【Advent企画】12/9:手袋【410字小説】
引っ越しの荷物が片付いていない。
一誠から「いつでも日本からいなくなれちゃいそうですね」と言われた。それを言うならお前こそ、と思ったけれど。
懇意にしているプロデューサーからメールが来ていた。夏の公演の映像を見たとかで、主演を踊った一誠と薫子を誉めている。
その最後の一文。
《ミヨシは、いつまで日本に?》
暗に“いつ帰ってくるのか”と聞いているのだ。
もう戻るつもりは無いと言い切れない自分がいる。
べつに、日本のカンパニーにいるのが悪いわけじゃない。この国でしかできないこともある。
それでもーー
(……とにかく、いい加減返事しないと)
リビングの椅子を引いた途端、ダンボールの山にぶつかって雪崩が起きた。
「あー」
散らばったものを拾おうと伸ばした指が、懐かしいものに触れた。
古ぼけた黄色いミトン。
ところどころ、毛糸がほつれている。
学生時代、妹尾から初めてもらったクリスマスプレゼントだ。
「未練がましいな」
と笑っても、返事は返ってこない。
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本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
昨日の妹尾ポエミー回と対をなすような美吉ぼっち回です。
この二人の話です。
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