成瀬由紀雄のとわずがたり:構造あれこれ(2)ツリー構造、グリッド構造
(↑のつづき)
つぎによくあるのが、「樹形」構造である。
幹があって、そこからつぎつぎと枝分かれしていくかたちである。
カタカナでもそのまま「・」という。

ただし、実際にはこれが反対に描かれて「逆ツリー構造」などとよばれるのが一般的である。

学者の論文やビジネスマンのビジネスレポートは、このかたちをしているのが一般的である。
そのひとつの具体例が「アカデミック・ライティング」とよばれるライティング形式である。

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ここで気をつけなければいけないのは、この「逆ツリー」構造が思考の明晰化に役立つことは確かであるが、しかし決して万能ではないということである。
それどころか、あとで述べるように、これをむやみに用いてしまうと、文章が「死んで」しまう可能性もある。
アカデミックライティングを学習した人のなかには、アカデミックライティング形式がまるで文章の黄金律であるかのような言い方をするひともいる。
そして日本語の非常にすぐれた文章でさえ「構造がはっきりしなくて曖昧だ」といって非難する。
だがこの場合の「構造がはっきりしない」とは逆ツリー構造をしていないということにすぎないことが多い。
こうした人たちは、逆ツリー構造以外にも文章構造と呼ぶべきものが数多くあることを理解てきていない。
多くの欧米系学者やビジネスマン、さらには多くの日本の学者やビジネスマンが、こうした思い込みに陥って、思考の柔軟性を失ってしまっている。
さらにいえば、現在社会の行き詰まりの原因のひとつには、こうした思考のステレオタイプ化にあるのではないかと私はみている。
そうならないように、十分に気をつけていただきたいと思う。

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つぎにご紹介する構造は、「グリッド」構造である。

このような四角形のグリッド構造以外にも、三角形のグリッド構造、六角形のグリッド構造などが考えられる。
グリッド構造の代表例は、京都のような碁盤上の都市である。
ただ文章に関してはこうしたグリッド構造を基本とする形式はほとんどみあたらない。
グリッドという形式がきわめて空間的であり、時間的要素を基底とする言語表現と本質的にマッチしない部分があるのではないかと思われる。
((3)につづく↓)
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