見出し画像

ブリオーソ宴会乾杯発声前待ち時間配布

宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その8

 宴会が始まるまでの待ち時間のお飲み物が揃うまでの間に、ちょっとした読み物があればと思い、作成・配布した資料を再編しました。これは、その宴会に集われる方々にふさわしいと信じる内容をまとめたものです。

 「その8」は、2026年5月23日(土)開催の、ザ・ブリオーソ・ブラス第20回演奏会終演後の大宴会に合わせて執筆したものです。
(北海道旭川市3条本通6丁目LC3号館B1F「焼鳥倶楽部 ふとっぱらや」)


ニニ・ロッソと夜空のトランペット


 「夜空のトランペット」は、1965年にイタリアのトランペット奏者 ニニ・ロッソ が発表した世界的ヒット曲で、原題は《Il Silenzio(沈黙)》です。日本では「夜空のトランペット」の邦題で広く親しまれ、国内で100万枚以上、世界では1000万枚規模の売り上げを記録したともいわれています。哀愁を帯びた静かな旋律が特徴ですが、その起源は意外にもイタリア軍の「消灯ラッパ」 譜 1にあります。

イタリア軍の「消灯ラッパ」《譜 1》

ニニ・ロッソ

 ニニ・ロッソは1926年、イタリア北部の都市 トリノ に生まれ、「トランペットの詩人」と称されました。彼は軍隊で使用されていたラッパ信号《Il Silenzio d’Ordinanza(規定の沈黙)》をもとに楽曲化し、ポピュラー音楽として世界に広めました。日本にもたびたび来日し、1972年には NHK紅白歌合戦 に出演、 フランク永井 のバックで演奏したことでも知られています。

消灯ラッパ

 この《Il Silenzio d’Ordinanza》は、イタリア軍で一日の終わりと夜の静粛を告げるために演奏された消灯ラッパでした。現在でも追悼式などで演奏されることがあり、イタリアでは広く知られた旋律です。
 さらにこのラッパ信号は、19世紀ロシアの作曲家 ピョートル・チャイコフスキー にも影響を与えました。1879年にローマへ滞在していた彼は、宿泊先近くの兵舎から毎日聞こえる消灯ラッパに感銘を受け、その旋律を1880年完成の管弦楽曲 イタリア奇想曲 の冒頭ファンファーレに取り入れました。軍隊の日常的な信号音が、芸術音楽へと昇華された例といえます。

沈黙を告げる号音

 この旋律の歴史をさらに遡ると、1859年に出版されたサルデーニャ王国の軍事規則書にたどり着きます。当時のイタリアはまだ統一前で、北イタリアにはサルデーニャ王国が存在していました。その規則書には《Colpi del Silenzio(沈黙を告げる号音)》というラッパ信号が掲載されており、旋律は現在の《Il Silenzio》とやや異なるものの、後の消灯ラッパの原型と考えられています。
 こうして見ると、この短いラッパ旋律は、19世紀には軍隊の号令として始まり、1880年にはクラシック音楽へ、そして1965年にはニニ・ロッソによってポピュラー音楽へと姿を変えながら受け継がれてきたことが分かります。もともとは軍営生活を整えるための実用的な信号でしたが、その哀愁ある音色は時代や国境を越え、多くの人々の心を動かしてきました。
 また、「夜空のトランペット」がアメリカ軍の消灯ラッパ《Taps》に由来するという誤解もありますが、実際にはイタリア軍の消灯ラッパを起源とする別系統の旋律です。

哀愁を帯びたトランペットの音色

 近年では、若い世代の演奏家の間で「ニニ・ロッソ」の名前を知らない人も増えているといいます。かつてはトランペットの代名詞のような存在だった彼や「夜空のトランペット」も、世代交代の中で少しずつ記憶から遠ざかりつつあります。しかし、その旋律には150年以上にわたる歴史が刻まれており、今なお静かな夜空に響き続けているのです。

元の記事

元記事 夜空のトランペットのルーツ


関連記事

宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その1 ブラスバンド宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その2 ファンファーレ宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その3 ブラスバンド宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その4 リサイタル後の宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その5 北海道家庭学校の宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その6 ブラスナイト宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その7  元職の総会後宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その8  ブラスバンド演奏会後の宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その9  ファンファーレSeason8宴会
宴会乾杯発声前待ち時間配布資料 その10 音楽大行進2026宴会


いいなと思ったら応援しよう!