁴⁾

平均では、1日体重1kgあたり1.6g前後で、筋肉の増え方はほぼ頭打ちだった。

国際スポーツ栄養学会も、運動する人に体重1kgあたり1.4〜2.0gを示している。⁵⁾

ただ、1.6gは全員共通の上限ではない。個人差もあるため、自分は筋肉を増やしたい健康な成人なら1.6〜2.0gを目安にしている

体重70kgなら、1日112〜140gだ。減量中で食事量を大きく落としている人や、体脂肪がかなり低い人は、もう少し必要になることもある。

筋肉を増やしたいのに体重がずっと減っているなら、プロテインの時刻より1日を通した総量を確保できているかどうかを先に確認したほうがいい。

腎機能などで食事指導を受けている人は、主治医の指示を優先してほしい。

筋肉を増やすことだけを考えるなら、1.6〜2.0g/kg/日を目安にすれば話は比較的シンプルだ。

ただ、減量や血糖、長期的な健康まで含めると、多ければいいとも言い切れない。筋肉と長寿の両方を考えたとき、1日の量をどう決めるかはこちらで詳しく書いた。

タンパク質は1日どれくらいとればいいのか|筋肉と長寿で答えが変わる理由(メンバー限定)

1食30gは、タンパク質の吸収上限ではない

自分は、プロテインを毎回25〜30gに量っていた。31gになったら、スプーンで少し戻す。30gを超えた分は使われず、もったいないと思っていたからだ。

今振り返ると、あの1gを戻していた自分は何と戦っていたのかと思う。

「1食で使えるタンパク質は30gまで。それ以上は無駄になる」

これも、ジムで長く語られてきた。

健康な人が食べたタンパク質は、30gを超えた途端に腸から入らなくなるわけではない。

2023年には、筋トレ後に25gか100gのミルクプロテインを飲んでもらう実験が行われた。100gでは、筋肉などの組織を作る反応が25gより大きく、12時間以上続いた。⁶⁾

体内に「30gを超えたらお引き取り願います」という関所はない。

もちろん、飲んだ分がすべて筋肉へ直行するわけでもない。アミノ酸は筋肉以外の組織や酵素にも使われ、一部はエネルギーになる。

この実験でわかったのは、30gを超えた分が、すべて無駄になるわけではないことだ。もちろん、100gを一気に飲むことを勧める研究でもない。

1日量を4回に分けるなら、1回あたり体重1kgあたり0.4〜0.5gほどが目安になる。体重70kgなら、1回28〜35gだ。⁷⁾

3食しかとれないなら、1食あたりを少し増やせばいい。

夕食が40gになっても、大丈夫だ。30gを超えても吸収される。生活スタイルに合わせて、1日の合計を必要量まで持っていくことが大切だ。

朝食が軽いならタンパク質を足す。寝る前のプロテインは不足した日だけ

朝食がコーヒーだけなら、卵やヨーグルト、納豆を一品足す。

朝という時刻が特別だからではない。朝にタンパク質を確保しておくと、昼と夜のスケジュールが楽になるからだ。タンパク質は満腹感も得やすく、日中の食欲をコントロールしやすくなる。

2021年には、普段から朝のタンパク質が少ない高齢女性に、10gのミルクプロテインを朝か夕方に12週間足す研究が行われた。
筋肉量の増え方は、朝に足した人のほうが大きかった。⁸⁾

対象は高齢女性なので、若いトレーニー全員にそのまま当てはめる研究ではないけど、朝食でタンパク質を確保する意義は高そうだ。

就寝前にタンパク質を追加したグループで、筋肉量と筋力の伸びが大きかった研究もある。けれど、その研究では1日のタンパク質量そのものも増えていた。寝る前という時刻だけの効果とは言い切れない。⁹⁾

自分は、寝る前の食事が睡眠の質を落とす可能性も気にしている。筋肉のために睡眠を削りたくない。

だから、寝る前のプロテインは毎日の習慣にしていない。どうしても1日の必要量に届かなかった日だけ使っている。

起床後のEAA、就寝前のホエイやカゼインをどう使い分けるかは、Q&A第4回の「プロテインかEAAか」で答えた(メンバー限定)。

今は、ゆっくり着替えて帰る

今はトレーニングが終わったら、ゆっくり着替えて帰る。友人と食事に行く日もある。食事が遅くなる日や、1日の総量が足りない日にプロテインを使う。

駐車場で急いで流し込み、えずくこともなくなった。キッチンスケールで31gを30gに戻すこともない。

1日の総量と前後の食事を確認するようになって、トレーニングは少し自由になった。少なくとも、自分がはっきり感じた変化は、筋肉よりトレーニング後の焦りのほうだった。

シェイカーは便利だ。でも、時計に追われるための道具ではない。

プロテインの飲み方で迷ったときの4ステップ

体重70kgを例にすると、次の順番で考える。

1.まずタンパク質の総量を決める

体重1kgあたり1.6〜2.0gを目安にする。70kgなら1日112〜140g。
極端なカロリー不足も避ける。

2.3〜5回に分ける

4回なら1回28〜35gほど。3食なら1食あたりを増やす。30gを超えても問題ない。

3.筋トレ前後の食事間隔を確認する

トレーニング前に食べていて、帰宅後に食事ができるなら急がない。前後の食事が長く空くなら、プロテインを使う。

4.朝食が軽ければ一品足す。寝る前は不足した日だけ

朝食が軽いなら、卵やヨーグルト、納豆などを足す。寝る前は毎日の習慣にせず、どうしても必要量に届かなかった日の選択肢に。

まとめ

トレ後30分を逃しても、その日の筋トレは無駄にならない。
確認するのは、時計ではない。
今日1日、必要な量を食べられたか。トレーニング前後の食事が長く空いていないか。
17年かかったけど、自分はこの考え方に落ち着いた。

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参考文献

  1. Casuso RA, Goossens L. Does Protein Ingestion Timing Affect Exercise-Induced Adaptations? A Systematic Review with Meta-Analysis. Nutrients. 2025;17(13):2070. doi:10.3390/nu17132070

  2. Lak M, Bagheri R, Ghobadi H, et al. Timing matters? The effects of two different timing of high protein diets on body composition, muscular performance, and biochemical markers in resistance-trained males. Front Nutr. 2024;11:1397090. doi:10.3389/fnut.2024.1397090. Correction: Front Nutr. 2025;12:1675832. doi:10.3389/fnut.2025.1675832

  3. King A, Helms ER, Jukic I. An Updated Meta-analysis on The Ergogenic Effects of Acute Carbohydrate Feeding on Resistance Exercise Performance. SportRxiv. 2026. doi:10.51224/SRXIV.696. Preprint.

  4. Morton RW, Murphy KT, McKellar SR, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384. doi:10.1136/bjsports-2017-097608

  5. Jäger R, Kerksick CM, Campbell BI, et al. International Society of Sports Nutrition Position Stand: protein and exercise. J Int Soc Sports Nutr. 2017;14:20. doi:10.1186/s12970-017-0177-8

  6. Trommelen J, van Lieshout GAA, Nyakayiru J, et al. The anabolic response to protein ingestion during recovery from exercise has no upper limit in magnitude and duration in vivo in humans. Cell Rep Med. 2023;4(12):101324. doi:10.1016/j.xcrm.2023.101324

  7. Schoenfeld BJ, Aragon AA. How much protein can the body use in a single meal for muscle-building? Implications for daily protein distribution. J Int Soc Sports Nutr. 2018;15:10. doi:10.1186/s12970-018-0215-1

  8. Kim HK, Chijiki H, Fukazawa M, et al. Supplementation of Protein at Breakfast Rather Than at Dinner and Lunch Is Effective on Skeletal Muscle Mass in Older Adults. Front Nutr. 2021;8:797004. doi:10.3389/fnut.2021.797004

  9. Snijders T, Res PT, Smeets JSJ, et al. Protein Ingestion before Sleep Increases Muscle Mass and Strength Gains during Prolonged Resistance-Type Exercise Training in Healthy Young Men. J Nutr. 2015;145(6):1178-1184. doi:10.3945/jn.114.208371

  10. Klemp AO, Ormsbee MJ, Yeh MC, et al. Neither pre-sleep nor post-exercise protein consumption influences resistance exercise training adaptations in older adults. J Int Soc Sports Nutr. 2025;22(1):2519511. doi:10.1080/15502783.2025.2519511

  11. Enomoto M, Kitamura S, Kunieda T, et al. Effects of later dinner timing on subsequent metabolic function and nocturnal sleep in healthy young women. J Physiol Anthropol. 2026;45:12. doi:10.1186/s40101-026-00430-0

※本記事は一般的な健康・医学情報の提供を目的としたものであり、特定の個人に対する診断・治療・医学的助言を行うものではありません。健康上の懸念がある場合は、必ず医療機関を受診してください。記事の情報に基づく行動の結果については、筆者は責任を負いかねます。

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