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【離職防止の仕組み作り】介護現場のハラスメント対策|研修の重要性と義務化への備え

こんにちは、日本綜合社会保険労務士法人の山田抄織です。

介護業界の人事・労務担当者の皆様、職員の人間関係トラブルにお悩みではありませんか?

「利用者様やご家族からの無理な要求で職員が疲弊している……」
「認知症の利用者様からの暴力行為に、どう対応すればいいのか……」

職員が「病気だから仕方ない」「自分のケアが悪いのかも」と一人で抱え込み、心身をすり減らしてしまう……そんな痛ましいケースは、残念ながら後を絶ちません。

職員の定着は、サービスの質に直結する最重要課題。

カスタマーハラスメント対策が法的に義務化される見込みの今、企業として職員を守る体制構築は待ったなしの状況です。

そこで今回は、厚生労働省の公式マニュアルを紐解きながら、明日から実践できる具体的な対策を解説します。


介護現場で起こるハラスメントの現実

介護現場のハラスメントは、大きく2つに分けられます。

1. 利用者・家族からのハラスメント(カスタマーハラスメント)

言葉の暴力や過剰な要求に加え、介護現場には特有のリスクが存在します。

・施設介護の現場:認知症等の心身の状態により、ご本人に悪意なく行われる暴力・暴言。職員が我慢を強いられ、心身ともに傷つく深刻な問題
訪問介護の現場:職員と利用者が一対一の「密室」空間になるため、より深刻な身体的暴力やセクシュアルハラスメントが発生しやすいというリスクがあります

2. 職員間のハラスメント

「仕事が遅い」といった暴言や無視など、職員同士のパワーハラスメントも、離職の大きな引き金となります。

これらのハラスメントを放置することは、職員の離職を招くだけでなく、パワハラ防止法に基づく事業主の義務違反にあたります。

そして、カスハラ対策も法的義務となる今、企業としての対応は急務なのです。

厚労省マニュアルに学ぶ!組織で取り組むべき3つのステップ

では、具体的に何をすればいいのか。

厚生労働省が公表している「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」には、企業が組織として取り組むべきステップが明確に示されています。

ステップ①【方針を示す】トップの宣言とルールの明確化

これが全ての土台です。「職員一人に背負わせない」という会社の姿勢を明確に示します。

・トップメッセージの発信:経営トップが「いかなるハラスメントも許さない。会社が責任をもって職員を守る」と明確に宣言し、朝礼や文書で全職員に伝えます
就業規則への規定:就業規則にハラスメント防止規程を設け、「利用者等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)」への対応方針や、職員間のハラスメントに対する懲戒処分を明記します

ステップ②【仕組みを作る】相談窓口と対応手順の整備

職員が一人で悩まずに済む「仕組み」を構築します。

・相談窓口の設置と周知:人事担当者だけでなく、外部の専門家(社会保険労務士など)を窓口にすることも、プライバシー保護の観点から非常に有効です。窓口の存在は、ポスターなどで常に目につく場所に掲示し、周知を徹底しましょう
【重要】対応マニュアルの策定:マニュアルには、「職員一人で対応しない」「必ず上司に報告する」「原則として複数人で対応する」といった初期対応のルールを具体的に定めます。これにより、職員は個人の判断で抱え込むことなく、組織として行動できるようになります

ステップ③【実行する】研修の実施と相談後の適切な対応

ルールと仕組みを形骸化させないために、実行体制を整えます。特にハラスメント研修の実施は、法律で定められた事業主の防止措置義務を果たす上で、極めて重要な取り組みです。

定期的な研修の実施
研修は、①ハラスメントを発生させない予防効果と、②発生時に適切に行動できる知識を与える効果の両面があります。

全職員を対象に、ハラスメントの具体例や、マニュアルに沿った対応手順を学ぶ研修を定期的に実施しましょう。認知症ケアに関する知識や、アンガーマネジメントといったスキル研修も有効です。

相談後のフローの徹底
相談があった際は、①事実確認 → ②被害職員への配慮措置(担当変更など) → ③行為者(利用者・家族)への対応(注意喚起、契約解除の検討) → ④再発防止策の検討、という一連の流れを、組織として責任をもって行うことが求められます。

職員の安心が、質の高いサービスを生む

ハラスメント対策は、単なる法的義務やリスク管理ではありません。

職員が「この職場は、いざという時に自分を守ってくれる」と感じられる安心感こそが、定着率を向上させ、ひいては利用者様へのケアの質を高めるための、最も重要な経営投資です。

まずは、「職員一人に背負わせない」というトップの強い意志表示から始めてみてはいかがでしょうか。

皆様の事業所が、職員にとっても利用者様にとっても、より安心できる場所になることを心から願っています。

【参考資料】
本記事の作成にあたり、以下の厚生労働省の資料を参考にしています。ぜひ貴社の対策にご活用ください。

▼介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

https://www.mhlw.go.jp/content/12305000/000947524.pdf

▼ハラスメント研修に関する資料

▼社会福祉法人のお困りごとはこちらまで

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