イワンとアリョーシャの母親の特殊性に注目「カラマーゾフを読む」⑸
イワンとアリョーシャの母親の特殊性に注目「カラマーゾフを読む」⑸
第一編 ある家族の歴史 三 二度目の結婚と二人の子供
結婚して早々妻に逃げられ、その妻も呆気なく死んでしまったフョードル。
そしてミウーソフによってドミートリイが引き取られると、これ幸いと二度目の結婚に踏み切ります。
最初の妻は金持ちでプライドの高い美人でありましたが、今度は全く逆の清純な少女と言ってもよいような女性と結婚することになります。
この二度目の妻との結婚でもフョードルは天才的な抜け目なさを発揮しています。
普通ならこんな卑劣漢フョードルと結婚するような女性はいないのです。ですが、これまた不思議。フョードルはまんまと世間知らずの清純な小娘をたぶらかし、あっさりと駆け落ちさせてしまうのです。
さすが怪物。常識では考えられないことをなぜかやってのけてしまう男です。
そしてこの二度目の妻ソフィアこそ、次男イワンと三男アリョーシャの母親になります。
この二人はまさにソフィアの性質を色濃く引き継ぐことになります。特にアリョーシャに関してはその癲狂病み的な面までそっくり引き継ぐことになります。ですのでこの章で語られるソフィアの性格や特徴は後の二人の行動を見ていく上でも貴重なヒントと言えるでしょう。じっくり読まれることをおすすめします。
そしてこの章の後半で語られるイワンの経歴や性格にも要注目です。
イワンとアリョーシャは同じ母親から生まれるも、たしかに性格は全く異なります。ただ、ある意味、冷徹でとてつもない知能を持つイワンは、純朴なアリョーシャの鏡となる存在でもあります。後にアリョーシャの様々な一面も私たちは知ることになりますが、単におめでたい人間というわけではありません。アリョーシャが精神的に更なる高みに至るには冷徹な知識人イワンの存在が不可欠だったのです。後の「大審問官」の章はまさにそんな二人の対決でもあります。物語のハイライトとなる「大審問官」の章に至る前段階としてこのイワンの存在もしっかりと頭に刻み付けましょう。
続く
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