#33|ここは、日本だった。 別の空気もあった
認知症の母とMCIの父。
海を超えた遠距離介護を続けています。
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フランスからの遠距離介護
帰省したとき、
新卒で入った会社の同期会があった。
女性が多くて、
男性は一人だけだった。
その男性が言った。
「50代で離婚する奴、増えてるけどさ、
大体、奥さんの方からなんだよな。」
「なんでかわかるか。」
「この歳になると親の介護がはじまるだろ。
離婚すれば義理の親の面倒みなくて済むから、
要は、逃げなんだよ。」
少し、
間があいた。
向かいにいた人は、
そういう歳になったね、と言った。
私は、
ビールを一気に飲み干した。
話題を変えた。
そのとき、
フランスへ移住する前のことを、
思い出した。
あのときと同じ感じがした。
ここは日本だった。
ふと、
介護でお世話になっている人たちのことを思い出した。
必要なタイミングで、
解決策を提案してくれた、
ケアマネ。
「夜、しっかり寝れた?」
そう言って、
早朝に、
部屋まで確認しに来てくれる施設のスタッフ。
父が、
「もう無理だ」
と言った日。
小規模多機能に電話をした。
「今日は、
父を休ませてあげたいので、
通いの追加利用をお願いできませんか」
何も言わず、
対応してくれたスタッフ。
施設のスタッフが言った。
「お父様、
誰とでもすぐ仲良くなられて、
もう顔見知りがたくさんいますよ。」
「お母様も、
食堂で配膳の時に迷われると、
まわりの方が自然に手を貸してくださってます。」
「ここ、そういう方が多いんです」
隣の部屋の人が、
言った。
「お父さん、
すごく優しい人だね。
いつも、お母さんのこと気にしてて」
それから、
少し間を置いて言った。
「あれはね、どうしても進んでいくからね。
自分の親だと、歯痒い時もあるし、受け入れられない時もある。
でも、できるだけ理解してあげてね。
お父さんも大変だから。
仕方ないことも、あるからね」
ケアハウスでは、
マンションで暮らしていた頃とは、
別の時間が流れていた。
少しだけ、
胸の奥が熱くなった。
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