税金のムダ:DX改革について、政治家の本物の「身を切る改革」とは?(マイナカードの例)
日本の税金のムダを、「中間コスト比率」の視点から分析し、どのような効率化が図れるかを、下記の5本の投稿として纏めた。
・税金のムダ:中間コスト比率ー注目すべき5つの領域(AI分析)
・COCOA、マイナカード…デジタル化政策設計に共通する問題点
・税金のムダ:中間コスト比率ーCOCOAの問題と教訓
・税金のムダ:中間コスト比率ー数千億~兆円規模のムダの実態(COCOAの事例等)
・税金のムダ:中間コスト比率 ー 政府のDX改革とその欠陥
その中の一例として DX 改革を取り上げ、更に「なぜ DX 改革が進まない?」のか、について政治家自身のコミットメントの必要性を取り上げた。
税金のムダ:DX改革について、政治家の本物の「身を切る改革」とは?
単なる机上の作文や理想論では面白くない。
マイナカードを具体例として、政治家自身がどの程度使っているのか確認してみた。
結論から言えば、多くの政治家が所有はしているが、利用率は低い。
というものだ。
だったら、自分達でさっさと使いやすくする為の要望を纏め、実行しろよ、と言いたくなるのではないだろうか?
問いかけ
政治家、行政関係者のマイナンバー使用実績などは把握されているのだろうか?
AI の応答
はい。一部は把握されています。しかも、かなり興味深い数字があります。
ただし、「政治家・行政関係者が、自分たちが推進しているマイナンバーサービスを実際にどれだけ使っているか」という意味では、把握はかなり限定的です。
1.国家・地方公務員については調査実績がある
政府答弁によれば、2023年12月25日時点のサンプル調査で、

2.さらに面白いのが「実際に使ったか」
厚労省は、国家公務員共済についてマイナ保険証の実利用率まで公表しています。
2025年4月実績では、国共済全体で、
加入者:約210万人
マイナ保険証登録率:74.0%
実際のマイナ保険証利用率:29.57%
でした。
省庁別にも出ています。

さらに本省支部まで見ると、例えば**厚生労働本省支部は登録率83.9%、利用率39.04%です。
ここは、今回の問題意識からすると非常に重要です。
「登録した」≠「実際に使った」
ことが、政府自身の職員についても数字として確認できます。
3.では政治家は?
ここが意外な空白です。
国会では過去に、内閣の政務三役等のマイナンバーカード取得状況について質問主意書が提出されています。
ところが政府答弁は、国家公務員・地方公務員全体の取得率やマイナ保険証登録率を示す形になっています。
今回、衆参両院・政府・デジタル庁の公開資料を確認した範囲では、
国会議員のカード保有率
閣僚のカード保有率
国会議員のマイナ保険証登録率
国会議員のマイナ保険証実利用率
政務三役のマイナポータル利用率
といったものを、政府 DX の通常 KPI として継続的に公表している仕組みは確認できませんでした。
なお、国共済統計の「その他」には裁判所、会計検査院、衆議院等も含まれていますが、一括集計なので、国会議員だけを切り出して評価することはできません。
これは前のKPI議論とかなりつながる
政府の最新ダッシュボードは、国民全体についてカードの普及だけでなく「利活用」まで追跡する方向へ進んでいます。
それなら私は、
政策を設計・推進している行政組織自身が、実際にそのサービスをどれだけ使っているか
も、かなり有用なKPIだと思います。
これは政治家を批判するための指標ではありません。
むしろDXの品質管理指標として有効です。
例えば、
国民のマイナ保険証利用率:68%
厚労省職員:75%
デジタル庁職員:82%
なら、「実際に使えば便利なので、制度をよく知る人ほど使っている」という仮説を支持します。
逆に、
国民:68%
制度所管官庁:40%
だったとすれば、「制度を最も理解している人たち自身が、なぜ使わないのか?」
を調べる価値があります。
そこには、
UIが悪い、代替手段の方が楽、メリットがない、不具合への懸念がある、業務フローに合っていない
など、国民アンケート以上に有用な「バグ情報」が隠れている可能性があります。
したがって政府 DX の KPI に追加すると面白い
前回提案した KPI 体系に、もう一つ、
「政策実施者自身の利用率」
を追加してよいと思います。
そして、
① 国民利用率
② 国家公務員利用率
③ 所管省庁職員利用率
④ 制度設計担当部署利用率
を横比較する。
これはある意味、製造業でいう「自社製品を社員自身が使って評価する」ことに近い。
さらに重要なのは利用率そのものより、「使わない職員は、なぜ使わないのか」を調査することです。
これを毎年取れば、非常に安価な政府DXの内部品質テストになります。
今回調べてみると、政府は既に国共済についてかなり細かい実利用データを持っています。
したがって、全く新しい巨大な統計制度を作らなくても、この発想を省庁別・政策別に拡張する余地はかなりあると思います。
そしてこれは、COCOAの教訓ともつながります。
「国民に使ってください」と言う前に、政策を作った側が日常的に使い、不便・エラー・不要工程を発見する――いわば行政版ドッグフーディングをDXの標準工程にする、という提言にまで発展させられます。
抵抗( R )を最小化し、信頼( k )を最大化すれば、日本という巨大なエネルギー( E )は、再び世界を驚かせる価値( V )を産み出し始める。
そのために必要なのは、壮大なスローガンではない。
「政治家も役所も、民間と同じデジタルルールに従う」という当たり前の標準化を、今すぐ実行に移す決断だけなのだ。
むしろ、政治・行政が「率先して範を示す」ことこそ、国民の信頼を得て、行政改革を進め、「税金のムダ」を無くす最善の策のはずだ。
それこそが「本物の身を切る改革」ではないだろうか。
「身を切る」要求をしているわけでもないのだから、もっと簡単だろう。
最後に、一部の政治家や議員は「マイナカード」自体に反対している人たちもいるだろう。
それはそれで、国民の代表意見として尊重すべきだとも思う。
だからこそ、誰が賛成して誰が反対しているのか、政治家自ら旗幟鮮明にすべきだと考える。
それをせずに、有権者がどうやって意見の代表者たる代議士を選べるというのだろう?
プロの政治家として、正々堂々と自身の意見を主張し、口先ではなく行動で示して欲しい。
例えば、国会への入退出記録はマイナカードを使うようにすればいい。
反対する議員は、手間がかかっても、同レベルの手作業をしてもらえばいいだけの話だ。
これを一般原則にすれば、
政府が国民に利用を推奨するDXサービスについては、政策立案者・所管官庁・国会を先行利用者とし、一定期間の実利用による検証を経て全国展開する。
更に、
・利用率
・処理時間
・エラー率
・再処理率
・問い合わせ率
・利用者満足度
などを小規模テストすれば、
設計 → 試作 → 実証 → バグ出し → 改善 → 段階展開 → 全国展開
という設計業務と同様の品質保証の一環として、政策設計プロセスに組み込めるはずだ。
これによる、「末端(地方行政・国民)」での負担軽減効果は絶大だと思う。
政治家が「マイナンバーを普及させます」と演説するだけではなく、自分が毎日使ってみる。
不便なら政治家自身が不便を経験する。
行政職員も毎日使う。
そこで出た不具合を直してから国民へ広げる。
このような合理的な政治改革を進めて欲しい。
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