見出し画像

成瀬由紀雄のとわずがたり:構造あれこれ(1)東京地下鉄路線図、リニア構造、ループ構造

東京の地下鉄路線図をながめるのが、好きである。

構造がとてもチャーミングだからだ。

たとえば、丸の内線は新宿から銀座を通って池袋へといきつく。

そのあいだに、10以上の他の路線と交錯する。

新宿と池袋はJRや副都心線でつながっているので、これを丸の内線とつなぐと、ひとつのループができる。

よくみると、山手線という大きなループの内側にある、もうひとつのループである。

東京には大江戸線という、山手線と少しずれた大きなループもあるので、東京の鉄道路線には、山手線、大江戸線、丸の内線という3つのループが存在することになる。

むかしむかし、「みつわ、みつわ、みつわ~、せっけん!」という、三輪石鹸のテレビ・コマーシャルがあったことを思い出す。もう誰も知らないんだろうなあ・・・

☆☆☆

また、すべての路線がくねくねと曲がりくねっていて、さまざまな地点で、さまざまなかたちで、おたがいに交錯している。

なかには乗り換えのために10分も歩かなければならないケースもある。

はたしてそれを「乗換え」と呼んでよいものであろうか。

またあるときには、2つの路線が延々と平行に走りつづけている。

それなら一本でいいじゃないかなどと、ツッコミのひとつもいれたくなる。

こうした複雑かつ無秩序、であるがゆえに、きわめてチャーミングな路線構造は、計画的につくりだされたものではなく、東京という都市がもつ独自の個性――中心に皇居があり、窪地や高台が多い――によるものである。

京都のようなフラットな土地であれば碁盤の目のような都市計画も可能であるが、東京ではそうはいかない。

それぞれの都市の持ち味というしかない。

☆☆☆

さて、言葉の話である。

鉄道路線と同じく、言葉にもさまざまな構造がある。

いちばん簡単な構造のひとつは、以下のような「数珠つなぎ」である。カタカナでいえば「リニア・ストラクチャー」である。

日常会話や通常エッセイと呼ばれている文章は、このかたちをしている。

なにかの言葉(文)が表現され、それにつづいて、それに関連する言葉(文)が表現される。その言葉と言葉のあいだは関連性という名の「糸」でむすばれている。この糸がなければ、会話(文章)は成立しない。

「数珠つなぎ」構造のバリエーションのひとつに「数珠」構造がある。これは数珠つなぎの端と端がつなげられ、本当の数珠になった状況である。カタカナでいえば「ループ・ストラクチャー」である。

もし日常会話でこの構造に陥ると、話は延々とつづくことになる。

理論的にいえば、それは永久に終わらない。

もう少し複雑になると、ループの数が複数になることもある。

東京の鉄道路線でいえば、まず山手線をぐるぐると回って、それから丸の内線に乗り換えて、それから大江戸線に乗り換えて、というかたちである。

いちどやってみたい。

((2)につづく↓)

☆☆☆

☆☆☆

「ことさきく|成瀬由紀雄の日英文章・翻訳教室」では、このほかにも日本と日本人、英語・日本語・翻訳その他に関するコンテンツを数多くアップしてあります。総数は1800本を超えています。

いくつものマガジンを設定していますのでぜひチェックしてみてください。


いいなと思ったら応援しよう!