【成瀬 日本語・英語・翻訳講座】言語・認識編(11)言語における「線条性」と「動的な理解」
(↑のつづき)
音楽のテープは逆回しにして聴くことができない。
それをすると別のものになってしまう。
すなわち音楽は時間軸にあわせて一方向にしか進めない。
同様に言語もまた時間軸にあわせて一方向にしか進めない。
意味内容のかたまりを前からひとつずつ順番に理解していかなければならない。
音楽や言語が持っているこの特性のことを「線条性」(リニアリティ、linearity)という。
前から順々にしか意味を理解できないということは(当たり前だが)全部一度には理解できないということである。
最初のほうを理解しているときには真ん中や後ろのほうはまだ理解ができていない。
このことを言語について具体的にいえば1番目の意味のかたまりを受け取っているときには2番目、3番目の意味のかたまりがまだ理解できていない。
そして1番目を理解したのちに2番目の意味のかたまりを受け取って、それを理解する。
こうして前から前から少しずつ理解を深めていくのである。
こうした理解のあり方では、2番目の意味のかたまりを受け取ったときに1番目の意味のかたまりの理解のあり方が変化するかもしれない。
同じように3番目の意味のかたまりを受け取ったときに1番目と2番目の意味のかたまりの意味が変わるかもしれない。
新しい意味のかたまりを受け取るごとにそれまでの意味のかたまりの意味は刻々と変化していくのである。
このように、
前から順番に意味の理解を次々と変えながら理解をしていく認識方法を「動的な理解」(Dynamic Recognition)と呼ぶ。

動的理解とは逆に、全体を見渡してから全部を一度に理解してしまう認識方法を「静的な理解」(Static Recognition)と呼ぶ。
絵画の理解は静的な理解のひとつである。
言語理解でも、旧来の英文和訳のように全体を読みとってから分析して意味を理解していくのであれば、それは動的な理解ではなく静的な理解である。
(つづきは↓)
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