【第354回】 Marketing Cloud Next : 統合個人セグメントで単一送信する機能
Marketing Cloud Next Growth & Advanced Edition では、セグメントトリガーフローで統合個人(Unified Individual)を利用した場合、1 つの統合個人 ID に紐づくすべてのメールアドレスに対してメールが送信される仕様になっています。
つまり、1 人の顧客に複数のメールアドレスが紐づいている場合、同一人物に複数通のメールが送信されてしまう可能性があります。
複数のメールアドレスが紐づく代表的なケース
統合個人 ID に複数のメールアドレスが紐づくケースとして、例えば以下のような状況が考えられます。
サインアップフォームで、その都度異なるメールアドレスを入力された場合
リードから取引先責任者へコンバージョンした後にメールアドレスが変更された場合
Marketing Cloud Engagement(MCE)と CRM など、異なるデータソース間でメールアドレスが異なる場合
このような場合、ID 解決のマッチルールの設定次第では、同一顧客に対して複数のメールが送信される可能性があります。
Spring ’26 の改善:統合個人ごとに 1 通のみ送信
Spring ’26 の新機能リリース により、この挙動が改善されました。
現在は 「統合個人 ID 1 つにつき、プライマリーのメールアドレス宛に 1 通のみ送信する」設定が可能になっています。
以下の画面における機能を利用することで、同一顧客への重複送信を防ぐことができます。
本機能は、Data 360 の有効化機能の一つである 「Activation Template」 を活用して実現されています。

新しい Activation Template 機能によって実現できること
今回の仕組みにより、以下の 3 つが可能になります。
本記事では、Unified Individual ベースのセグメントフローでの単一送信 の仕組みと設定方法について解説します。
統合個人に紐づくメールアドレスを確認する
まず、統合個人 ID にどのメールアドレスが紐づいているかを確認してみましょう。以下の SQL を Query Editor で実行すると、統合個人に紐づくメールアドレスを確認できます。
SELECT UnifiedId, Id, FirstName, LastName, Email, DataSource, IRUpdatedDate
FROM (
SELECT
b.UnifiedRecordId__c AS UnifiedId,
b.SourceRecordId__c AS Id,
d.ssot__FirstName__c AS FirstName,
d.ssot__LastName__c AS LastName,
c.ssot__EmailAddress__c AS Email,
b.ssot__DataSourceObjectId__c AS DataSource,
b.CreatedDate__c + interval '9 hour' AS IRUpdatedDate,
ROW_NUMBER() OVER (
PARTITION BY b.SourceRecordId__c, c.ssot__EmailAddress__c
ORDER BY c.ssot__LastModifiedDate__c DESC
) AS rn
FROM
IndividualIdentityLink__dlm a /* ← 自分の Unified Link Individual DMO の API 名に変更する */
LEFT OUTER JOIN IndividualIdentityLink__dlm b /* ← 自分の Unified Link Individual DMO の API 名に変更する */
ON a.UnifiedRecordId__c = b.UnifiedRecordId__c
LEFT OUTER JOIN ssot__ContactPointEmail__dlm c
ON b.SourceRecordId__c = c.ssot__PartyId__c
LEFT OUTER JOIN UnifiedIndividual__dlm d /* ← 自分の Unified Individual DMO の API 名に変更する */
ON a.UnifiedRecordId__c = d.ssot__Id__c
WHERE a.SourceRecordId__c = '***' /*Individual Id Filter*/
) t
WHERE rn = 1
ORDER BY Id
LIMIT 10※ 以下は自分の環境に合わせて変更してください。
IndividualIdentityLink__dlm → Unified Link Individual DMO
UnifiedIndividual__dlm → Unified Individual DMO
また、WHERE 句には統合されている個人の Salesforce ID(18桁)を入力します。
このクエリを実行すると、1 つの統合個人に紐づいている複数のメールアドレスを確認することができます。
設定手順
事前準備:データグラフの設定
この仕組みでは Unified Individual を起点としたデータグラフ の準備が必要です。
Unified Individual > Unified Link Individual > Individual > Contact Point Email のパスを接続してください。
Contact Point Email の Data Source 項目を必ず選択してください。
この項目が設定されていない場合、フロー保存時に警告が表示されます。その場合、優先順位の設定は有効にならず、Any(どれでも) を選択した場合と同じ扱いとなり、設定した優先順位は適用されません。Email Type で、以下を利用してる場合はこれらも追加してください。
Primary Flag 項目
For Business Use 項目
For Personal Use 項目

1. アクティベーションテンプレートを作成
まず 有効化(Activation)タブに移動し、新規 をクリックします。

続いて、Spring ’26 で新しく登場した 「テンプレート(Template)」 を選択します。

2. 対象データモデルを選択
以下の設定を行います。
対象データモデルオブジェクト:Unified Individual
プラットフォーム:Data Cloud

3. チャネルを選択
チャネルを選択します。SMS を購入していない場合は メールのみ選択可能となるため、ここでは Email を選択します。

4. ソース優先度を設定
続いて 「ソース優先度の編集(Edit Source Priority)」 を選択します。
ここが 最も重要な設定になります。

ここで設定した 優先度の高い順にメールアドレスが利用されます。
例えば、次のような設定が可能です。
フォームのメールアドレス
取引先責任者のメールアドレス
当然、顧客によっては フォームのメールアドレスが存在しない場合もあります。その場合は、次の優先順位である取引先責任者のメールアドレスが利用されます。

Unified Individual に対しては、複数のアクティベーションテンプレートを作成することも可能です。
本記事の例では、フォームで取得したメールアドレスを優先する設定にしていますが、取引先責任者のメールアドレスを優先するテンプレートを作成することもできます。
補足:Email Type を使った詳細設定
同じ取引先責任者でも、メインのメールアドレス以外に、
第 2 メールアドレス
プライベートなメールアドレス
など複数のメールアドレスを持つ場合があります。
その場合は Email Type を利用することで、さらに細かい優先制御を行うことも可能です。
優先順位を登録したら次へ進みます。

5. 次の画面(属性選択)
次の画面は通常のアクティベーションでは 属性を追加する画面ですが、アクティベーションテンプレートでは属性選択はありません。
そのまま 次へ進みます。

6. テンプレート名を設定
最後に アクティベーションテンプレート名を設定します。
ここでは どのソースが優先されているか分かる名前にしておくことが重要です。
Unified Individual – Form Email Priority(フォームを優先)
Unified Individual – Contact Email Priority(取引先責任者を優先)

7. セグメントトリガーフローで利用する
次に セグメントトリガーフローを作成します。
セグメント対象として Unified Individual を選択すると、アクティベーションテンプレートの設定画面が表示されます。
ここで、先ほど作成したアクティベーションテンプレートを選択します。

注意:Unified Individual においては、この設定は必須ではなく、あくまでオプションであることに注意してください。但し、設定しない場合は、統合個人に関連するすべてのメールアドレスに送信される可能性があります。
8. チャネル優先順位の表示
テンプレートを選択すると、チャネルの優先順位が表示されます。
ただし今回は SMS を追加していないため、この設定は無視できます。

あとは通常通りフローを有効化して送信するだけになります。
いかがでしたでしょうか。
Marketing Cloud Next では、これまで
セグメントトリガーフローで統合個人に紐づく複数のメールアドレスへ送信されてしまう最大の懸念点 がありました。
しかし Spring ’26 の新機能により、統合個人ごとに1通のみ送信する制御が可能になりました。
この機能が提供されたことで、今後は マーケター側でこの設定を標準的に利用していく必要があると考えられます。
もちろん、
絶対にメールアドレスが 1 つしか存在しない
と確信できる場合は設定しなくても問題ありません。
ただし、設定自体はそれほど難しくないため、基本的には有効化しておくのが安全な運用と言えるでしょう。
今回は以上です。
