ジャズ記念日: 10月8日、1957年@ロサンゼルス “Come Fly With Me”by Frank Sinatra
Oct. 3, 1957 “Come Fly With Me”
by Frank Sinatra and Billy May Orchestra
at Capitol Recording Studios, CA for Capitol (Come Fly With Me)
この曲と収録されたアルバム名の「一緒に飛び立とう」の通り、世界中をシナトラの歌で仮想旅行する、という企画アルバムからの一曲で、「今日のジャズ/ジャズ記念日」の世界各地と季節を味わう選曲と同じコンセプトです。
録音当時の1957年、北大西洋ノンストップ便が就航し、海外旅行が身近なものになりつつあるタイミングでのタイムリーな企画アルバムでヒットしました。「80日間世界一周」や、「秋のニューヨーク」、「四月のパリ」(以下紹介曲)、ロンドン、ブラジル、ハワイにまつわる曲で構成されています。
アルバムジャケットの背景にあるのは、大陸間の長時間フライトを実現したロッキード社のコンステレーション機です。

シナトラとビリーメイオーケストラは相性が良く、このアルバムの商業的成功を受けて、ダンス楽曲編成の”Dance”と、ラブソングにまつわる”Swing”のタイトルで”With me”三部作が作られる事になります。


そのビリーメイとシナトラの絶妙な組み合わせは、以下紹介曲、”Theme From New York, New York”でも楽しめます。
本曲は、オリジナル曲でビルボード一位を記録、シナトラの代表的な持ち歌の一つになり、トムハンクスとレオナルドディカプリオが共演した「キャッチミーイフユーキャン」の映画等、飛行機のシーンで頻繁に取り上げられています。

3/18-19紹介曲の「イパネマの娘」も採用
これを聴くと順風満帆でゴージャスな空の旅を想起するのはシナトラマジックと言えます。ユナイテッドエアラインの搭乗の際に流れていた記憶があって、改めて調べてみたら、本曲がエミレーツ航空との提携PR動画に使用されていました。
それまで楽団が上位だった歌手との関係性をシナトラが覆して、楽団を指名して主導権を握るスタイルは当時としては画期的な出来事で、まさにジャズボーカリストのパイオニアです。更には感情を込めた歌唱スタイルとマイク使いの技術等でボーカルスタイルを確立、その歌声で多くのスタンダード曲の型(スタンダード)をこの世に送り出した功績も素晴らしい。まさに、”Set the Standard”です。
あのマイルスですら、かなり研究していたと、その影響については公言していました。以下楽曲は、シナトラの作品がきっかけになってスタンダード化したと言われる、これまでの紹介曲です。先ずはその、マイルスによる絶妙なトーン使いのバラード、"It Never Entered My Mind"。
チェットベイカーの演奏で有名な”My Funny Valentine”もシナトラの作品がベンチマークされてのものと言われています。
コールポーターの数あるスタンダード曲の一つ、“Night And Day”はシナトラが普及に貢献しています。
楽団に遠慮の無いシナトラ中心の音楽進行となり、歌唱力と独特の歌の崩し方が存分に活かされているので高揚感があります。それだけシナトラは実力があり、売れていて発言力があった証とも言えます。
作曲は”It Could Happen To You”(以下)等のスタンダードを手掛けた大家ヴァンヒューゼンです。
作詞も"I Fall in Love Too Easily"(以下)等のスタンダードを手掛けた大家サミーカーン。これもまたチェットベイカーの歌唱で有名ですが、そのスタイルも、シナトラが元祖だそうです。
最後に、本アルバムはLAの名門キャピトルスタジオでのレコーディングで、同年には以下作品も収録されています。ナットキングコールの作品は本作と同じビリーメイ楽団なので聴き比べも面白みがあります。
世界旅行を想像しながら素敵な一日をお過ごしください。
