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【第252回】 Marketing Cloud Next : セグメントの基本

Marketing Cloud Next(Marketing Cloud Growth & Advanced Edition)を活用する際に欠かせないのが、適切なセグメントの設計です。Marketing Cloud Next では、Data Cloud のセグメント機能を活用します。本記事では、Data Cloud のセグメントの基本を押さえつつ、Marketing Cloud Next 特有のセグメントのポイントも紹介します。


Marketing Cloud Next 特有のポイント

1. Unified Individual を活用する必要がある

Marketing Cloud Next で使用するセグメントは、セグメント基準(Segment On)が「Unified Individual(統合個人)」データモデルオブジェクトに基づいて作成する必要があります。このことから Marketing Cloud Next では「ID 解決」を通じた統合が必須となっています。この「ID 解決」で正しく統合することで、複数のデータソースが存在していても、重複送信を回避することができます。

注意点:セグメント作成時には、「Unified Individual」以外のデータモデルオブジェクト(DMO)を選択することも可能です。ただし、「Unified Individual」以外の DMO に基づくセグメントは、セグメントトリガーフローの「開始」要素で使用することができません。その場合、フローを保存しようとするとエラーが発生し、先に進むことができなくなります。

2. セグメントの有効化(アクティベーション)は不要である

通常、Data Cloud でセグメントを何か活用する際は、「有効化」の手順が必要ですが、Marketing Cloud Next では「有効化」が不要です。セグメントを作成後、「公開」を実行するだけで配信が可能になります。


セグメントの設定のポイント

更新タイプの選択

セグメントの更新頻度に応じて、以下のオプションが選択可能です。

1. 静的セグメント

  • 更新頻度:「更新しない」を選択

  • 特徴:変化しない固定リストとして使用可能

  • 用途:単回実行のリストや安定したリスト管理に最適

2. 標準公開

  • 更新頻度:12 時間または 24 時間ごと

  • データ範囲:過去 2 年間のエンゲージメントデータを活用可能

  • 用途:定期的なリフレッシュが必要な安定運用に適切

  • 更新タイプの変更可否:高速公開には変更できません

3. 高速公開

  • 更新頻度:1 時間または 4 時間ごと

  • データ範囲:過去 1 週間のエンゲージメントデータを活用可能

  • 用途:時間に敏感なシナリオや自動化プロセスに最適

  • 更新タイプの変更可否:標準公開に変更できます

  • 制限:最大 20 個まで作成できます

※ 高速公開の「有効化対象」は、Marketing Cloud Engagement、SFTP、Cloud File Storage に限られていますが、そもそも Marketing Cloud Next では有効化をしないので検討は不要です。


ルックバック期間について

ルックバック期間とは、データ処理量を効率的に管理するための重要な設定です。通常、標準公開の場合であれば、デフォルトで過去 2 年間のエンゲージメントデータが利用されますが、すべてのデータを処理する必要があるかを検討することが推奨されます。

たとえば、過去 1 か月分のエンゲージメントデータのみを分析対象とする場合、ルックバック期間を 30 日に短縮することで、不要なデータ処理を削減し、クレジット消費を抑えることが可能です。この設定は「1 日から 360 日 まで」or「1 年以内、2 年以内」のような柔軟な調整ができるため、ニーズに応じた最適な期間を選択できます。


セグメントの基本構造

  • セグメント対象(Segment On):どの DMO をセグメント対象にしているかが表示されます。

  • 公開スケジュール:公開頻度が表示されます。

  • 属性タブ・セグメントタブ:フィルター条件に「属性」を選択するか「セグメント」を選択するかを決めます。この時の使用されるセグメントは「ネストされたセグメント」と呼ばれ、複数のセグメントに亘って既存のセグメントの「再利用」が可能になり、一貫性を保持できます。

  • 直接属性・関連属性:直接属性とは、主にデモグラフィックデータ(年齢、性別)であり、セグメント対象に対して 1 対 1 の関係があるものです。関連属性は、1 対 多の関係となるものであり、例えば、購入履歴やメールのエンゲージメントデータ(開封・クリック)などが概要します。

  • Include | Exclude:一般的な含む条件の他、除外条件も設定が可能です。


コンテナによるグループ化

フィルターを「関連属性」を基に定義すると、その属性に基づいたルールオプションを含む「コンテナ」がキャンバス上に追加されます。この際、関連属性のデータモデルオブジェクト(DMO)がコンテナの基点となります。

同じコンテナに他の関連属性を追加すると、それらの属性は「同じデータ行に基づいて」作用します。この属性ライブラリには、コンテナの起点から最大 5 つのリレーションシップまで関連するオブジェクトが表示され、これらのオブジェクトの属性をコンテナに含めることができます。基点 DMO 以外で 5 つのリレーションシップまで関連する DMOが表示されるので、 6 つの DMO から選択できます。

※ 属性を選択する場合は、コンテナパスが最短になるように選択するのがベストプラクティスです。

一方で、異なるコンテナ内に配置された属性同士は相互に関連しません。それぞれが個別にフィルタリングを行います。こちらの場合は、同じデータ行に基づくものも含まれますが、基づかない場合もあります

シナリオ例

  • シナリオ 1:属性「青色」と「スカート」を同じコンテナに配置した場合、AND ロジックが適用され、購入時に「青色のスカート」を単一の注文製品として購入した顧客を検索します。

  • シナリオ 2:属性「青色」を 1 つのコンテナに、属性「スカート」を別のコンテナに配置した場合、過去に「青色の製品」を購入したことがあり、かつ「任意の色のスカート」を購入したことがある顧客を検索します。

注意点

リレーション関連付けられていないデータモデルオブジェクトの属性同士を、1 つのコンテナに含めることはできません。


集計タイプとマーケティングのセグメンテーション例

マーケティング戦略において、特定の集計タイプを使用することで、顧客の行動に基づいた効果的なセグメンテーションが可能になります。以下は、集計タイプごとの設定イメージです。

  • Count ・・・ 件数
    過去 6 か月間にアプリやWebサイトで少なくとも 3 回以上購入した顧客をターゲットにする場合、訪問回数のカウントが有効です。「数値」属性は不要です。

  • Sum ・・・ 合計
    アプリや Web サイトを通じて、過去 6 か月間に合計 5 つ以上の商品を購入した顧客を特定する際に役立ちます。「数値」属性が必要です。

  • Average ・・・ 平均
    過去 6 か月の購入データをもとに、1 回の注文あたりの平均購入個数が 3 個を超える顧客をセグメント化する場合に使用できます。「数値」属性が必要です。

  • Min(imum)・・・ 最小値
    過去 6 か月間に 1 回の購入金額が 150 ドル以上の顧客を抽出するには、最低値(Minimum)の設定が適しています。「数値」属性が必要です。

  • Max(imum)・・・ 最大値
    過去 6 か月以内の購入履歴から、送料または配送費として 15 ドル以上を支払った顧客をターゲットにする場合、最大値(Maximum)を活用できます。「数値」属性が必要です。


セグメントにおける計算済みインサイト

計算インサイトは、複雑なメトリクス計算(LTV など)を活用してオーディエンスを生成するためのセグメンテーションに使用されます。

例:今後のマーケティングキャンペーンでは、ガラスカテゴリの生涯注文金額が 20 ドルを超えるすべての顧客のセグメントが必要です。この要件を満たすため、統合された個人データと注文データを結合し、ガラス製品を含むすべての注文レコードの注文金額を合計する「LTV」と呼ばれる新しい指標を計算する計算インサイトが作成されます。

計算済みインサイトの表示は、たとえば、Unified Individual に関連している場合は、その Unified Individual の属性表示の直下に表示されます。

注意点:

計算インサイトがセグメンテーションに表示されるようにするには、計算インサイトが、セグメント対象(Segment On)オブジェクトとリレーション関係があり、さらに、セグメント対象(Segment On)のプライマリーキー属性が、計算インサイトのディメンションとして存在する必要があります。


セグメントのプレビュー機能

①:Data Cloud セグメント画面からの確認

Data Cloud の 2025 年 9 月 のリリースで、Data Cloud セグメント画面から遷移できるセグメントのプレビュー機能がリリースされました。詳細は、以下の記事をご確認ください。

※こちらのプレビュー機能では、公開前のセグメントを確認できます


②:キャンペーンに統合されたフロー上での確認

Spring '25 の新機能リリースで、キャンペーンに統合されたフロー上に、セグメントのプレビュー機能が追加され、最大で 1,000 名のリストを送信前に確認できるようになりました。

考慮事項

  • キャンペーンに統合されたフローには「プレビュー」ボタンがあります。

  • 「プレビュー」ボタンを押す度に、データクエリのクレジット を消費します。ボタンを押さなければ、消費されません。

  • 実際にリストに表示されているのは、「最終公開時」のセグメントデータ です。

  • プレビュー画面の上部、左側に表示されているのが「最終公開時のセグメント数」で、右側に表示されているのが「セグメント作成直後によるセグメント数」です。

この不和を理解するには、以下を理解する必要があります。

  • セグメントを作成直後の段階では、まだ、仮の状態にあります。

  • 「公開」することで初めてリストとして確定します。

※ セグメント作成直後は「宙に浮いた仮の状態」であることを意識してください。この「宙に浮いた仮の状態」のまま、送信されるわけではなく、あくまで「最終公開したセグメント」を正として、送信が実行されます。


③:Flow Builder の「デバッグ」からの確認

キャンペーンに統合されたフローには「プレビュー」ボタンがある一方で、Flow Builder 上には「プレビュー」ボタンは用意されていません。但し、フローを保存した後に、「デバック」ボタンをクリックし、「Select Data Cloud Record」のボタンをクリックすることで、セグメントのプレビューを確認することができます。

一度に表示できる購読者の数は 25 名までです。表示する項目を選択したり、フィルタリングも可能です。


Marketing Cloud Account Engagement との比較

最後に、Marketing Cloud Account Engagement(MCAE、Pardot)の標準セグメント機能との比較を見てみましょう。この比較では、Data Cloud がMCAE に比べて優れた特徴を持つことを示す具体的な指標を確認できます。

1. Marketing Cloud Account Engagement の場合

  • 対象:直接紐づく子オブジェクトのみ(孫オブジェクト以降は対象外)

  • 連携可能数:最大 10 個程度のオブジェクト

  • レコード数:各オブジェクトで最大約 80 万件

2. Data Cloud を活用したセグメントの場合

  • リレーション階層:最大 5 階層まで対応

  • オブジェクト数:最大 7,500 個

  • データサイズ:制限なし


いかがでしたでしょうか。

今回、紹介したのは「標準セグメント」でした。

本記事の Data Cloud セグメント機能
 ① ⭕ 標準セグメント
 ② ✖️ ウォーターフォールセグメント
 ③ ✖️ リアルタイムセグメント
 ④ ✖️ 動的セグメント
 ⑤
 ✖️ Einstein Segment Creation(AI によるセグメント)

他のセグメントに関しても、順次紹介できればと思います。

これらのセグメントの技術を正しく理解し活用することで、効果的なキャンペーン運営が可能になります。正確なセグメント設定と公開スケジュール管理を徹底し、最大限の成果を引き出しましょう。

今回は以上です。


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