【15万円の決断】家を建て、子どもが生まれる前に、僕が「6畳のホームジム」を作った本当の理由
「子どもが生まれたら、自分の時間なんてなくなるよ」
先輩パパたちから、何度もそう言われてきました。
当時、僕の趣味は筋トレ。
家から徒歩10分のジムに通っていました。
往復で、たったの20分。
でも。
本当に子どもが生まれたら、
その「たった20分」すら、
愛おしい家族の時間を削る、罪深いものに思えてしまうのではないか。
そんな予感がしていました。
せっかく家を建てたばかり。
将来の子ども部屋になる予定の、6畳の空き部屋が、ぽつんとそこにある。
「……だったら、ここにジムを作っちゃえばいいんじゃない?」
それが、すべての始まりでした。
今回は、育児と大好きな趣味をどちらも諦めたくなかった僕が、
15万円を握りしめて自宅に作った「秘密基地」の、
汗と涙、あるいはちょっと泥臭い記録をお届けします。
働き盛りで、自分の時間が作れない。
これから家を建てようか迷っている。
そんなあなたの、何かのヒントになれば嬉しいです。

■ 「2年で元が取れる」という、自分への言い訳
ホームジム、なんて言うと、
なんだかすごく贅沢なものに聞こえるかもしれません。
僕だって、最初はビビっていました。
家を建てたばかりでお金もないのに、いいのかなって。
でも、頭の中でそろばんを弾いてみたんです。
当時のジムの会費は、毎月8,000円。
僕が目をつけたIROTEC(アイロテック)の「マルチビルダーステーションR」を中心としたセットは、ネットで徹底的に調べて、予算ベースで約15万円でした。
15万円を、8,000円で割る。
答えは、約22ヶ月。
「そうか。2年使えば、元が取れるんだ」
そう思うと、急に心が軽くなりました。
これは贅沢じゃない。
未来の自分と家族のための、ささやかな工夫なんだ。
そう自分に言い聞かせて、
ポチッと購入ボタンを押しました。
部屋が狭く見えないように、あえて上のフレームがないラックを選び。
自分の限界に挑めるように、100kgを超えるバーベルのセットを選びました。
届くのが、本当に待ち遠しかった。
あの時までは。
■ 玄関に届いた100kgの鉄塊と、孤独な格闘
ある日、運送会社のトラックから、
信じられない量の大荷物が降ろされました。
合計、100kgを超える鉄の塊。
当たり前ですが、配達員さんは玄関までしか運んでくれません。
そこから先は、僕ひとりの戦いです。
設置場所は、戸建ての2階。
新築の、まだピカピカの壁。
少しでもぶつけたら、一瞬で傷がつきます。
妻の視線も、なんとなく痛い。
重い鉄を、慎重に、でも必死に抱えて、
階段を何往復も、何往復もしました。
汗が目に入って痛い。
腕はパンパン。
ようやく運び終えたと思ったら、
今度は「組み立て」という名の巨大なパズルが待っていました。
説明書と睨み合いながら、工具を握りしめること半日以上。
気がつけば、家中が段ボールと発泡スチロールの山で埋め尽くされていました。
「ホームジムって、お金だけで買うものじゃないんだな」
自分の体力と、時間という「労働力」を、
これでもかと前払いして手に入れるものなのだと、
身体中の筋肉痛が教えてくれました。
■ 愛車シエンタと、命を守る「静かな」こだわり
せっかく作るなら、安全で、家族にも迷惑をかけない場所にしたい。
そこから、僕の細かなこだわりが始まりました。
まずは、床の補強です。
鉄の重さで家が歪んだら大変。
近所のホームセンターへ走り、
90×180cmの大きなコンパネ(ベニヤ板)を買い込みました。
「これ、家に持って帰れるかな……」と不安でしたが、
愛車のシエンタの後部座席をバタンと倒したら、すっぽり収まったんです。
あの時のシエンタの頼もしさは、今でも忘れられません。
床にジョイントマットを敷き、その上にシエンタで運んだ木の板を載せる。
これで床の対策はバッチリです。
それから、一番こだわったのは「セーフティバー(安全棒)」。
自宅でのトレーニングは、基本的にひとりきりです。
もし、バーベルの重さに潰れてしまったら、助けてくれる人はいません。
だからこそ、命綱となるバーだけは、しっかり長さがある頑丈なものを選びました。
もうひとつの問題は、音。
バーベルを置くたびに「ガシャーン!」と響いたら、
せっかく眠った子どもが起きてしまいます。
そんなの、絶対に避けたい。
そこで僕は、バーベルが地面に着く場所に、
家にあるクッションを2個、そっと敷くことにしました。
これが、僕なりの「おもいやり対策」です。
■ 6畳という広さがくれた、予想外の「ゆとり」
僕がジムに充てたのは、6畳の部屋です。
実際に使ってみて、わかったことがあります。
もし、本格的に全身を鍛えたいなら、
やっぱり最低でも5畳から6畳は必要だと思います。
4.5畳だと、バーベルを横に動かしたり、
重いプレートを付け替えたりする時に、
どうしても壁に手が当たりそうになって、少し窮屈なんです。
でも、「自分はベンチプレス(胸のトレーニング)だけできれば満足!」というストイックな方なら、話は別。
器具を絞れば、4畳くらいのスペースでも、十分に自分だけの聖域を作ることができます。
部屋の広さと、自分のやりたいこと。
そのバランスを天秤にかけるのが、
失敗しないホームジム作りのコツかもしれません。
■ 実際に使ってわかった、ホームジムの「光と影」
こうして完成した夢のホームジム。
最高なのは間違いありません。
移動時間はゼロ。着替える必要もなし。
でも、リアルな「裏側」もお話ししておきますね。
まず、音が気になって「本当の限界」まで追い込めません。
さっきお話しした通り、静かに置かなければいけないので、
最後の1回、1番キツい時に「そっと……」戻す必要があるんです。
「うおー!」と叫んでガシャーンと置くような、
激しいトレーニングは、我が家では封印です。
それから、空調の誤算。
「電気代がもったいないから、エアコンは後回しでいいや」
そう思っていたら、夏場が地獄でした。
扇風機1台では太刀打ちできず、部屋の中は完全なサウナ状態。
トレーニングを始めて10分で、滝のような汗が流れ、
体力の限界を迎えてしまいます。
(これから作る人は、絶対にエアコンをケチらないでください……!)
さらに、市販の高級なジムの器具に比べると、
どうしても鉄のバーが滑りやすい。
良いところばかりじゃない。
でも、そんな不便さも含めて、なんだか愛着が湧いてしまうから不思議です。
■ 家族のそばにある、期間限定の「修行部屋」
実は、このホームジムには「終わり」が決まっています。
ここは将来、子ども部屋になる予定の場所。
下の子が小学生になる頃には、この鉄の塊たちをすべて片付けて、
部屋を子どもたちに明け渡す約束になっています。
その時が来たら、またあの過酷な、
「解体」と「100kgの運び出し」という試練が待っています。
想像するだけで、ちょっと気が重いです(笑)。
でも、いいんです。
家族がリビングで笑っている声を、壁越しに聞きながら。
みんなが寝静まった夜、静かに息を潜めてバーベルを上げる。
この部屋で、ひとり静かに汗を流した数年間は、
僕にとって、ただの趣味の時間ではありませんでした。
それは、家族を大切にしながら、自分らしさも諦めないための、
「パパとしての、大切な修行期間」だったのだと思います。
滑りやすい鉄のバーを握りしめるたびに、
この家を建てた時のワクワクした気持ちや、
子どもが生まれた日の決意を思い出します。
卒業の日まで、あと数年。
今日も家族の寝顔を見守りながら、
最高のパパを目指して、
僕は(静かに、そっと)バーベルを持ち上げます。
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