[ECMO管理] ECMOを簡単に捉えるための押さえどころと落とし穴 -前負荷・後負荷から考えるシンプルなアプローチ-
前回の記事では V-A ECMO管理の基本 を中心に解説しました。
ECMOの酸素化血が心拍出とぶつかる「Mixing zone」が重要であること
心機能と肺酸素化を軸に4つの病態パターンに整理できること
特に高度に心機能が低下した場合では大動脈弁が開かなくなり、血栓や肺うっ血といった致命的な問題につながること
管理の上で脈圧やA-lineの波形、橈骨動脈の血液ガスが決定的に重要であること
こうした点を確認しました。
今回は、ECMOを実際にどう管理するか という実践的な視点に焦点をあてます。
過去に解説した「前負荷・後負荷」という基本概念を思い出しながら、
水風船のイメージを組み合わせて考えることで、複雑に見えるECMO管理もシンプルに整理できるはずです。
1. 心臓の負荷を「水風船」で考える
心臓は血液を送り出すポンプですが、その働きには常に「負担(負荷)」がかかっています。
この負荷は大きく分けて 前負荷(Preload) と 後負荷(Afterload)。
水風船をイメージすると、とても分かりやすくなります。

前負荷(Preload)=水風船に入る水の量
水風船にどれくらい水が入ってくるか、それが前負荷です。
水が多く入れば風船はパンパンに膨らみ、ゴム(=心筋)に負担がかかります。
左心室の場合:PCWP(肺動脈楔入圧)で評価
右心室の場合:CVP(中心静脈圧)で評価
つまり、心臓に「どれくらい血液が戻ってきているか」を測る指標です。
後負荷(Afterload)=水風船から水を押し出すときの抵抗
水風船を握って水を押し出そうとすると、出口が狭いほど大変ですよね。
これが後負荷。心臓が血液を送り出すときの「出口の抵抗」です。
左心室の場合:MAP(平均動脈圧)が代表的
右心室の場合:PAP(肺動脈圧)が代表的
出口が硬く・狭くなるほど、心臓には強い力が必要になります。

両心室はつながっている
ここから先は
¥ 200
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
