【ちょっと昔の世界一周】 #46 《沈む夕陽と奇岩達》
サフランボルでのことがあったので、ツアーもなかなかいいものだ!と思った私は、どんな観光ツアーがあるか女将さんに声をかけてみる。
カッパドキアの奇岩ツアーの他にも、有名なサンライズ気球ツアー、さらにはシオリさんが言っていたバギーツアーもある。
いくつかあるが、奇岩ツアーは自分でも行けるということを聞いていたので、わざわざ高いお金は払いたくはない。
気球ツアーにいたっては、高所恐怖症の私にとっては論外…
じゃあいいかなぁ〜と思っていると、一つ気になるものがあった。
サンセットツアー
いかにもカッパドキアといった風景に沈んでいく夕日を眺める。
なんか良さそう…
まだ午前中とういこともあり、時間までは近くの観光もできるよ!と教えてもらいせっかくなので申し込むことにした。
ひとまず予定もできたので、それまでは自由にしようと思い、街歩きをしながら女将さんから聞いた奇岩スポットを目指す。
すぐ着くよ!
そう言われてはいたものの、ここは海外。
日本とは時間の流れが違うことは百も承知だ。
結構かかるんだろうなぁ〜と歩いていると、前から見たことのある顔の日本人が歩いてきた。
彼らはツリーで出会った人たち。
どちらからともなく「久しぶり!」と声をかける。
話をすると、彼らは別の宿に泊まっているとのこと。
どうやら数日前まで、私が止まっている宿は満員だったようだ。
結果としてプール付きの宿に泊まっているけど、結局は高いからなんともなぁ…とのこと。
今夜の夜行バスで移動してシリアへ行くから、今日はプールでのんびりするんだぁ〜と言う彼らからカッパドキア・ギョレメ情報を聞き、またどこかで合うかもしれないね!と別れを交わす。
ツリーに滞在中はそこまで話していないメンバーだったが、こうして流れの中で出会うと普通に話をする。
元々内気な性格であった私にとっては、旅に出て最も変化したことであろう。
教えてもらった店で軽食を済ませ、再び歩き出す。
案の定それなりの時間がかかり、目的地に到着する。

ギョレメの街並み、さらに近くづくことで奇岩の姿は見慣れていたのだが、実際にその場に立つとやはり感動するものである。
自然が生み出した神秘
とでも言えばいいのだろうか。

他にはツアーらしい観光客もいたが、個人で来たので思うがまま、自由に奇岩観光を満喫した。
調子にのってどんどん上に登っていき、いざ降りようと思ったら滑り落ちそうで危ない思いもしながらも一通り見て周り、大自然の芸術を堪能し宿へと戻ってきた。


サンセットツアーの出発時間まではもう少し時間がある。
昨日からの移動もあったし、今も結構な距離を歩いてきたので、ツアーの前に一休み。
そう思いベットに横になっていると、部屋に人が入ってきた。
ドミなので気にすることもないと思い、旅のお供の本を読んでいると
「こんにちは!新しい人、日本人だったんですね!」
と声をかけられる。
日本語の安心感にベットから飛び起き、顔を見ると日本人(そのはず)の男性が立っている。
「こんにちは〜!今朝ここに着いた、ノブと言います!」
「どうも、シンジです。俺も昨日着いたんですよ!」
あっという間に自己紹介を済ませる。
これも旅で培った力である。
話をしていると、シンジさんもイスタンブールでは私が泊まる前にツリーにいた人だった。
そこから、私のトルコで訪れたい居場所を逆ルートで周っていて、ここからイスタンブールに戻るらしい。
ツリー関係、さらにこれから行く予定の街を通ってきたとは、私にとってはとても話しやすい人だった。
そんなシンジさんにこれからのツアーの話をすると
「俺も行ったけど、参加者も少ないみたいだから結構自由に動けるよ。意外と楽しめたしよかったよ!あと、今日行ってきたツアーもよかったし、観光地だけあって色々あるわ!」
という話を教えてくれた。
今日のツアーも楽しそうならよかった。と思いつつ、もう一つのツアーというのも気になった。
簡単に説明すると、おすすめ観光スポット集合といった感じなのだが、カッパドキアで最も有名な奇岩達は行かないらしい。
なので、どうせなら見ておきたいが、そこまで時間がかからない場所をまとめて見れてお得なようだ。
さらにシンジさん曰く、訪れる場所は自分で行くには面倒だが見応えもある。とのことでおすすめされた。
女将さんに言えば申し込めるようなので、会ったばかりだがシンジさんの話にのって参加してみることに決めた。
気がつけばツアーの時間が近づいている。
準備を整え、明日の申し込みを兼ねて女将さんに話しかける。
申し込みを済ませると、タイミングよくツアーの車がやってきた。
戻ったら夕飯でも食べに行こう。とシンジさんが言いながら見送ってくれ、私は車に乗り込んだ。
*****
車は【ローズバレー】という場所に着く。

奇岩達が夕陽に染まり、一面〝ローズ〟のような色になるということで、この名前が付けられたらしい。
参加者は私を含め五人。
サンセットポイントまで着いたが、日没までまだ時間があるということで周辺で自由行動になった。
多少雲が出ているものの、問題ないと言うガイドが言っていたが、サンセットを抜きにしてもかなりの絶景である。



他の参加者はガイドの説明を聞いたりしていたのだが、私はというと聞いたところで聞き取れないだろうと思い、一人で動き回っていた。
しばらくすると、そろそろ日が沈んでくる時間らしく、みんなが一箇所に集まりだしたのでさりげなく私もみんなの所へ近づいていく。
そして、少しずつ空が染まり始める。
それに呼応するかのように、奇岩達がローズに染まっていく。

少しずつ変化していく景色を眺めながら、静かな時間が過ぎていく。
思えば昨日も一昨日も人と夕日を眺めていた。
しかし、昨日までとは違い今日は知らない人たち。
サフランボルで出会ったメンバーのことを思い出しながら、夕陽に染まっていく奇岩達を眺める。
とても不思議な感覚である。

僅か一日。
それでも確実に時は流れている。
また明日は、今とも違った考えで夕日を眺めるかもしれないし、そもそも見ていないかもしれない。
旅という流れの中で、これまで以上に時の流れを感じられるようになった。
確実に時は流れていく。
それでも、夕日を眺める時にサフランボルの夕日を思い出すことは絶対にまたあるだろう。
大切な思い出なんだな
その瞬間はそう感じていなくても、一瞬一瞬が大切な思い出になっていく。
もしかしたら、この奇岩達と夕陽も思い返した時に大切な思い出になっているかもしれない。
当たり前の日々って大切だなぁ
そんなことを考えながら、ゆったりと沈む夕陽と奇岩達を眺めていた。

