社長に「これどうしますか?」が1日10回来る会社。本当の問題は社員ではありません
「社長、これどうしますか?」
こんなやり取りが、一日に何度も繰り返される。
契約書の確認、値引きの相談、お客様対応、社内ルールの確認。
本来なら現場で判断できそうなことまで、すべて社長へ確認が上がってくる。
No.2や幹部の立場なら、「そのくらい自分で決めてくれ」と感じるはずです。しかし、本当に原因は社員なのでしょうか。
もし社員の判断力が原因なら、社員を入れ替えれば解決するはずです。
教育を増やせば、質問は減るはずです。
実際はどうでしょうか。
新人が入っても、幹部になっても、結局は社長へ確認が上がっていく。
私は400社以上の組織を見てきましたが、この現象には一つの共通点があります。
それは、「社長に確認することが正解になる組織」ができあがっていることです。
判断していないのではない。「確認すること」が正解になっている
社員は考えていないわけではありません。
自分なりに考え、どうすればいいかを判断しようとしています。それでも社長に確認が集まるのは、「確認する方が正しい」と組織の中で学んできたからです。
自分で判断すると修正される。
なんで勝手に決めたの?と言われる。
一方で、確認すれば大きな問題にはならない。
その経験を何度も繰り返せば、「まず社長に聞こう」という行動が当たり前になります。
社員は判断力を失ったのではありません。
組織の中で、「確認すること」が最も安全な判断だと学習したのです。
だから、「迷ったら社長に聞く」という文化は、人ではなく組織がつくり出しています。
No.2も、いつの間にか社長依存の一部になっている
この構造で一番苦しくなるのは、実はNo.2や幹部です。
現場から相談が来る。
自分で判断できそうな内容でも、「社長に確認した方がいい」と感じてしまう。
その結果、No.2も社長へ確認する。
現場から見れば、
「まずNo.2に聞く。」
「最後は社長が決める。」
この流れが当たり前になります。
すると、No.2は判断する人ではなく、「社長へつなぐ人」になってしまいます。現場は、その先にいる社長を見て仕事をするようになります。
だから、どれだけ経験を積んでも、どれだけ知識があっても、No.2としての影響力が育ちません。
本人の能力ではありません。No.2が判断できないのではなく、No.2が判断する仕組みになっていないのです。
だから、この問題は育成しても解決しません。
まず見直すべきなのは、人ではなく組織の構造です。
優秀な社長ほど、社長依存を強めてしまう
仕事ができる社長ほど、判断が早い。
現場が迷っていれば、その場で答えを出しますし、問題が起きれば、自分で修正する。
その方が早いし、失敗も少ない。
だから会社は成長します。しかし、ある時から違和感が生まれます。
社長は忙しくなる一方、現場はいつまで経っても自分で決められない。
No.2も幹部も、最後は確認を取りにいく。
幹部に任せているつもりでも、現場は「最後はトップが決める会社」だと学習しているのです。
トップが優秀だからこそ、組織はその人に最適化されていく。
その結果、いなくなった瞬間に判断が止まる組織が出来上がります。
社長依存は、能力の低い組織で起きるものではありません。
むしろ、優秀な経営者が会社を支え続けた結果として生まれることも少なくないのです。
最後に
社長依存は、社員やNo.2の能力不足で起きる問題ではありません。
「社長に確認することが正解になる組織」が出来上がった結果として生まれる、組織の問題です。
だから、人を育てる前に、人が育つ組織になっているかを見直す必要があります。
もし、「これは、うちの会社にも起きている。」
そう感じたなら、その違和感は間違っていません。
組織は、人ではなく構造で動いています。
■メンバーシップ「No.2経営ラボ」

この記事では、「社長依存」という一つの組織のバグを取り上げました。
しかし、実際の組織はもっと複雑です。
権限委譲、幹部育成、会議、評価制度。
一見すると別々の問題に見えますが、実はすべてつながっています。
一つだけ改善しても、別の場所で同じ問題が起きるのはそのためです。
メンバーシップ「No.2経営ラボ」では、「組織のバグ」を一つずつ分解しながら、No.2が組織全体をどう見立て、どの順番で改善していくのかという判断軸をお伝えしています。
社長の右腕にとどまるのではなく、組織を動かすNo.2になるために。
▼二宮誠悟プロフィール
現役取締役。400社以上の組織と向き合い、組織を構造から読み解く。
▼No.2経営支援サービス
組織課題を可視化し、意思決定・権限設計・実行プロセスを再構築する。
▼組織のバグ100本Q&A(有料記事)
組織のバグを言語化し、組織を動かす判断軸へ体系化する。
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたチップは、組織づくりやNo.2に関する実践知の発信、記事制作、テンプレート作成などの活動費として活用させていただきます。
少しでも学びや気づきがありましたら、応援いただけますと励みになります。