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【家づくり】断熱編スタート!魔法瓶の作り方と「断熱ライン」の大前提(シーズン1)【各論】

こんにちは、はぐれゴリラです。

全4回にわたってお届けした「基礎の基礎知識編」、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

さて、今回からは新シリーズ「断熱編」のスタートです!
家づくりを始めると必ず耳にする「高気密・高断熱」という言葉。
我が家も、UA値0.34というそこそこ良い数値を叩き出した高断熱住宅ですが、このテーマ、調べれば調べるほど闇が深く、気づけば全10回くらいの論文になりそうな予感がしています(笑)。
まず前提となる断熱等級などの話はコチラ↓

営業マンはよく「うちは〇〇という素晴らしい断熱材を使っています!」とドヤ顔でアピールしてきます。

しかし、どんな断熱材を使うかも大事ですが、「そもそも家の”どこ”を断熱材で包むのか?」という大前提の方がはるかに重要です。
断熱編シーズン1の今回は、家づくりの最重要パズル「断熱ライン(断熱境界)」について、一介の歯科医師である僕が解説していきます。

■ 断熱ライン=「魔法瓶の壁」をどこに作るか

断熱の基本は、家を「魔法瓶」や「ダウンジャケット」のように、隙間無くすっぽりと包み込むことです。
この、家の中(暖かい・涼しい)と外(寒い・暑い)を分ける境界線のことを「断熱ライン」と呼びます。

ダウンジャケットを着ていても、前のチャックが全開だったり、お腹の部分だけ生地がなかったりしたら極寒ですよね?

家も全く同じで、床・壁・天井の断熱材が「ひと繋がりの線」になっていなければ、そこから熱がダダ漏れになります。

壁の断熱ラインは「外壁のすぐ内側」で決まりですが、問題は「足元(下)」と「頭上(上)」のラインをどこに引くかです。
ここで家の性能と寿命、そして以前お話した「シロアリスク」が大きく変わってきます。

(※壁も厳密には外張り断熱や付加断熱など微妙な違いはあります。)

■ 足元の戦い:「床断熱」vs「基礎断熱」

足元の断熱ラインの引き方には、大きく分けて2つの派閥があります。

① 床断熱(ゆかだんねつ)

1階の「床のすぐ裏」に断熱材を敷き詰める方法。日本の木造住宅で最も一般的なやり方です。

【メリット】
施工が簡単でコストが安い。さらに、″自称″「シロアリスク評論家」の僕からすると、床下を風が通り抜ける(通気が取れる)こと、そして何より「床下に潜ってシロアリの点検(インスペクション)がしやすい」ため、発見が遅れるというリスクは低いと考えられます。
【弱点】
床下は「外」と同じ扱いになるため、冬は床下が極寒になります。
また、配管などが床を貫通する部分の隙間を埋めるのが難しく、気密性が落ちやすいです。そしてそのスキマから外気がダイレクトに侵入します。

② 基礎断熱(きそだんねつ)

床ではなく、「基礎のコンクリートそのもの」に断熱材を貼り付ける方法。我が家が採用した断熱方式です。

【メリット】
床下も「室内」と同じ空間になるため、冬でも床が冷たくなりにくいです。床貫通部配管の隙間処理も少なく気密が取りやすい。
さらに、床下を室内空間として使えるため、我が家が採用している「澄家(すみか)」のような床下換気システムとの相性が抜群です。

【弱点】
コストが高い。そしてシロアリスクの観点から言うと少し厄介です。
さらに基礎断熱には「基礎の内側」に貼るか「外側」に貼るかの2パターンありますので、それぞれについて説明していきます。

②A【基礎内断熱】

これ自体でシロアリスクが跳ね上がるわけではありません。
ただ、万が一侵入された時、コンクリートに貼られた断熱材の裏に「蟻道(シロアリのトンネル)」を作られると目視で発見できず、インスペクション的に非常に不利に働きます。

②B【基礎外断熱】

基礎の外側に断熱材を貼るため、シロアリからすると「どうぞこの柔らかい断熱材の中を通って、暖かく安全に家の中へお入りください」と言っているようなもの。
前回の基礎編で紹介した「ターミメッシュ」などの強固な物理対策がない限り、採用は見送った方がいいと個人的には思っています。
ただ、シロアリ対策が完璧に考えられているなら最強の断熱ラインであるのはまちがいないです。

基礎外断熱はコンクリート自体への熱を遮断する。
最強なのは確かだが…

※ゴリラ的余談:「北海道ならシロアリがいないから基礎外断熱でも安全だよ!」という営業トークがありますが、あれはもう古いです。
近年の温暖化と家の高断熱化(床下が暖かい)によって、ヤマトシロアリが道南からジワジワと北上して定着し始めています。
デストロイヤーのイエシロアリが活動するにはちと寒いみたいですが…
とはいえ「北海道=シロアリ無菌室」という神話はすでに崩れつつあるので、油断は禁物です。

■ 頭上の戦い:「天井断熱」vs「屋根断熱」

頭上のラインも2つの派閥があります。

① 天井断熱(てんじょうだんねつ)もしくは桁上断熱

2階(平屋なら1階)の「平らな天井の裏」に断熱材を敷き詰める方法。

【メリット】
安くて施工が簡単。断熱材を30cm、40cmと分厚くドカ盛りしやすい(ただし重さには要注意)。

【弱点】
屋根裏(小屋裏)は「外」扱いになるため、真夏は屋根裏がサウナ(50度以上)になります。
その熱がじわじわと天井から降りてくるため、夏の2階が暑くなりやすいです。

② 屋根断熱(やねだんねつ)

天井ではなく、「屋根の傾斜に沿って」断熱材を施工する方法。

【メリット】
屋根裏も「室内」と同じ空間になるため、真夏でも屋根裏がサウナになりません。
勾配天井(斜めの高い天井)やロフトを作りたい場合は必須の工法です。
【弱点】
施工面積が広くなるためコストが上がる。屋根の熱を直接受けるため、かなり分厚く高性能な断熱材を使わないと結局暑くなります。
そして最大の盲点が、勾配天井などで空間が上に広がる分、「室内の体積がドカンと増える」こと。
冷暖房の空調負荷が増えやすい(=電気代がかかりやすい)という物理的なデメリットがあります。

勾配天井やロフトをやるなら屋根断熱。

■ 最大の難所は「ラインのつなぎ目」

「床」か「基礎」か。「天井」か「屋根」か。
どれを選ぶにしても、絶対に守らなければならない鉄則があります。

それは、「足元のライン、壁のライン、頭上のラインが、隙間なくピタッと繋がっていること」です。

例えば、「基礎断熱」と「壁の断熱」が交わる部分や、「壁」から「屋根」へとラインが切り替わる角の部分。
ここの施工が甘く、断熱材が途切れて少しでも木材や金属がむき出しになっていると、そこが「熱橋(ねっきょう:ヒートブリッジ)」という熱の通り道になってしまいます。
熱橋ができると、そこだけ冬に異常に冷たくなり、壁の中で「結露」が発生します。
結露は木を腐らせ、家を内側から破壊する最悪の現象です。

一介の歯科医師が、なぜここまで「ライン」にこだわるのか。
それは、歯の治療でも「詰め物と歯の境界(マージン)」に少しでも段差や隙間があると、そこから再び唾液や虫歯菌が入り込んで再発するのと同じだからです。(要はただ細かいだけ)

家も歯も、「境界を制する者が、寿命を制する」のです!

■ 次回予告:いよいよ断熱材!の前に立ちはだかる「壁」

いかがでしたか?
「どんな素材を使うか」の前に、「家をどう包むか」という3Dパズルがどれほど重要か、少しでも伝われば嬉しいです。

断熱ラインという大前提を共有したところで、次回シーズン2ではいよいよ皆さんお待ちかね!
「断熱材名鑑」をお届けします。
…と言いたいところですが!その前にもうひとつだけ!
素材を選ぶ前に絶対に知っておかなければならない「壁の断熱工法(充填・外張り・付加)」について解説させてください。
柱の間か、外側か。この工法を知らずして、断熱材は語れません。

震えて待て。

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次回はこちら↓

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