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早稲田よ、お前もか! 早大・遠藤典子教授、帝京大・辻広雅文教授の疑義に「回答しない」 早稲田大学は自浄作用を発揮しないのか?


疑義への取材を依頼するも、大学側は沈黙

帝京大学の辻広雅文教授(元・週刊ダイヤモンド編集長、元・ダイヤモンド社取締役。現在、西武ホールディングス社外取締役も兼務)に対し、事実確認のため面談を依頼した。

研究活動上の不正行為(研究成果の信頼性を損なう行為)などの疑義について、直接話を聞きたいと考えたからである。だが、辻広氏からは「当方には、貴殿とお目にかかる理由も、ご質問にお答えする理由もないので、お断りします」との回答があった。

帝京大学に対しても、大学として調査すべきではないかと打診したが、明確な回答は得られなかった。そこで2026(令和8)年6月20日、私は「note」に次の記事を書いた。

早大・遠藤典子教授、帝京大・辻広雅文教授は疑惑にどう答えたのか? 帝京大学は「調査の必要性なし」と判断したのか?

「note」というメディアに、自校の教授に関する重大な疑義を記した記事が掲載されても、帝京大学は外部に見える形での対応を示していない。大学の名誉や研究倫理に関わる問題であるにもかかわらず、沈黙を続けているように見える。名誉毀損は、書かれている内容が事実であったとしても、訴えることができるのだが。

刑法第230条は、名誉毀損罪について次のように定めている。
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する」

名誉毀損で訴えるよりも、無視することが、大学を守れると考えたのか。本稿は名誉毀損の成否を論じるものではない。問題にしたいのは、大学が研究倫理上の疑義を示されたとき、どのように対応すべきかという点である。

早稲田大学、遠藤教授への質問書と取材依頼

もう1人の当事者である早稲田大学研究院の遠藤典子教授(元・週刊ダイヤモンド副編集長。現在、NTT、阪急阪神ホールディングスなどの社外取締役、政府委員会の委員などを務める)と早稲田大学にも、事実関係を確認する必要があると考えた。

そこで2026年6月30日、早稲田大学広報室宛てに、次の文書をメールで送信した(文章が長いので、引用箇所にも中見出しを入れている)。

以下、引用。

早稲田大学広報室 ご担当御中

いつも大変お世話になっております。
私は、ダイヤモンド社の週刊ダイヤモンド編集部時代、早稲田大学研究院教授の遠藤典子氏にお世話になった前原〇〇と申します。

遠藤教授にコンプライアンス(法令や社会規範を守ること)、ガバナンス(組織を適正に運営、管理する仕組み)問題について、取材をお願いしたく連絡させていただきました。以下のメッセージを遠藤教授に送付していただけないでしょうか。

また、早稲田大学のコンプライアンス、ガバナンスに関係することでもありますので、田中愛治あいじ早稲田大学総長と早稲田大学コンプライアンス相談窓口(コンプライアンス推進室)のご担当の方にも情報を共有していただければと存じます。

お忙しいところ、お手数をおかけして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

メッセージは以下の通りです。

遠藤典子様

ご無沙汰しております。
ダイヤモンド社では大変お世話になり、ありがとうございました。

京都大学で「研究活動上の不正行為」問題を担当している京都大学学務部教務企画課(2026年4月1日付で学務部学務課に名称変更)から連絡がありました。京都大学総長の湊長博みなと ながひろ氏からの指示で学務部が動いたものです。

この件について、遠藤さんにお目にかかり、お話を頂戴したいと存じます。日時、場所をご指定いただければお伺いしますので、ご連絡くだされば幸いです。

面談する必要がないとのお考えの場合、文書での回答をお願いします。

「不適切なオーサーシップ」への疑義

2026(令和8)年2月16日、京都大学総長の湊長博氏宛てに、京都大学大学院の院生であった遠藤典子さんが大学院に提出した論文『原子力損害賠償制度の研究』に「不適切なオーサーシップ(著者として記載されるべき人や、著者に含めるべきでない人の扱いが適切でないこと)」、研究上の不正があったのではないか、と指摘する文書を送りました。

同年3月10日付で、京都大学学務部から「京都大学では、不適切なオーサーシップに係る告発については客観的証拠が示されているもののみを受付けることとしています」との回答を簡易書留で受け取りました。

そこで、岩波書店から遠藤さんが出版した書籍『原子力損害賠償制度の研究』の初稿ゲラ(印刷前の校正用原稿)の1~15ページ分のコピーを同封して、学務部に送付しました。

岩波書店から出版した『原子力損害賠償制度の研究』と、京都大学に提出した論文『原子力損害賠償制度の研究』は、ほぼ同時期に取材、執筆が進められました。完成したのは、岩波書店から出版した書籍のほうが先です。

岩波書店の『原子力損害賠償制度の研究』に関して、夫である辻広雅文氏は、共同研究者、共同執筆者と評価できるほどの貢献をしていたのではないか、という疑義があります。

同書の「あとがき」に、滋賀大学学長の佐和隆光氏(当時、故人)、京都大学大学院教授の手塚哲央氏、東京大学公共政策大学院教授の藤原帰一氏の名前を挙げて謝意を述べていますが、「辻広雅文氏」の名前は出てきません。

京都大学に送付した岩波書店の『原子力損害賠償制度の研究』の初稿の一部を、情報サイト「note」で公開していますのでご確認ください。必要であれば、初稿ゲラの1~15ページ分のコピーを早稲田大学コンプライアンス推進室宛てにお送りします。現在、私は「前原進之介」のペンネームで執筆活動をしています。

「社外取締役の女王」早大・遠藤典子教授と、夫の帝京大・辻広雅文教授を生み出した ダイヤモンド社の奇怪な無軌道経営

質問項目は以下の通りです。

・岩波書店の『原子力損害賠償制度の研究』の初稿の文字の直しのコピーは実際のものか。

・岩波書店の『原子力損害賠償制度の研究』の初稿の筆跡は、夫である辻広雅文氏のものか。

・『原子力損害賠償制度の研究』の取材に当たって、辻広氏が同行したことがあるか。その際、辻広氏が取材相手に質問など取材活動を行なったか。原稿段階で、辻広氏が加筆、修正を行なったか。取材先へのアポイント(面会や取材の約束)を辻広氏が行なったことがあるか。校正時に辻広氏が事実確認、追加の取材を行なったかどうか。それぞれにイエス、ノーでお答えください。

・書籍としての『原子力損害賠償制度の研究』、論文としての『原子力損害賠償制度の研究』に辻広氏はどのように関わったのか。

・共同執筆者として、辻広雅文氏の名前を入れなかったのはどういう理由からか。

フォルマ社出向と個人会社E4社をめぐる質問

コンプライアンスに関連する質問にもご回答ください。

・ダイヤモンド社からフォルマ社に出向することになったのはどういう理由からか。経緯についても教えてください。

・遠藤さんの2年半の出向は、出向という形式を取っていましたが、実質的に働いていなかったように思われます。フォルマ社の代表は「遠藤さんは幽霊社員だった」と答えていますが、フォルマ社での出向の実態を説明してください。

・フォルマ社に出向した半年後に「E4ストラテジーズ」を設立しています。「週刊文春」(2020年1月23日号)の取材に対して、「F社社長了承のもとでE4社を設立しました」と文書で回答していますが、フォルマ社代表の了承を得たというのは事実ですか。

・遠藤さんに給与、賞与を支払っていたのはダイヤモンド社であり、ダイヤモンド社社員であったにもかかわらず、ダイヤモンド社に会社設立を報告しなかったのはなぜですか。

・E4ストラテジーズの定款を見ると、情報の提供など、ダイヤモンド社と競合する関係にあります。競業避止義務(勤務先と競合する事業を行なわない義務)に反する行為ではありませんか。

・E4ストラテジーズはNTTグループから1000万円を受け取っていますが、どのような行為の対価であったのですか。

・ダイヤモンド社は「労働を提供していない者に給与を支払わない」と公式見解で表明していますが、遠藤さんは出向期間中、ダイヤモンド社またはフォルマ社にどのような労務を提供していたのですか。

・出向期間中の給与、賞与について、ダイヤモンド社に返還すべきだとは考えませんか。

・週刊ダイヤモンド編集部時代、遠藤さんの記事(原稿)を辻広氏が加筆、修正していましたか。

・同様に、書籍としての『原子力損害賠償制度の研究』、論文としての『原子力損害賠償制度の研究』の執筆でも、辻広氏は加筆、修正していましたか。

・「研究活動上の不正行為」に「不適切なオーサーシップ」があり、「ゴースト・オーサーシップ」(著者として記載されるべき人物を著者に含めない行為)が不正であることを、論文執筆時に知っていましたか。

・論文としての『原子力損害賠償制度の研究』で、不適切なオーサーシップをしましたか。

以上が質問事項です。

不適切なオーサーシップをしていた場合、その内容、氏名、住所を文書にし、押印の上、京都大学学務部学務課に送付してください。

お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

以上、引用。

早急に届いた早稲田大学広報室からの回答

この依頼書に対して、送信した当日の6月30日、早稲田大学広報室から次のメールが届いた。

お世話になっております。早稲田大学広報室でございます。
表題の件、申請フォームよりご依頼いただきありがとうございました。
(遠藤)先生に確認いたしましたところ、本件につきましては取材をお受けしないとのことでした。
ご期待に添えず恐縮ですが、何卒ご理解くださいますようお願い申し上げます。
早稲田大学 広報室

遠藤教授が取材を受けないとの回答であった。そこで私は、早稲田大学広報室に対し、改めて次の文書を送った。

以下、引用。

早稲田大学 広報室 ご担当御中
ご多忙のところ、ご連絡いただきありがとうございます。

遠藤典子教授が取材を受けないこと、また文書による回答も行なわないとのこと、承知しました。

とは言え、今回お尋ねした内容や、遠藤氏がこれまで行なってきた行為および疑義については、早稲田大学として確認、調査を行なう必要があると考えます。

岩波書店から遠藤氏が出版した書籍『原子力損害賠償制度の研究』の初稿ゲラ1~15ページの写しを、早稲田大学の担当部署へお送りしたいと考えております。ご担当部署およびご送付先をご教示いただけますでしょうか。

大学として遠藤教授へのヒアリングを実施しないとのご判断であれば、「必要ない」と判断された理由およびその判断に至った経緯をお聞かせください。

お手数をお掛けして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願いいたします。

以上、引用。

これに対して、7月2日、早稲田大学広報室から次の回答があった。

お世話になっております。早稲田大学広報室でございます。
ご連絡ありがとうございます。先にお伝えしましたとおり、本件につきましては回答を差し控えさせていただきます。
なお、これ以上の回答はいたしかねますので、ご承知おきくださいますようお願いいたします。
早稲田大学 広報室

調査しない理由も示さず回答拒否の早稲田大学

早稲田大学の教職員に「研究活動上の不正があるかもしれない」と指摘されたにもかかわらず、大学側は少なくとも私に対し、調査の有無、担当部署、回答拒否の判断理由を明らかにしなかった。

これは、単なる取材拒否とは異なる問題である。

個人としての遠藤教授が取材を受けるかどうかは、本人の判断である。しかし、大学に対して研究倫理上の疑義が示され、資料提供の申し入れまであった場合、大学は少なくとも、どの部署が受け付けるのか、どのような基準で調査の要否を判断するのかを説明すべきではないか。

早稲田大学総長の田中愛治氏、あるいは早稲田大学コンプライアンス相談窓口(コンプライアンス推進室)の責任者が、この件をどこまで把握しているのかは分からない。だが、広報室名で「これ以上の回答はいたしかねます」と回答した以上、大学として外部への説明を打ち切ったことになる。

研究倫理を掲げる大学が、研究倫理上の疑義に対して沈黙する。この姿勢こそが問われるべきである。

他に遜色のない早稲田大学の研究倫理規程

早稲田大学は「研究活動にかかわる皆様」に対して、「学術研究倫理ガイド」を毎年発行している。2026年3月19日、「研究推進担当理事 若尾真治」名で発行された「早稲田大学で研究活動にかかわる皆様へ 2026年度学術研究倫理ガイド(リーフレット)の公開について」には、「研究上の不正行為」が挙げられている。

https://www.waseda.jp/inst/ore/news/2026/03/19/3216/

その中には、次の一文がある。
「日本の多くの大学では、不適切なオーサーシップも研究不正行為として定義しています。著者とすべきか否かの検討においては、その研究分野の特性を踏まえつつも、その論文の内容にどこまで責任が持てるのか、研究者自身の内省と、権威や立場を超えた率直な対話に基づく判断が求められます。(日本学術振興会『科学の健全な発展のために(第2版)』89頁参照)」

この「研究活動にかかわる皆様」の中に、大学教授は含まれていないのだろうか。もちろん、含まれているはずである。

早稲田大学は、研究不正や研究倫理に関する文書として、「研究活動に係る不正防止および不正行為への対応に関する規程」と「学術研究倫理ガイド(研究倫理ガイド)」を定めている。

「研究活動に係る不正防止および不正行為への対応に関する規程」

この規程で「研究者等」とは、次の者を指す。
1 研究活動を行なう本学の常勤および非常勤の教員、研究員および職員
2 研究活動を行なう本学の学生
3 研究費または本学の施設もしくは設備を利用して研究活動を行なう者
当然のことながら、大学教授も含まれる。

また、研究活動上の不正行為については、捏造ねつぞう、改ざん、盗用、その他の不正行為と定めている。その他の不正行為には、研究成果の二重投稿、不適切なオーサーシップ、その他、科学者の行動規範および社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいものが含まれる。

「不適切なオーサーシップ」は、単なるマナー違反ではない。早稲田大学の規程上も、研究不正の対象になり得る問題なのである。

研究不正、ゴースト・オーサーシップの重み

オーサーシップ(研究成果における著者資格)は、研究の責任の所在を示す重要な仕組みである。本来、著者に入れるべき人物を著者から外す行為は、ゴースト・オーサーシップ(実質的に貢献した人物を著者に記載しない行為)と呼ばれる。一方、実質的な貢献がない人物を著者に入れる行為は、ギフト・オーサーシップ(貢献のない人物を便宜的に著者に含める行為)と呼ばれる。

どちらも、研究成果の責任関係をゆがめる重大な不正である。早稲田大学の研究倫理ガイドでも、研究成果の公表においてオーサーシップの基準を遵守すること、学会や学術誌ごとのルールを尊重することが、研究者の責務として示されている。

今回の疑義は、まさにこのオーサーシップに関わる問題である。にもかかわらず、大学は、資料の送付先も、調査の要否も、判断理由も明らかにしていない。研究倫理を掲げる大学として、この対応はまっとうなのか。

早稲田大学で明らかになった研究不正

早稲田大学関連の研究活動上の不正で広く知られているのは、小保方晴子おぼかた はるこ氏の博士論文問題、博士号取り消しであろう。

小保方氏は早稲田大学理工学部応用化学科を卒業し、早稲田大学大学院で博士号を取得していた。2014(平成26)年1月、英国の科学誌『Nature』にSTAP細胞論文を発表し、「リケジョの星」として一躍有名になった。

しかし2015年11月、早稲田大学は博士論文に多数の不適切な引用や画像の流用など、研究倫理上の重大な問題があると認定し、博士(工学)の学位を取り消した。

早稲田大学は、自らの指導・審査体制にも問題があったことを認めた。約1年間の猶予期間を設け、論文の訂正と研究倫理教育を受ける機会を与えたが、論文の科学的根拠の記述が不十分であり、論理構成が博士論文としての水準に達していないことなどを理由に、学位取り消しを決定した。

他にも、早稲田大学では、公的研究費の不適正使用、科学研究費補助金(科研費)の謝礼金を架空請求し、その一部を本人に戻させる還流行為(いったん支払った金銭を関係者に戻させる行為)、博士論文などの論文や学会発表で改ざんや自己盗用(過去に発表した自分の研究成果を、新しい研究成果であるかのように出典を示さず再利用する行為)などの問題が起きている。

科研費では、早稲田大学国際学術院の大門毅だいもん たけし教授の「旅費の虚偽請求」問題も発覚した。旅費の返還命令だけでなく、不正の内容や悪質性を勘案して、10年間の研究資金不交付という重い措置が決まった。

研究不正は、大学の信頼を根底から揺るがす。だからこそ、疑義が示された段階で、大学は透明性のある対応を取る必要がある。

出向や会社設立疑惑に口を閉ざす遠藤典子教授

遠藤教授については、研究活動上の疑義だけでなく、ダイヤモンド社勤務時代の出向、会社設立、社外活動をめぐる疑問もある。

週刊ダイヤモンド編集部時代、遠藤氏は、ダイヤモンド社から、国際会議や国際交流の企画、運営を行なうコンサルティング会社、フォルマ社に出向した。だが、その出向の実態について、私はこれまで疑問を抱いてきた。

出向という形式を取りながら、実際には労務を提供していなかったのではないか。出向期間中、自らの研究活動や、自ら設立した株式会社E4ストラテジーズの事業に時間を費やしていたのではないか。こうした点について、事実確認が必要だと考え、フォルマ社の代表にも取材して出向の実態を聞いている。

私は、遠藤教授に対し、出向の実態、E4ストラテジーズ設立の経緯、ダイヤモンド社への報告の有無、NTTグループから受け取った1000万円の対価の実態などについて質問した。

しかし、遠藤教授からも、早稲田大学からも、これらの質問に対する回答は得られていない。

もちろん、これらは研究不正そのものとは別の論点である。だが、コンプライアンスやガバナンスを重視する大学に所属し、複数の大企業の社外取締役や政府委員を務める人物であれば、説明責任は、より重いはずだ。日本政府、内閣府、官庁としてもヒアリングをすべき事案である。

問題を指摘された大学に求められる自浄作用

早稲田大学が「不適切なオーサーシップ」を理由として処分し、公表した事例は、確認できる公開情報では見当たらない。

しかし、それは「不適切なオーサーシップ問題が存在しなかった」ことを意味するわけではない。むしろ、外部から疑義が示された時に、大学がどのような基準で調査の要否を判断しているのかが問われる。

「不適切なオーサーシップ」によって博士号を取得し、その後、大学教授になっている人物がいるとすれば、それは重大な問題である。そうした疑義が示されたとき、大学が何も確認しない、資料も受け取らない、説明もしないという姿勢を取るのであれば、研究倫理の仕組みや不正抑制効果は、絵に描いた餅になる。

組織には、自浄作用が求められる。自浄作用とは、組織内部で問題や不正を自ら発見し、是正、改善して、健全な状態を回復する能力や仕組みを指す。自浄作用が働かない組織は、一般的に次のような行動を取る。

問題の指摘や告発を無視する。
問題を隠蔽いんぺいする。
告発者を脅す。
告発者に不利益を与える。
調査を行なわない。形だけの調査を行なう。
関係者をかばう。
責任の所在を曖昧あいまいにする。
外部からの指摘を「回答しない」で終わらせる。

早稲田大学がそのような組織であるとは思いたくない。だが、今回の対応を見る限り、少なくとも外部からは、研究倫理上の疑義に真摯に向き合う姿勢が見えない。取材を受けるかどうかは遠藤教授個人の判断である。しかし、大学として疑義を調査するかどうかは、早稲田大学自身の責任である。

早稲田大学は、今からでも遅くはない。資料の受け取り窓口を示し、調査の要否を検討し、その判断理由を説明すべきである。

研究倫理を掲げる大学であるならば、疑義を封じるのではなく、疑義に向き合うべきだ。自浄作用を働かせ、不正のない大学を目指す。それが、早稲田大学に求められている姿勢ではないか。

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