記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

アマプラ『マイティ・ナイン』をTRPG側から解説してみた Season1 #1(概要、第1~3話)

アマゾンプライムビデオにて『マイティ・ナイン / The Mighty Nein』なるアニメが配信されたのはご存じでしょうか。それとも、見てよくわからなかったからここに来たのかもしれません。

「なんだかRPGっぽいアニメだなあ」とか、一見するとただの新手のファンタジー作品かと思ってしまうかもしれませんが、そういう事ならここでは紹介していません。実は少し裏があります。このアニメ、実はTRPGのセッションを原作としているのです。

更新履歴:
2025/11/23 一部画像やリンクを追加、思ったよりTRPG方面以外から来られている方が多いため本記事シリーズで頻出のTRPG用語追記


原作はTRPG

そう、突然TRPGの話をしているのは何の与太話でもありません。

原作はネット配信シリーズ『Critical Role』。アメリカのプロ声優が全力でTRPGをプレイするという耳が幸せな内容と、仲間内で楽しく遊ぶ雰囲気が人気を博し、欧米圏のTRPG界隈に新規層を大量に取り込んだとも言われ、今まで「オタクの遊び」と思われがちだったTRPGのイメージを塗り替え、ジャンルの誕生以来となる欧米圏の第二次TRPG社会現象の一翼を担ったとされています。

第1キャンペーン~第3キャンペーンの面々。

主にプレイされるシステムはありとあらゆる「ロールプレイングゲーム」と名の付く物の元祖、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の第5版(以下D&D5e)。第5版初期に始まった本シリーズは、現在まで既に3つのキャンペーンを終え、現在ではこれまでのメンバーの一部に海外TRPG配信界隈の重鎮たる新メンバーたちを交え、ゲームマスターと世界観を一新した第4キャンペーンが開始しています。

既に第1キャンペーンの一部をアニメ化した『ヴォクス・マキナの伝説 / The Legend of Vox Machina』が既にアマゾンプライムビデオで公開されており、『マイティ・ナイン』は第2キャンペーン、つまりその続編にあたりますが、舞台も主人公一行も異なるため、基本的に前作の事は知らなくてもおおむね楽しめるはずです。

お、この記事に関しても、ヴォクス・マキナの伝説の続編という位置づけとして、同様のスタイルで紹介していきます。

なお、TRPGのセッションを原作としていますが、前作『ヴォクス・マキナの伝説』ではシステム上の情報は登場せず、原作のセッションから細かい展開や順番が改変された事もあり、本作も同様のスタイルとみられるため、原作やシステムの知識は基本的に不要です。

『ダンジョンズ&ドラゴンズ』というシステム、そして「TRPG」

知識は不要とはいえ、念のためD&Dにも軽く触れておきましょう。
ファンタジーに興味のある読者の皆さんであれば、どこかでこの名前を耳にした方もいらっしゃるかもしれません。
D&DはTRPG―「テーブルトーク・ロールプレイングゲーム」、あるいは「テーブルトップ・ロールプレイングゲーム」の「システム」―すなわちルールの集合体です。

TRPGでは、「ゲームマスター」(以下GM)と呼ばれる主催となるプレイヤーが状況を説明し、他のプレイヤーは自らのキャラクターとして、その世界の中での行動を説明する―この繰り返しで進行し、その成否が今後を左右するような状況では、GMはルールやそれによって定められた様々なデータなどを基準に、サイコロのような乱数の出目や、キャラクターが持つリソースを消費することを求めるのです。

本作で言えば、マイティ・ナインの一行がプレイヤー、それ以外のすべてがGMが描く物―キャラクターなら「NPC」(ノンプレイヤーキャラクター)―にあたります。

Critical Role 第2キャンペーンの配信のスクリーンショット。ここでは画面左上のマシュー・マーサー氏がダンジョンマスター(D&Dでの「ゲームマスター」の呼び名)、他の6名がそれ以外のプレイヤー。
左下にはボーリガードのデータが表示されている。

多くのTRPGの「システム」には扱う物語のジャンルがあります。D&Dでは、プレイヤーは「冒険者」となり、剣と魔法のファンタジーの世界―タイトルにもある「ダンジョン」に潜り「ドラゴン」を討ち、財宝を持ち帰るなどといった冒険―を繰り広げるのです。

そこにプレイヤーたちの役者として、D&Dプレイヤーとしての知識と経験、そしてダイスの出目が決める運命が噛み合い、数多くのドラマを生み出してきたのがCritical Roleであり、それをアニメ化したのがこの『ヴォクス・マキナの伝説』や『マイティ・ナイン』なのです。

少し余談ですが、その気になればGMは簡単に「岩が落ちてきて全員死にました。ダイスで判定しようがしまいが変わりません」などと言うこともできます。しかし、あえてそうせず、協力しようとするところにTRPGという遊びの美しさがあるのだと、筆者は思います。

TRPG用語について

その他、本記事シリーズで頻出のTRPG用語について説明します。

  • セッション:1回のプレイのこと。
    英語の「session」(ある活動を行う時間、特定のグループが共通の活動を行う集まりなど)。日本語ではよく音楽に関する意味合いで使われる。

  • キャンペーン:共通したキャラクターたち、あるいは一連の物語のプレイ。
    英語の「campaign」(一連の積極的な組織的運動、一連の軍事作戦)。対義語は「単発」(one-shot)。Critical Roleでも本編の外伝的回や、ゲームの案件として時折単発回の配信がある。

個人的な体験ですが、「キャンペーン」は日本語では何回にも渡ってプレイする場合に使われる一方で、英語では単発でも使われるようにも見えます。

舞台設定

「多元宇宙」

ダンジョンズ&ドラゴンズはDMの創造性やプレイスタイル、ルール裁定などをバックアップする形で、半ば汎用ファンタジーシステムというレベルで、世界観の自由度を広くとっています。そのため、まずは取り上げられている世界観を説明する必要があります。

D&Dの世界は多元宇宙マルチバースであり、様々な”物質界”―あえて語弊がある表現をするなら「現実」―から、いわゆる「天界」「地獄」「精霊界」的な観念的な世界まで、様々な世界があるとされています。

この中には映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』やゲーム『バルダーズ・ゲート3』などの舞台となった「フォーゴトン・レルム」のような、公式に出版された世界観はもちろん、GMが考えたオリジナルの世界観も含まれます。事実、公式の世界観の多くも、元はどこかのプレイグループで使われた物が始まりです。

「エクサンドリア」の世界

本作の世界観は、Critical Roleオリジナルの「エクサンドリア / Exandria」。
かつて神々と人々の距離は近く、大魔法文明が栄えた世界でしたが、「裏切り者の神々 / Betrayer Gods」とその他の神々による「大災厄 / The Calamity」(※『ヴォクス・マキナの伝説』では「大戦争」)ののち、人と神の世は分断され、影響力を落とした現在に至るという歴史があります。
それ以外に関しては作中で登場次第解説します。

そして、この『マイティ・ナイン』の物語は前作『ヴォクス・マキナの伝説』を含む一行の冒険(第1キャンペーン)から20数年後が舞台となります。

神々の名前

エクサンドリアを舞台とした原作キャンペーンでは、D&D含め他システムから設定が流用された神々が登場していましたが、アニメ化はD&D等の公式とは別ライセンス扱いとなっているため、「エヴァーライト(永遠の光)」「ささやかれし者」など、二つ名のみで登場するという扱いになっていました。これらに関しても、真名を含め、登場次第解説します。

ワイルドマウント大陸

そのエクサンドリアの世界にいくつかある大陸の中で、本作の主な舞台となるのが「ワイルドマウント / Wildemount」(『ヴォクス・マキナの伝説』では「ウィルドマウント」と訳されていました)。

『ヴォクス・マキナの伝説』をご覧になられていた方であれば、シーズン3中盤に登場した、雪に覆われた浮遊列島「ドラコニア/Draconia」もワイルドマウントの一部です。

クリン王朝

第1話冒頭に登場する、聖遺物「ルクソン・ビーコン/Luxon Beacon」の元々の在り処はウィルドマウント北東の荒野・ゾーハス/Xhorhasを治めるクリン王朝/Kryn Dynastyです。

国の人口のほとんどはドラウ(ダーク・エルフ)で、「ルクソン」なる謎の神を信仰し、国外不出の時空と重力、そしてエントロピーを操る独自の魔術「デュナマンシー/Dunamancy」を有しています。
その詳細については物語の中で明かされていくことでしょう。

ドウェンダリア帝国

物語の中心となるもう一つの国が大陸北西の「ドウェンダリア帝国/Dwendalian Empire」。周囲を山に囲まれた寒冷地にあるこの国の都は「レクセントラム/Rexxentrum」。国王のもと多数の法が敷かれており、税金は厳しく、死霊術は禁術とされています。
都市伝説やおとぎ話にささやかれる「ヴォルストラッカー/Volstrucker」と呼ばれる存在が有名だそうですが…?
『ヴォクス・マキナの伝説』に登場したブライアウッド夫妻もこの国の出身で、死霊術に手を出した事から民衆蜂起にも至ったそうです。

コバルト・ソウル

レクセントラムの都は「コバルト・ソウル/Cobalt Soul」という組織の本部を有しています。
コバルト・ソウルは「知の女神」アイウーンの導きの下、知識を探求して守り、人々に可能な限り公開すること、そしてその知識を用いて、人々のため腐敗と暴政に立ち向かうことを目的とした組織です。
コバルト・ソウルの階級には、上からハイ・キュレーター/High Curatorを頂点として、3~5人程度存在するキュレーター/Curatorは公開すべきでない情報を定め、そして収集した情報の管理や訓練を行うアーキビスト/Archivistの下に、実地調査を行う僧侶/Monkたちがいます。
一方で、エクスポジター/Expositorは特別な立場で、各キュレーター直属の秘密調査員です。

ニコドラナス

第2話に登場するニコドラナス/Nicodranasは、ワイルドマウント大陸は南西沿岸部の港町。周辺沿岸としては第2の大きさの都市です。ドウェンダリア帝国とも通商条約を結んでおり、帝国の人々のバケーションスポットとして人気があります。

システムの要素

この項は本編を理解するのには必要ありませんが、本記事で説明を行うための前提知識について解説します。

HP、ダメージ

コンピューターゲームに普段から触れている方なら既にご存じであろう概念ですが、念のため。
D&DのHP(ヒット・ポイント)とは、ゲーム上で打たれ強さを表現した数値で、ルールでは「本人の耐久力と生きようとする意志を総合したもの」といった説明がされています。
0になると死亡という作品もありますが、原作で使用されたD&Dの第5版ではプレイヤーキャラクターに関してはその場に倒れて、生死の境を彷徨う判定を行う猶予が与えられます。

キャラクターの種族とクラス

D&Dでは基本的に、プレイヤーは自らの分身となるキャラクターを作る際、「種族」と「クラス」という要素を選ぶことになります。
「種族」は主に生物的な特徴を、クラスは自らの技術や経験に基づく特徴的な能力―あえて語弊がある表現をするなら「職業」―を表します。

RPGの「職業」に関しては、D&Dのクラスも含めて、下の記事で詳しくその語義について説明しています。

さらに、「第5版」の原典セッションで使用されたルールでは、クラスによって、1から3レベルの間のどこかで、そのクラスの中でもさらに細かい分類である「サブクラス」を選ぶことになります。
サブクラスに関してはネタバレにならないタイミングでそれぞれ本記事で紹介します。

無論、種族とクラスだけがすべてではありません。
第5版ではそれ以外の部分をカバーするように「背景」というものがありますが、原典で使用されたルールではデータ上の細かい所持品など程度で、ゲームシステム上の意義は薄いため、キャラクター紹介では割愛します。

キャラクターのレベル

D&Dにはプレイヤーキャラクターに「レベル」の概念があります。これは英雄としての格、強さと関連しており、ルールブックでは基本的なキャラクターの強さのイメージをレベルで4段階に分けています。

  • 1~4:駆け出しの冒険者。一般人よりは強い程度で、レベル毎に各クラスの特徴が少しずつ増えていく。主な相手は農場や村々を脅かすレベルの脅威。

  • 5~10:一人前の冒険者。武器戦闘が得意なクラスであれば1ターンに2回攻撃したり(戦闘システムはターン制です)、魔法を扱うクラスは火球を生み出したり、死んだばかりの死者を蘇生することができるようになる。都市や国レベルの脅威を相手取る。

  • 11~16:常人とは一線を画する力の持ち主。各キャラクターの能力はますます派手な物になり、敵は地域・大陸クラスへと広がっていく。

  • 17~20:各クラスの頂点。世界一つや多元宇宙レベルの敵と戦える大英雄。

『マイティ・ナイン』の原作のキャンペーンではレベル2から始まり、レベル14まで続きました。
ですが、本作第3話の途中までは一行が合流するまでを描いたオリジナル展開となっており、第3話が原作の第1回に相当します。

本作、前作共に、アニメとしての見栄えを考慮し、各キャラクターの能力面は原作での習得タイミングから外れたりするなど、改変も多く行われています。

なお自分自身Critical Roleを継続して見ている訳ではなく、詳細な情報はWiki(https://criticalrole.miraheze.org/)や有志のデータ検証(https://www.critrolestats.com/)、海外ファンの会話などに頼っています。細かいミスなどの指摘があればコメントのほか、X(@mslabo102)やBluesky(@mslabo102.bsky.social)やmisskey(@mslabo102)までよろしくお願いします。

主要登場キャラクター

当時のレギュラー出演者全員が声優ということで、英語ではプレイヤーキャラは全員当時のプレイヤーが演じている他、DMのマシュー・マーサー氏も端役で度々登場します。

ケイレブ

Player & EN Voice: Liam O’Brien / JP Voice: 三木眞一郎(一部ドイツ語は原語版ママ)
フルネーム:ケイレブ・ウィドガスト/Caleb Widogast

指名手配犯として立場を追われ、路上生活を続ける魔法使い。
ところどころでドイツ語を話すシーンがありますが、これは原典のプレイヤー兼英語版での演者のドイツ語好きが由来で、ケイレブの出身地で使われる「ゼムニア語/Zemnian」を話している事を表現しているそうですが、原典でのDM曰く世界観上の言語そのものではないとの事です。

種族:ヒューマン
早い話、基本的に現実の我々と同じ人間です。より長命な人型種族が他にも存在するD&Dの多元宇宙では、ヒューマンとは寿命は比較的短いながらも、野心と適応力にあふれた存在であるとされています。

クラス:ウィザード
D&Dにいくつかある「魔法使い」のクラスの中でも、ウィザードは自らの知識や技術として魔法を扱う存在です。ゲーム上では全クラスの中でも呪文のバリエーションは最も広く、他のクラスが持つような特殊な要素は一切なしで呪文を扱います。
その呪文は自らの「呪文書」に研究成果として書き溜められており、そのためにはインク代や研究材料代として、金銭的な費用がかかりますが、それに対してケイレブはずっと貧乏生活を続けている所が面白いですね。

サブクラス:変成術
ウィザードのサブクラスは主に呪文の専門分野を表し、彼の専門は変成術です。
変成術には後述する呪文「ヘイスト加速」や、身体能力の強化、物理的な変身など、補助的な呪文が多く含まれいます。
ゲーム上は変成術の習得費用が安くなったりします。

ノット

Player & EN Voice: Sam Riegel(加工あり) / JP Voice: 水田わさび
勇者ノット/Nott the Brave」を名乗るゴブリンの盗賊。「勇者ノット」と名乗るだけで、名字らしいものはないようですが…?
英名は”Nott”を発音が同じ単語の”not”に変えると「not the brave」=「勇者ではない」と解釈できます。

種族:ゴブリン
RPG系のファンタジーでは定番の種族ですが、定番になったのもD&Dのおかげです。元をたどれば『指輪物語』の種族・オークにあり、同作では大小様々な「オーク」が存在していましたが、D&Dではその中でも小さいものをモデルに、指輪物語でのオークの別名「ゴブリン」をあてて別種としたのです。
エクサンドリアの世界観でも嫌われ者なのか、ゴブリンである事を隠すため、口元を隠す陶器のマスクを口にはめることがあります。

クラス:ローグ
クラスの「ローグ」は日本語で言えば「ならず者」「はぐれ者」などの意味を持っています。これではピンとこないかもしれませんが、サブクラスにはシーフ(盗賊)、アサシン(暗殺者)、スカウト(斥候)などがあると言えばわかりやすいでしょうか。
ゲーム上の大きな特徴は2つ。”巧妙なアクション”で素早く移動しながら攻撃し、”急所攻撃”で敵の隙をついて一撃でダメージを与える、一撃離脱を得意とします。
前作『ヴォクス・マキナの伝説』のヴァクスも該当したクラスですが、ノットはまた方向性が違いますね。

ボーリガード(ボー)

Player & EN Voice: Marisha Ray  / JP Voice: 小市眞琴
本名:ボーリガード・ライオネット/Beauregard Lionett
愛称:ボー/Beau
種族:ヒューマン

クラス:モンク 
ケイレブと同じヒューマンですが、ボーリガードのクラスは「モンク」―己の心身を鍛え、内なる力を引き出し武術とする存在です。
本来「モンク」とは修道士の事ですが、D&Dの「モンク」という名称は少林寺拳法などのようなイメージを由来としています。
彼女が属する「コバルト・ソウル」の本部で武術を教えている様子が第1話で描かれており、彼女もそこで武術を学んだのでしょう。

ゲーム上の特徴は素手や軽量な武器を用いた戦闘に長け、高い機動力と連続攻撃で敵を圧倒します。

サブクラス:青魂門(Way of the Cobalt Soul)(オリジナル)
そしてモンクのサブクラスとは門派、流派を表すものですが…なんとオリジナルです。前作『ヴォクス・マキナの伝説』でもありましたが、ここのグループはオリジナルデータモリモリでプレイされています。
英名の「Way of the Cobalt Soul」からもわかる通り、コバルト・ソウルという組織と深く結びついたサブクラスで、武術だけではなく、卓越した肉体への知識と観察眼がその武器となります。

そして…
海外で無料で公開されていたため、なんとなんと本記事の翻訳とセットで翻訳を公開します!!(訳名も自分のオリジナルです)

フォード

Player & EN Voice: Ashley Johnson / JP Voice: 田中爽多
本名:フォード・ストーン/Fjord Stone

呪われた剣と共に旅をする元船乗り。
「フォード」の英語の綴りはノルウェー語で「入り江」を意味する「フィヨルド」のそれです。
原作中では「ストーン」の苗字はキャンペーン終了後から使うようになったとの事ですが、本作の作中では使用されており、設定の差異があるようです。

種族:ハーフオーク
彼は緑色の肌を持つオークとヒューマンのハーフです。
オークも指輪物語を直接のモデルとしてD&Dに組み込まれ、RPGの定番種族になりました。力強く獰猛な蛮族、略奪者のイメージは日本でも知られていますが、海外ではその後のメディアでの扱いもあり、蛮族らしいヒロイックさを持ったイメージも広まっています。
第3話ではハーフでないオークも登場し、ハーフであるフォードは純血のオークと違って牙がなく、体型が小さいことがわかります。

クラス:ウォーロック
ウォーロックとは、この世ならざる存在と契約を交わして魔法が使えるようになった者です。
設定的にもプレイヤーキャラクターと関連するNPCや、ロールプレイ上のリスクとリターンを自然にシナリオに組み込むことができるため、DMがキャラクターをつい可愛がりたくなってしまうクラスNo.1(当社調べ)です。
一方で、ゲーム上は「魔法使い」系クラスの中でも最大の異端児です。
呪文を使用できる回数が極度に少ないのですが、それを補うように「契約の恩恵」や「妖術」によって、一部の呪文をパッシブスキルのように扱ったり、その他特殊な能力を選んで組み合わせることができ、中には武器の扱いが得意になるというものとあります。

サブクラス:ヘクスブレード
ウォーロックのサブクラスは誰と契約を交わしたかを表すもので、フォードの相手は浜辺で拾ったキャプテンの剣―これが彼の「ヘクスブレード」であり、ルールブックで訳される通りの「魔剣士」となったのです。
ルールにはそういった魔剣は影の世界、そしてレイヴン・クイーン(『ヴォクス・マキナの伝説』にも登場しました)と関連があるといった事に言及されていましたが、フォードの剣は事情が違うようです。
ここでいう「ヘクス/hex」とは六角形ではなく呪いの意味。ゲーム上では相手に呪いをかけて命中率やダメージを増幅することができます。
フォードは妖術の選択も剣術に寄せているため、立ち位置としてはローグのノット、モンクのボー同様の軽戦士枠となります。

ジェスター

Player & EN Voice: Laula Bailey / JP Voice: 花守ゆみり
本名:ジェスター・ラヴォール/Jester Lavorre

二本の巻き角と青い肌が特徴的な、ゆるふわお調子者の少女がジェスター。
見る限り、彼女はティーフリングのようです。

種族:ティーフリング
ティーフリングは悪魔の類を祖先に持つ種族です。国産の作品で言えば「魔族」と呼ばれるタイプの種族ですね。世界観によってはその悪魔的な見た目だけで驚かれたり嫌われる事もありますが、エクサンドリア、特に都市部では極めて多様な種族が暮らしているため、そういったケースは少ないようです。
ちなみに、名前はドイツ語で「深い」を意味する「tief」に「〇〇に関連する者」を表す英語の接尾辞「ling」です。『スプラトゥーン』の「インクリング」の「リング」です。
ティーフリングには美徳を名前につける文化があり、自分も他人も幸せにしたいという願いから、彼女は「ジェスター(道化師)」を名乗ったそうです。

クラス:クレリック
彼女の活躍を見ると意外かもしれませんが、データ上のクラスは「クレリック」。己の信仰により神の奇跡を引き出す神官戦士です。

ジェスターは軽装なので無関係ですが、D&Dのクレリックはより装備を厚くすることもできます。これは、9世紀フランスの司祭・バイユーのオドや、叙事詩『ローランの歌』における大司教テュルパンなどが戦士かつ司祭であった事を参考にしたとされています。

RPGの「僧侶」というと回復のイメージを持たれがちですが、それだけで終わらないのがD&Dのクレリック。サブクラスの「領域」、すなわち信仰する神が力を持つ分野に応じて、火力やデバフなども行えるようになります。
前作『ヴォクス・マキナの伝説』ではパイクのクラスですが、毛色が違うのはサブクラスの違いによるところもあります。そしてそのサブクラスというのが―

サブクラス:欺きの領域
―「欺きの領域」です。変化を司り、秩序に抗う神々の領域であり、我々の世界の神話なら、北欧神話のロキやエジプト神話のアポピスなどがこれにあたり、彼女が信仰する「トラベラー/The Traveler」もその類の存在のようです。
ゲーム上はクレリックが魅了や変装、透明化など直接的な攻撃手段よりも探索やデバフに役立つ能力を付加するというものです。

個人的な話、ジェスターは僧侶キャラとしては極めて型破りですが、ここまで型破りなキャラクターが世界的なD&D界隈として有名なクレリックの一例として存在しているという事、「神の奇跡の使い手」をここまで拡大解釈していいという模範が、よく見える場所にいるという事が本当に嬉しいのです。

モリーマーク(モリー)

Player & EN Voice: Taliesin Jaffe  / JP Voice: 土田大
本名:モリーマーク・ティーリーフ/Mollymauk Tealeaf
愛称:モリー/Molly
種族:ティーフリング

サーカスで注目を集める二本角の男がモリーマーク。彼もジェスターと同じティーフリングです。

クラス:ブラッド・ハンター
普段からD&Dを遊ばれている方であっても「ブラッド・ハンター」と聞いてピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。そう、ブラッド・ハンターは本グループのオリジナルクラスなのです。
ブラッド・ハンターとは儀式によって己の血を呪い、そして血の魔術をもって敵を呪う戦士です。独自の血魔術の能力と武器での戦闘を組み合わせ、自ら怪物となりながら自ら平和に仇なす怪物を狩るのです。

こちらのデータも英語で無料公開されているので、翻訳する予定はありますが、今後詳しく説明される可能性もあるので、頃合いを見ながらデータの翻訳が完了次第公開いたします。

第1話

呪文:アーケイン・ロック(一般兵)

狙われた伝説のアーティファクト、ルクソン・ビーコン。
一般兵はビーコンを守るため、保管庫の扉を魔法で閉めます。

D&Dには扉を魔法で閉め、物理的に開けられなくする呪文「アーケイン・ロック秘術錠」があります。アーケイン・ロックで閉めた扉にはパスワードを設定することもできます。
D&Dでは扉や容器などに触れている必要がありますが、(改めての説明になりますが)このアニメ自体はD&Dに忠実である事は目指していないため、このようにざっくりとした特徴だけで解説していきます。

やや余談ですが、対を成す呪文として、扉を無理やり開けてしまうこともできる「ノック解錠」の呪文もあり、アーケイン・ロックの一時的な解除もできます。
明確に扉を開閉するボタンがないため、この呪文やノックを使える人だけが開閉できる特別な扉なのでしょうか?どちらもレベル2呪文と比較的低めのレベルで、魔法が使える者が多いエクサンドリアの世界観なので、この保管庫の警備にあたる人物は両方使えることが前提なのかもしれません。

アイテム:クローク・オヴ・インヴィジビリティ?(盗人たち)

姿を消して侵入し、ビーコンを盗んだ盗人たち。
外套の魔力で透明化しているように見えるので、着ているのは|クローク・オヴ・インビジビリティ〈不可視の外套〉なのかもしれません。
フードの上げ下げで効果をON/OFFできます。

ただ、クローク・オヴ・インヴィジビリティはD&Dのルールでは極めて貴重なアイテムとされており、攻撃時に姿を現した事から、レベル2の幻術呪文「インヴィジビリティ不可視化」を使っていた、あるいは外套の効果がインヴィジビリティ同様である下位互換のアイテムだったという可能性もあります。

呪文:シャドウ・ブレード?(盗人)

保管庫で衛兵を切り裂いた刃は、魔法の淡い光を放ち、自然消滅するものでした。
闇を実体化させて剣にするシャドウ・ブレード影の刃の呪文のように見えます。
その場合、光っているような部分がマイティ・ナイン側でのアレンジという事になります。

呪文:レオムンズ・タイニィ・ハット?(盗人)

盗人たちは保管庫からの脱出の際、魔法のバリアで扉を覆ってから、扉を爆破しました。
まずは爆発音を拡散させないためのバリアから。
見た目としては「レオムンズ・タイニィ・ハットレオムンドの小さな小屋」の呪文です。
これは開発者である「レオムンド」(最初の一語がLeomund's)という別世界の魔術師の名を冠する呪文で、球形のバリアを展開し、元々中にいた生物や物体だけが自由に出入りできるというものですが、D&Dのルールでは音に関しては説明はありません。
通常は野営などに使われる呪文ですが、盗賊としての知恵が垣間見えます。

呪文:グリフ・オヴ・ウォーディング?(盗人)

次に爆発のルーンに関して。これはグリフ・オヴ・ウォーディング守りの秘文に見えます。
先んじて魔法の紋を描き、条件を指定しておくことで、条件を満たした際、爆発を起こしたり、自分の別の呪文が発動するようにすることも可能です。
通常は罠のように使う呪文ですが、現代戦でC4爆弾などを爆発させるようなイメージなのでしょうか?

呪文:フェザー・フォール(盗人)

縦に長いホールを飛び降り、魔法で落下速度を和らげて安全に逃走する盗人たち。これはフェザー・フォール軟着陸の呪文です。
モミジの葉を媒介として呪文を使っていましたが、D&Dのルールでは小さな羽か綿毛が媒介になるとされています。とはいえ、フェザー・フォールの触媒は汎用的に代替できるアイテム(杖など)で代用可能なため、DMが許せばこの記事を読んでいるあなたもこのようなオシャレなアレンジができるかもしれません。

呪文:ジャンプ(盗人)

扉が閉まった所で、魔法で強化した脅威的な跳躍力を使って屋根へと跳び移る盗人たち。
ジャンプ跳躍の呪文で、跳躍力を大幅に強化(ルールでは3倍)するものです。

設定:デュナマンシーについて(兵士)

盗人を追う兵士が自らの影から兵士を召喚し、盗人を襲わせます。
何らかの術を使っているようには見えますが、D&Dに元からある特定の呪文には見えません。
クリン帝国に伝わる「デュナマンシー」の術の中には己の可能性を呼び出す術も存在しており、彼が屈強な斧を持った戦士だったという可能性を引き出したのでしょう。

呪文:アイス・ナイフ???(盗人デイン)

追われる盗人が兵士に放った光のナイフは、爆発して飛び散ります。
D&Dには氷で似たような挙動をする「アイス・ナイフ氷のナイフ」呪文はありますが、光は見たことありません。オリジナルでしょうか?

呪文:テレポート?(盗人デイン)

デインと呼ばれた盗人が空に放った光で夜空が砕け、朝方の別の場所へと通じる道が開かれました。
同じ世界内かつ複数人を運んで時差のある場所まで跳んだという事は、テレポート瞬間移動の呪文の演出という事でしょうか?
知っている場所であったり、目的地から6カ月以内に持ち出された物体があると望んだ場所に行ける確率が高くなる呪文なので、事前に合流地点に向かうという点で理にかなっています。

立体映像のアイテム(メッセージ)

ドウェンダリア帝国では、クリン王朝から諜報員がビーコンを盗んだ件に関するメッセージが届いていました。
起動して立体映像を投影するアイテムというのは、明確にD&Dのルールにあるアイテムには見えませんが、呪文としては「マイナー・イリュージョン初級幻術」などがあるため、そういった類の効果を持つアイテムなのでしょう。

世界観:「クリック」(ルージミア/字幕)

諜報員たちの基地に向かう「コバルト・ソウル」の調査員たち。
字幕ではルージミア(背の低い方)がクリンの魔術師を「クリック/Crick」と呼んでいましたが、これはクリンの兵士の鎧がコオロギ(cricket)のような音をたてることから生まれた、ドウェンダリアなどで使われる罵倒語とされています。

アイテム:吠える犬の罠(建物)

建物に忍び込んだ二人を出迎えたのは、犬の吠え声を再生する罠でした。
D&Dのルールにあるアイテムではありませんが、魔法に溢れたエクサンドリアの世界では、このような魔法のアイテムが一般的に存在しているようです。
D&Dのルール上にあるアイテムはプレイヤーの能力に直結する物がほとんどですが、それら以外にもこういったちょっとした日用品なども存在しているのでしょう。そういったアイテムが公式のシナリオに登場することもありますし、自作されたシナリオで新しく出してもいいでしょう。

神格:「知の女神」アイウーン

コバルト・ソウルの本部、上司のジーノスの言葉に「知の女神/the Knowing Mistress」という単語が登場します。
これがコバルト・ソウルを導く神の二つ名であり、その真名をアイウーン/Iounと言います。元はD&D第4版の公式世界観「ネンティア谷/Nentir Vale」に登場した女神で、知識、技術、予言などを司ります。
ヴォクス・マキナの伝説で言及された「ささやかれし者」ヴェクナは秘密を司る神のため、敵対関係にあります。

生物:建物内の生物たち

盗賊のゴブリン(ノット)が忍び込んだ先、パニックになりながら様々な生物が映ります。
ヴォクス・マキナの伝説同様、モブモンスターのデザインはD&Dから大きく差別化されているため、元ネタが分かった場合のみ説明します。

呪文:ヘイスト(暗部ヴォルストラッカーの諜報員)

諜報員はタトゥーの魔力で加速し、ボーリガードを追い詰めます。
これはヘイスト加速の呪文でしょう。己の時間を加速させ、ルール上は移動速度や行動回数、攻撃の回避能力が一挙に増加する強力な呪文です。
『ファイナルファンタジー』をご存じの方なら名前を聞いてピンとくるかもしれませんね。

呪文:クラウドキル(暗部ヴォルストラッカーの諜報員)

諜報員が用意していた魔法の罠に引っかかってしまうボーリガード。罠は毒ガスを発生させるものだったようです。
毒ガスの呪文は複数ありますが、範囲が大きいのでクラウドキル殺戮の雲の呪文でしょう。「黄緑色の霧」が発生するとルールにありますが、その描写とも合致します。

余談でまた『ファイナルファンタジー』の話題になりますが、1や2などでの毒魔法が「クラウダ」なのもこれが元ネタとされています。

世界観:レジデューム

秘密を追うコバルト・ソウルの一員は、帝国の暗部ヴォルストラッカーが精製していた魔力を増幅するクリスタルを「レジデューム/residuum」と呼んでいました。
これはD&D第4版のルールに登場する物質で、魔法のアイテムを分解した際に生じる物体であり、そちらでは魔力が凝縮したものとも表現されています。
名前はラテン語で残留物、残滓を意味する”residuum”が由来で、英語のresidueと語源や意味合いが同じです。

(ヴォクス・マキナの伝説のシーズン1でも登場していましたが、当時はD&D側由来である事を知らなかったので改めて解説しました)

呪文:ファインド・ファミリアー(ケイレブ)

浮浪者(ケイレブ)が謎の儀式を始めると、その火の中から猫が現れました。しかも、彼はこの猫とは顔見知りのようですが…。
これは疑いようのない「ファインド・ファミリアー使い魔獲得」の呪文です。小動物の姿をした霊を使い魔として呼び出すというもので、使い魔の視界を一時的に共有して探索を進めたり、攻撃力はなくとも、戦闘でも敵の注意をそらすなど小回りが非常に効く呪文です。

一度HPが0になっても完全には死亡せず、もう一度儀式を行えばまた呼び出すことができるという点がD&Dのルールで言及されており、これの通りならケイレブは以前使っていた使い魔を再度召喚したのでしょう。

また、D&Dのルールでは「炭とお香とハーブを真鍮で燃やす」ことを媒介とする(代用不可)とありますが、マイティ・ナインでも何かを「燃やす」ことで儀式を行っているのが共通しています。触媒の質が悪い(別の代用してしまった?)ため召喚は失敗していましたが、これがD&D同様に正式な炭とお香とハーブをちゃんと使っていれば成功していたのでしょうか?

第2話

能力:朦朧撃(ボーリガード)

隠れ家で訓練するボーリガード。時間稼ぎの「スタニング・フィスト/Stunning Fist」(吹き替え)と呼ばれる技を練習しています。
これはD&Dのモンクの「朦朧撃/Stunning Strike」と英名が似ています。モンクの持つ素手攻撃を強化し、相手を朦朧状態/stunnedにすることで1ターン一切の行動を許さず、攻撃も当てやすくなるというものです。「時間稼ぎ」と言われていますが、D&D的には相手に有無を言わさず倒してしまう事もできてしまう可能性のあるとても強力な技です。

呪文:フライ?テレキネシス?(魔術師エセク)

廊下を浮遊しながら進むクリン王朝の魔術師。
この用途で普段使いできる呪文はD&Dには見当たりません。なぜなら、経験者目線では、フライ飛行は高速で飛行することができ、テレキネシス念動力なら自分自身を掴み上げて移動させることはできますが、どちらにしても高レベルの呪文なので力を無駄遣いしているように見えるのです。エセクはNPC相当なのでそういわれたらそこまでなのですが…

呪文:サジェスチョン(フォード)

身分証がないフォードを通さない衛兵たち。魔剣に操られ、怒りのまま叫ぶと、衛兵たちの気が変わってしまいます。
こういった精神操作の効果を持つ呪文はD&Dでは「心術」に分類されますが、ウォーロックが習得できるものとしては「サジェスチョン示唆」が近いでしょう。
相手を魅了し、向こう8時間は自分が指示したことを達成できるよう行動させてしまうというものです。

呪文:ガスト・オヴ・ウィンド(ケイレブ)

追い詰められた困ったノット。ケイレブは羽毛を使って突風を起こします。
これはガスト・オヴ・ウィンド強風の呪文でしょう。
直線に1分間突風を起こし、ガスや煙どころではなく生物まで吹き飛ばしてしまいます。
DMの裁定次第にはなりますが、周囲の物によっては土煙なども起こして更なる効果を発揮するかもしれません。

呪文:ディスガイズ・セルフ/能力:百面相(フォード)

衛兵に肩をぶつけて笑われるフォードでしたが、その後剣の魔力で一瞬姿が衛兵のそれになってしまいます。
これは原作でフォードが使用した呪文の中では変装ディスガイズ・セルフの呪文が該当します。身長が近い人型生物に変身することができますが、あくまで外見だけです。
ウォーロックは「百面相」の妖術を習得することで、この呪文をいつでも、何度でも使用することができます。

呪文:メイジ・ハンド?(ジェスター)

母と遊ぶ予定を作るため、政治家の演説を台無しにするという暴挙に出るジェスター。
遠隔操作して物理的に垂れ幕を降ろしていましたが… D&Dのルールには見当たりませんでした。
一番近いのは浮遊する手を召喚して物体を操作できるメイジ・ハンド魔道士の手ですが、同時に1つまでしか出せないのでいまいち合致しません。
そもそも原作でのジェスターの使用呪文どころかクレリック+欺きの領域全体で見ても該当する呪文が見当たらないのです。

呪文:エルドリッチ・ブラスト(フォード)

ジェスターの共犯とみなしてフォードごと捕まえようとする衛兵。不本意にその手からエネルギー波が発射されてしまいます。
これは明らかにエルドリッチ・ブラスト怪光線の呪文です。ウォーロック専用の呪文で、単純なエネルギーによる射撃攻撃ですが、ゲーム上妖術で様々な能力を付与できるという特殊な呪文です。
ウォーロックの回数制限のある呪文は非常に回数が少なくなっていますが、エルドリッチ・ブラストは使用回数無制限の「初級呪文」に属するので、安定したダメージ源として重宝されます。

呪文:ミスティ・ステップ?(フォード)

衛兵の剣の攻撃が来た際、水に溶けて回避してしまうフォード。
短距離を瞬間移動する呪文といえばミスティ・ステップ霧渡りで(霧ではありませんが描写の範疇でしょう)、ウォーロックも使用できますが、原作ではフォードは使用していません。

呪文:スピリチュアル・ウェポン?(ジェスター)

逃げるジェスターが去り際に政治家に魔法で反撃。[ピー]な物体を空中に生み出して攻撃します。
先程の動物を生み出したような見た目ですが、クレリックの遠隔攻撃かつ物体を召喚するといえばスピリチュアル・ウェポン心霊武器が思い浮かびます。これはルール上は基本的に信仰している神を象徴する武器の形(例えば北欧神話の雷神トールなら槌など)をとるのですが、一方で直接「好きな形態にしていい」ともあるので、その点を拡大解釈した結果です。
こういった所もTRPGの楽しみの一つですね。D&D5eでも、サプリメントの一つにおいて、「他の呪文のような外見になったり、効果が変わらない限りはいくらでも呪文の見た目を変えても構わない」という記述がある程です。

D&D第5版 サプリメント『ターシャの万物釜』より、呪文の見た目の表現の一例。
農家出身の術師がニワトリ型マジック・ミサイルを放つ様子。

世界観:「トラベラー」(ジェスター)

ジェスター曰く、イマジナリーフレンド面をしている「トラベラー/The Traveller」は「神」だと言いますが…。
D&D公式にも「エベロン」の世界観における混沌と変化を司る神「トラヴェラー/The Traveller」が存在しますが、調べたところ別の存在のようです。

世界観:「海のルビー」(ジェスター)

ジェスターの自己紹介にあった「海のルビー/Ruby of the Sea」は第2話の冒頭にも登場したジェスターの母、マリオン・ラヴォールの二つ名です。

呪文:キュア・ウーンズorヒーリング・ワード(ジェスター)

トラベラーに教わった魔法でフォードの傷を治療するジェスター。
ぬいぐるみの熊が現れて縫ってくれましたが、これがジェスターなりのクレリックらしい治癒呪文なのです。

D&Dの低レベルの治癒呪文といえばキュア・ウーンズ傷治療ヒーリング・ワード癒しの言葉があります。それぞれ相互互換の関係になっており、キュア・ウーンズはHPの回復量が多い代わりに、接触していないと使用できずず、使用に若干時間がかかります。一方で、ヒーリング・ワードは回復量が少ない代わりに、攻撃の片手間でも使用でき、遠距離でも回復できるなど、戦闘中の使用に向いています。

呪文:テレポーテーション・サークル(エセク)

魔法陣から建物内に現れるエセク。
こういった瞬間移動の陣はテレポーテーション・サークル瞬間移動の魔法円の呪文で作ることができます。D&Dのルールでは365日間かけ続けることで永続的なものを作ったり、一時的な物を作って永続的な陣に移動することができます。

第3話

呪文:グリフ・オヴ・ウォーディング+シャター?(ケイレブ)

魔法の印を仕込み、車輪を的確に破壊するケイレブ。
踏むと呪文が起動するというのは第1話で紹介したグリフ・オヴ・ウォーディングを思わせます。
一方で、物体を確実に破壊する呪文というとシャター破砕なのですが、D&Dのルールでは大きな音が鳴り、この荷車全体を破壊してしまう規模の爆発を起こしてしまいます。他のウィザード呪文もイマイチ描写にかみ合わず、特定しきれません。
なお、原作でケイレブはどちらも使用していません。

呪文:メッセージ(ノット/ケイレブ)

ケイレブの即席の魔法のアイテムを通じて遠距離で話すノット。
原作でケイレブが習得した呪文かつ、何度も繰り返し使っているのでメッセージ伝言―ケイレブの専門である変成術の初級呪文の一つです。指定した一人と、離れていても小声で会話できるというものです。
D&Dのルールでは使用する度に相手を指定すればいいので、わざわざアイテムを渡したりする必要はないのですが、簡易的なアイテムのように扱うという、触媒を強調するケイレブらしい表現になっています。

モンスター:ネルガリード(原作での悪魔ガエル)

ゾルハスの地からサーカスに持ち込まれた「悪魔ガエル」は、暴れ出せば人をゾンビに変えてしまう恐ろしい化け物でした。
これはD&Dのルールに直接由来しない原作Critical Roleオリジナルのモンスターで、原作では「悪魔ガエル/devil toad」以外にも「Nergaliid」という種族名も出ていました。
アニメでは知性の薄い動物のような存在として描かれていましたが、原作ではカーニバルに協力する代わりに生け贄を求めた知性ある悪魔で、一般人をカエル人間ではなくゾンビに変えていました。

訳名メモ:本編で正式名称に言及されていないため独自の訳をつけました。
配信当時のDMのMatthew Mercer氏曰くメソポタミア神話の「ネルガル/Nergal」が元ネタにあると言及していたため、「ネルガル」の表記をベースに訳しています。

呪文:スピリチュアル・ウェポン(ジェスター)

悪魔ガエルによって増殖するカエル人間。その一体をジェスターが魔法で召喚した巨大なキャンディーを飛ばして叩き潰します。
これも第2話と同じでスピリチュアル・ウェポンなのでしょう。
クレリックならレベル3から使用可能になるので原作より若干早めの登場になりますが、彼女を代表する技なのでしょう。

呪文:ファイアボール(ケイレブ)

ケイレブがルミノ・ビートルを使って生み出したのは燃え盛る火の玉。
ウィザードを代表する呪文・ファイアボール火の玉です。
ゲーム的には抜きん出た火力を持ち、しかも範囲攻撃。ウィザードがレベル5になったらとりあえず習得する、という人も多いでしょう。しかし、その範囲の広さが災いして味方を巻き込んでしまうので使えない、という事もあります。
ウィザードであればレベル5から使える呪文なので、原作よりかなり早めに登場しています。

呪文:マクシミリアンズ・アースン・グラスプ(暗部ヴォルストラッカー

地面が盛り上がり、カーニバルを離れるデッド・アイを捕まえようとします。
土を操る呪文自体は複数存在しますが、地面から土が伸びてきて捕まえるという点で、マクシミリアンズ・アースン・グラスプマクシミリアンの大地のつかみを紹介します。
D&Dのルールではマクシミリアンズ・アースン・グラスプは土が手の形になって掴みかかる呪文と説明されています。一回の使用で相手を捕まえ、必要であれば握りつぶして継続してダメージを与え続けられるのが特徴です。


あとがき

ついに始まったマイティ・ナイン。前作よりスローペースかつシリアスな雰囲気で、個別導入も相まって大作JRPGの導入のように感じます。そしてこの第3話まではほんの序章。ここから長きに渡る冒険が始まっていきます。
なお、第4話からは毎週1話公開なので、次回の解説記事はキリのいいタイミングを見計らって公開します。

追記:できました↓

宣伝

本アカウントではD&D関連の解説記事ほか主にゲーム関係の記事を投稿しております。

前作『ヴォクス・マキナの伝説」『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』『シークレット・レベル』第1話といったD&D関連メディアのほか、国産の『異世界マンチキン』も公開され次第解説予定です。

そして本YouTubeチャンネルでは日曜21:30からTRPG配信を行っております。
システムはもちろんD&D。DMの考えたオリジナル世界観という意味ではマイティ・ナインの原作・Critical Roleもこちらも共通しています。

ゆるーく超低予算でやっておりますが、ご興味がありましたら是非。

さらにその延長線上として、YouTube、note共にD&Dの初心者向けルール解説も不定期で行っています。実際に遊び始めてよくわからない!となった方におすすめです。


いいなと思ったら応援しよう!