見出し画像

採用難の前に見直すべきことがある

求人を出しても来ない。
やっと入っても続かない。
紹介で来た人も、気づけば数か月で辞めている。

その時、多くの会社は採用が弱いと考えます。
求人票が悪いのか。
給与が低いのか。
媒体が合っていないのか。
面接のやり方が悪いのか。

もちろん、それらを見直すことは大事です。
ただ、そこだけを直しても変わらない会社があります。

なぜなら問題は、採用力より先に、残りにくい経営構造にあるかもしれないからです。

ここで一度、前提を疑うべきです。
人が足りないから採用する。
この考え方は自然です。
でも、残りにくい会社のまま人を入れても、現場は本当の意味では楽になりません。

採用が弱いのではない。
採っても残りにくい会社になっている。
ここが、最初の認識転換です。

逆に言えば、人が残れる会社へ整っていけば、採用は少しずつ楽になります。
求人広告を強くする前に、入った人が続けられる仕事の作り方、配車の組み方、教育の余白、管理職の関わり方を見直す。
そこに手を入れた会社から、採用は単なる人集めではなくなります。


1 採用が弱いのではなく、残りにくい会社になっていないか

採用に困ると、どうしても入口に目が向きます。
応募が少ない。
面接に来ない。
内定を出しても辞退される。
だから、もっと求人を強くしようとなる。

それ自体は間違いではありません。
ただ、入口だけを強くしても、出口が開いたままだと人は残りません。

入社した人が何を感じるか。
初日から誰が教えるのか。
どんな便に乗るのか。
どれくらい拘束されるのか。
急な変更がどれくらいあるのか。
相談した時に誰が受け止めるのか。

ここが曖昧なままだと、せっかく入った人も早く離れていきます。

採用とは、人を入れることではありません。
入った人が続けられる状態を作ることです。
ここが二つ目の認識転換です。

2 人が辞める理由を待遇だけで見てはいけない

人が辞めると、待遇の話になりやすいです。
給与が低い。
休みが少ない。
勤務時間が長い。
これは確かに重要です。

ただ、運送会社で人が辞める理由は、それだけではありません。

毎日予定が読めない。
荷待ちが長い。
帰り便が弱くて帰庫が遅くなる。
配車変更が多く、生活リズムが崩れる。
教える人によって言うことが違う。
困った時に誰へ相談すればいいか分からない。

こうした小さなストレスが積み重なると、給与だけでは埋まりません。

待遇は大事です。
ただ、待遇だけで人が残るわけではありません。
残る会社には、働き続けられる仕事の設計があります。

人が辞める理由を本人の根性や給与だけで見ると、会社側で直せる構造を見落とします。

3 残りにくい会社は、仕事の取り方が苦しい

採用と営業は別の話に見えるかもしれません。
でも、実際にはかなりつながっています。

薄い仕事を多く受ける。
荷待ちが長い仕事を増やす。
帰り便が弱い仕事を続ける。
急な依頼に毎回合わせる。
単価のわりに現場負荷が高い仕事を抱える。

こうした仕事が増えると、現場の負担は重くなります。
そして、その負担はドライバーや配車担当に降りていきます。

つまり、採用難に見えている問題の奥に、仕事の取り方の問題があることがあります。

残らない会社は、人が弱いのではなく、残りにくい仕事を増やしている。
ここが三つ目の認識転換です。

利益の薄い仕事は、会社のお金だけを削るわけではありません。
現場の余白も削ります。
そして余白がなくなった会社ほど、人を育てることも、定着させることも難しくなります。

4 配車と拘束時間は、採用力にも影響する

配車は現場の話。
採用は人事の話。
そう分けて考えると、本質を見落とします。

ドライバーが続けられるかどうかは、配車の安定とかなり関係します。
毎日帰る時間が大きく変わる。
無理な差し込みが多い。
待機が長い。
帰り便が読めない。
拘束時間が伸びる。
これが続けば、どれだけ求人で良いことを書いても、入社後の現実とのギャップが大きくなります。

求人票で人を集めても、配車の現実が合っていなければ人は残りません。

採用力とは、求人文の上手さだけではありません。
入った後の一日をどれだけ安定させられるかでもあります。

ここを見ずに採用だけ強化すると、入口は少し増えても、定着で苦しみます。

5 教育できない会社ではなく、教える余白がない会社かもしれない

新人が育たない。
未経験者が続かない。
そう感じる会社も多いです。

ただ、これも人の問題だけではありません。
教育する側に余白がない会社では、人は育ちにくいです。

配車は常に追われている。
ベテランは自分の仕事で手いっぱい。
管理職はトラブル対応に追われている。
社長も現場判断と資金繰りで頭がいっぱい。
この状態で新人を受け入れても、教える時間も、確認する時間も、声をかける余裕もありません。

そして新人は、自分が放置されているように感じます。
会社側は忙しくて手が回らないだけでも、受け取る側は不安になります。

教育できない会社ではなく、教育する余白を奪われている会社かもしれない。
ここは、かなり大事な視点です。

採用を成功させたいなら、採る前に、誰が教えるのか、どこまで教えるのか、いつ確認するのかを決めておく必要があります。

6 採用支援の前に、経営の土台を見直すべき会社がある

採用支援が不要という話ではありません。
求人票の改善も、採用広報も、面接設計も大事です。

ただし、採用支援の前に経営の土台を見直すべき会社があります。

残らない仕事を増やしている。
配車が常に不安定。
拘束時間が読めない。
教育する人と時間が決まっていない。
管理職の役割が曖昧。
利益が薄く、待遇改善の原資も作れていない。

この状態で採用だけ強くしても、入った人が続きにくい。
だから、また採用に戻る。
この繰り返しになります。

採用改善と経営改善は別物ではありません。
むしろ、定着を本気で考えるなら、仕事の取り方、配車、利益構造、管理職の役割まで一緒に見る必要があります。

人を集める施策と、人が残る会社づくりは違います。
前者は入口を作る。
後者は会社を強くする。

7 まず見るべきは、辞めた理由ではなく残れる条件

退職理由を聞くことは大事です。
ただ、辞めた理由だけを追いかけると、後追いになります。

本当に見るべきなのは、どんな条件なら人が残れるかです。

どの便なら生活リズムが崩れにくいのか。
どの荷主の仕事は現場負荷が低いのか。
どのコースは新人でも入りやすいのか。
どの管理者の下では人が定着しやすいのか。
どの働き方なら採用市場に出せる魅力になるのか。

ここまで見ると、採用は単なる人集めではなくなります。
会社として、どの仕事を増やすべきか。
どの働き方を作るべきか。
どんな人に来てほしいのか。
何を約束できるのか。
そこまで整理できます。

採用の前に、残れる条件を作る。
これが順番です。

8 まとめ 採る力より先に、残る会社をつくる力が必要だ

求人を出しても来ない。
入っても続かない。
そのたびに採用が弱いと感じる。

でも、本当に見るべきなのは求人の入口だけではありません。
入った人が続けられる仕事の中身です。

荷待ちが長い。
帰り便が弱い。
拘束時間が読めない。
配車変更が多い。
教える余白がない。
管理職の役割が曖昧。
利益が残らず、待遇改善の原資も作れない。

こうした構造があるまま採用を強くしても、人は残りにくい。

採用難の前に見直すべきことがあります。
それは、求人の出し方だけではありません。
人が残れる仕事の作り方、配車の組み方、教育の仕組み、利益の残し方です。

採る力より先に、残る会社をつくる力が必要だ。

このnoteでは、運送会社の採用、配車、営業、数字、組織運営、法対応まで、現場と経営の間にあるズレを整理して発信しています。
自社の経営判断を見直すきっかけとして、次回以降も読みたい方はフォローしておいてください。

いいなと思ったら応援しよう!

トラック運送業特化経営コンサルタント よろしければ応援お願いします! いただいたチップは活動費に使わせていただきます! 何卒よろしくお願いいたします。