【心の居場所まとめ⑥】紹介小説第5話「トライ&エラー」
万尋は『185ハウスはこんな場所』と書いてあるノートを持っていた。
「だって、喫茶店って決まってるでしょ?」
万尋は何を言っているんだろう?
「そうだけど、雰囲気とかさ、色々あるじゃん」
「あー。そういうやつ?なにか案はあるの?」
「フフフフ……」
あ、不気味な笑い。
「さちともこさんご提案の家、面白くない?」
日本一明るい一軒家?
フムフム……。
めっちゃ楽しそう!
なるほど。集まる人たちや支援などで経費を賄って、自分たちで環境整備をするのか。
すごい自由な発想!
私も行ってみたい!
レクレーションやイベントなど、突発的なものも含めて「遊ぶこと」を大事にする(もちろん参加不参加は完全自由)
「これ良くない?」
万尋はノリノリだ。
「うん、面白そう!」
でも……。
「喫茶店とは違うくない?」
「そうじゃなくて、フリースクールの方」
「だから、フリースクールはまだ……」
でもフリースクールなのにずっといたり、すぐ帰ったりが自由……?
『遊ぶこと』を大事にする……?
「そっか。じゃあ一旦保留で」
万尋、何を考えているんだろう?
でも楽しそうな匂いがする。
今まで見たり聞いたりしたことがぎっしり書いてある万尋のノート。
そこに、
”「遊ぶこと」を大事にする”
と書き加えながら、万尋が話しかけてきた。
「でも、何をするにしても根本は人だよな。Hikarun2025さんの記事を読ませてもらうと本当にそう思うよ」
旦那さんのいる場所が居場所なんて。
最高だよぉ!
旦那さんはどんなに眠くても一緒に考えてくれる所ホントに感謝しています。決してこうだろう!と言う決めつけもしてこないで、常に私が答えを見つける様にしてくれます。
包容力のある旦那さん。いいなぁ。
でもこれって、旦那さんじゃなくても大切なことだ。
黙って聞いて、肯定して、ちょっとだけ後押し。
紫陽花さんがおっしゃっていたのと同じだ!
お気に入りの風景。
一緒にいると心が落ち着く人。
「やっぱり居場所には『心が落ち着く人』が欲しいんだよ!まひろさん!」
からかうように万尋の肩をポンポン叩く。
「それなら俺は適任だな」
よくもいけしゃあしゃあと!
「はぁ?」
私たちの笑い声がハウス内に響く。
万尋の笑顔。
将来の私の居場所。
Hikarun2025さんと同じに……なるの……かな?
「やっぱり自分が自分らしくいれる場所を作りたいね」
「そうだな」
”自分らしくいれる場所”
ノートに書き込む万尋。
万尋とこうやっている自分が好き。
自分が自分でいれる瞬間な気がする。
何となく虎吉さんのエッセイを思い出してスマホを操作する。
虎吉さん中学生でこの文章って……。
控えめに言ってうますぎ!!
……っと、話を元に戻そう。
自分にしか書けない文章……確かにそうだ。
十人いれば十人違う感性を持っている。
それは全部大切でかけがえのないもの。
みんな大切。
みんな誰かの大切な人……。
いい意味で今身を置く場所にいる自分を認め、自分らしさに愛おしさを感じ、周囲へ感謝すること。
そしてそこからほんの少し背伸びをして自分自身を少しずつ少しずつ育てていく。
自分を認めること。
自分らしさに愛おしさを感じること。
自分のやり方で自分のペースで。
そして現状維持プラス@を目指す。
今の私には全部うなずける。
これが万尋の言っていた『自己肯定感』なのかな?
『自分らしさ』は自分を受け入れることで認識できるものかもしれない。
自己受容。それが大事。
そうだ!それならやっぱり……
「どんな人でも受け入れる場所がいいな」
私の発言に万尋もうなずく。
”どんな人でもオッケー”
私も首を縦に何度も振る。
そうだ、極夜さんも自分らしさに触れられていたっけ。
付き合いを強制されない所。
リーダーを名乗るジャイアンがいない所。
ひとりひとりが、自分らしくいられる所。
「極夜さんの記事?」
万尋が私のスマホ画面を見る。
「そう。自分らしくいれる所って、こういうことが大切だなぁって」
「うん。確かに。あと極夜さんはこうもおっしゃっている」
万尋がスマホの画面下の方を指す。
そういう関係性って、たぶん年齢も性別も出身地も社会的立場すらバラバラなのが、きっとうまくいく。
年齢も性別も出身地も社会的地位もバラバラな方が適度な間で交流できる。
確かにそうかもしれない。
ある青年のお話も興味深い。
何かの役割があって存在意義が確認できる場所。
そういえば、役割のことはreinaさんも言及されていたなぁ。
「何かの役割があること。これも大切だよね」
万尋もうなずく。
”何かの役割がある”
「でも、年齢や性別がバラバラもいいんだけど、そうすると一緒に活動できるかなぁ?」
うなずく万尋。
「みんなで何かしようとする時はそうだね。でもみんなが一緒に活動するときもあり、それぞれの年齢層で活動するときもあり、一人でいるときもありでいいんじゃない?」
あ……なるほど。
それに喫茶店の場合はそういう活動とかする感じじゃないしね。
「乃亜が考えていたのは春野ましゃこさんの記事だろ?」
「う……うん」
図星だ。
ましゃこさんは『幼児からお年寄りまでが集うとなるとみんなが興味のあることに限られてくるかな』と懸念されていた。
「でもさ、ましゃこさんが薦められているのはこっちじゃない?」
私が心の居場所として推したいのはこのゆるゆるとしたデイケアのような形。そこに健康な人も老若男女参加できるように。
「あとこれ」
私が考えたのは、どこか設備を確保して昼間は食堂、夜は居酒屋のような場所を作ってみたらどうか。
「俺が前に自分の案として『子供からご高齢の方まで、みんなが立ち寄れる居場所』って書いたから、ましゃこさんはそれを考えてくださったんだよ」
「あ、そういうことなんだ」
ましゃこさんの優しさがじんわりと心に沁みる。
極夜さんもそれを肯定されていたんだ。
喫茶店を開こうとしている私たち。
食べ物、飲み物。
ホッと一息つける空間。
食堂ではないにしても、ましゃこさんのお考えと方向性は同じだ。
「そして、ましゃこさんからは『売り上げを活動に還元』という案を頂いている。このシステム、絶対使わせてもらおうと思ってるんだ」
なるほど!
ナイスアイディアだ!
”売上還元システム”
「こうやって見ると、一口に居場所って言ってもたくさん考えることあるよねぇ」
私がしみじみ言うと、
「まぁな、多様化ってやつなのかな」と万尋。
万尋の一言で、Ganmoの記事を思い出した。
言葉の端々に優しさが溢れるGanmoさんの文章。
世の中をしっかり分析されている。
「自分には心の居場所がない」と感じている人にとってその居場所の要求値を適切に調整してやることが一番大切なことである。
……中略……
こうしてみると「家族」というのはその役割の延長線上にある存在なのだろう。
……中略……
真っ当な居場所があるというのは所属先以外へなにがしか貢献を果たしている証なのだ。
るるまさんがおっしゃられていた心の居場所における三つの層。すべてに言及されている。
本来当たり前のはずの、あるがままの自分を受け入れてくれる場所。
家族や親戚、友達などと居て、心地よいはずの空間。
会社や学校などで見つけた居場所。
それを見失いやすくなっているのは、今の世の中が複雑化し過ぎているからかもしれない。
自分以外の何者かが、自分に対してその「あるがまま」を受け入れてくれているという「知覚の関係性」が必要なのではないか。
そうだ。
Ganmoさんもおっしゃっている。
『「あるがまま」を受け入れてくれている』そういう場所。
それを私たちが中心になって作るんだ。
トラブルや失敗ありきで、かつ断続的でもいいから、アイデアを実行することである。
まずは小さな規模でも実行する!
あとはトライ&エラーの繰り返し!
成功、失敗を分析しながら前に進めていく!
「万尋、私、フリースクールやってみる!」
「お、そうこなきゃ!」
私は万尋のノートに、こう書き加えた。
”トライ&エラー”
紹介小説最終話へ↓
あとがき
ここまでお読み頂きありがとうございます。
また字数オーバーしちゃいました💦
でも、これでお寄せ頂いた記事のご紹介が一通り終わりました。
ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございます!
次が最終話になる予定で、『185ハウス』の全容をご紹介することになります。
でも実際、まだ構想が完全に固まっていないんです💦
もし良かったら、最終話もお付き合い頂ければ嬉しいです!
『0対1』の謎も含めて進めたいと思いますが、少しお時間を頂くことになると思います。
今回のトップ画像は、【心の居場所まとめ①】noteという居場所でご紹介させて頂いた灯火 @ココロ・カタチ・ヅクル「リ・キュレーター」さんの画像を使わせて頂きました。
白紙の185ハウスに色を塗っていくというイメージです。
素敵な画像ありがとうございます!
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