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【外壁編シーズン1.5】外壁材を選ぶ前に知るべき「下地」の闇。通気層と胴縁の真実

こんにちは、はぐれゴリラです。

前回「シーズン1」では、家を守るための絶対ルールとして「軒(傘)」と「通気層(カッパの裏地)」の重要性を解説しました。

いよいよ今回から数ある外壁材の比較……にいきたいところですが、ちょっと待ってください。

カタログを開いて外壁を選ぶ前に、どうしても知っておいてほしい「裏側の世界」があります。

ここをミスると、上にどれだけ高級で最強の外壁材を貼ろうが、壁の中が窒息して家が腐ります。

今回はシーズン1.5として、外壁の裏側に潜む「胴縁(どうぶち)の罠」と「法律の抜け穴」についてお話しします。

1. 通気層の正体「胴縁(どうぶち)」

壁の中に空気の通り道(通気層)を作る。
そう簡単に言いますが、どうやって壁と外壁の間に「隙間」を空けているのでしょうか?

答えは、透湿防水シート(構造材の1番外側)の上から打ち付ける「胴縁(どうぶち)」という細長い木の板です。

この木材の厚み分(約15mm〜18mmほど)が隙間となり、空気が下から上へと抜けていく通気層になります。

そして、この胴縁に向かって外壁材をビスや釘で留め付けていくわけです。

どんな外壁材を選ぶにしても、まずはこの「胴縁」をしっかり組んで通気層を確保することが大前提になります。

透湿防水シートの上に胴縁を打ち付けて、その上に外壁を貼っていく。



2. 縦張り外壁に潜む「横胴縁の罠」と究極の解決策

ここで最大のトラップが発生します。外壁材の「張り方(縦か横か)」によって、下地である胴縁の向きも変わるのです。

外壁を「横張り」にする場合
下地の胴縁は「縦」に打ちます(縦胴縁)。空気は下から上へスッと抜けるので問題ありません。

外壁を「縦張り」にする場合
下地の胴縁は「横」に打ちます(横胴縁)。

横胴縁概念図。
通気…?


……お気づきでしょうか?
横向きに木の板をズラッと打ち付けてしまったら、下から上へ昇ろうとする空気が、横向きの木にぶつかって完全にストップしてしまいます。

ガルバリウム鋼板などでスタイリッシュな「縦張り」を選ぶ人は多いですが、これを回避するために現場では主に2つの対策が取られます。

① 通気胴縁(標準的な対策)

一定の間隔で隙間(スリット)が空いている特殊な横胴縁を使う方法です。しかし、スリットの幅は小さく「ゴミやホコリが詰まったり、虫が巣を作ったりしたら通気経路が塞がってしまうのでは?」という懸念が僕の中では残ります。

通気胴縁概念図。
スリットがありそこがエアウェイになる。


② 二重胴縁 / クロス胴縁(性能オタクの最適解)

そこで、きっとガチ勢が採用すると思っているのがこの手法です。

  1. まず柱に沿って「縦胴縁」を打ち、下から上への完璧な「通気ルート」を確保する。

  2. その上に「横胴縁」を打ち、縦張りの外壁材を留め付けるための強固な下地を作る。

手間も材料費も2倍かかりますが、通気層の確実性は段違いに上がるはず。

縦張りを採用するなら、見えない裏側でどちらの施工がされているか、絶対に確認すべきポイントです。

横胴縁のデメリットを縦の胴縁で解決。



3. 「法律違反じゃない」という最大の闇

「そんなに大事な通気層なら、どこの会社で建てても法律でちゃんと守られてるんでしょ?」

ここが日本の住宅業界の怖いところです。

実は、家を建てるための最低基準である「建築基準法」には、外壁通気工法の義務は明記されていません。

「通気層がなくても、家を建てる許可は下りる」のが現実なのです。

一昔前の日本で、防水シートの上に直接モルタルを塗ったりタイルを貼ったりする「直張り(じかばり=通気層ゼロ)」が横行し、壁の中で木が腐ってタイルが剥落する地獄が多発したのも、これが理由です。

では、この通気層が明確にルール化されているのはどこか?

それは、長期優良住宅の認定基準のひとつにもなっている「劣化対策等級3」の仕様規定です。
(厳密には「等級2」からです。が長期優良では等級3をクリアする必要があるので)

ここをクリアして初めて「外壁通気工法などで木材の腐朽を防ぐ措置(15mm以上の通気層など)」が確実に担保されます。

「法律(建築基準法)をクリアしている=長持ちする安全な家」ではない、という事実はぜひ覚えておいてください。


とはいえ実際はどうなのか?
〜通気層は事実上の義務〜

ここで、勘違いしてはいけないのは「長期優良住宅や劣化対策等級2、3でなければ通気層の確保をしていない」というわけではないということです。

現代の住宅ではまともなHM、工務店であれば大半は通気層は確保しています。

これは法律ではなく、「瑕疵担保責任」や「契約不適合責任」があるためです。

法律の詳しいことは省きますが、これらの責任があるため、「事実上の義務」になっていると思います。
ただ、建築基準法上の義務ではないのです。

そして、事実上の義務となってるとはいえ、瑕疵担保責任の保険会社(雨漏りの保険)のチェックでは「横胴縁で通気が窒息している」などの現場の裏問題までは見抜くことはできるとは思えません。

つまり図面のチェックだけではわからないグレーな部分もあるということです。


とはいえ、仮に雨漏りなどの不具合が出た場合、この瑕疵担保責任により、10年は追及できます。

でも問題はここからです。
「10年と1日」で雨漏りが発生したらどうでしょう?
例えば横胴縁や直張りなどで通気が窒息していることが原因でも、1日でも過ぎていたら責任を追及し難くなるのは容易に想像できます。

家づくりにおいて、残念ながら、「知らなかった」は許されません。


建てた後で「通気層窒息してるやんけ!」と怒り狂っても、設計通りならどうすることもできません。

家づくりには、あまり光の当たらない、「影の部分」がたくさんあります。
おそらく家づくりをする人の大半はスルーしている部分でしょう。

僕はこういった暗い部分を知ってもらえるように布教活動をしていきます。

1人でも洗脳される人が増えることを祈っております。笑

まとめ:外装の前に「骨格」を知ろう

「横胴縁の窒息リスクと二重胴縁」そして「法律の抜け穴」。
これを知ると、通気層という目に見えない隙間がいかに家を救っている偉大なシステムかお分かりいただけると思います。

外壁はあくまで「お化粧」。
そのお化粧を支え、家を長持ちさせているのは裏側の「骨格(通気層と胴縁)」です。

他の記事でも一貫して言っていますが、デザインも大事ですが、こういった「見えない性能」を見ることも家づくりでとても大事なことです。

…さて、裏側を完全に暴き出したところで……。
次回「シーズン2」から、いよいよ皆様お待ちかねの外壁材バトルを開幕します。

王道からマニアックな素材まで、ゴリラの視点でメッタ斬りにしていきますので、震えて待て。

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