『Hello, How are you?』から逃げ続けた結果、2週間に1度ジャスコでジャケットを買う男になった話
以前、誰もが知る大手英会話スクールに通っていた頃のことです。
そこは先生1名に対し、生徒3~5名程度のグループレッスンでした。どの先生も必ず、授業の最初にこう聞いてきます。
Hello, How are you?
アメリカでは挨拶代わりらしいのですが、これがどうにも返答に困るのです。
"Fine, thank you." が一番ポピュラー?な回答だと思うのですが、私はいつも "Fine." と一言だけ返していました。
一度、本当に体調があまり良くないと感じたときに "Not good." と答えたことがあります。
すると先生から「どうしたんだい?」と英語で食い気味に心配され、しどろもどろになって顔から火が出るほど恥ずかしい思いをしました。
それ以来、どんなに体調が悪かろうが、夜中まで仕事をして疲弊していようが、私は常に "Fine."(元気だよ)と即答するマシーンになりました。
下手なことを言って深掘りされるくらいなら、無難に終わらせたい。もはや何のために英会話教室へ通っているのか、自分でもわからない状態になっていました。
メインの授業は、先生と代表の生徒が教室の前に出て会話のデモンストレーションを行い、それを見本に指名された生徒数名が教室の前に出て会話の練習をするという形式でした。
その教室に若い女性も多く通っていました。
20代前半のOLさんや女子大生。そんな、普段の生活ではまともに話す機会すらない若い女性に向かって、シャイな30代(当時)のオッサンが「一緒にパーティーに行きませんか?」と英語で誘わなければならないのです。
・初対面の人と話す恥ずかしさ
・若い女性と話す恥ずかしさ
・英語で話す恥ずかしさ
普段出会うことのない「3大恥ずかしさ」夢の共演です。
中には、学校の授業の補習として通っている女子高生もいました。そんな子に向かって「今晩、ドライブでも行きませんか?」と誘うわけです。実生活でやったら何かの条例にひっかかります。
ある時、私と女子高生が指名されて2人で教室の前に出て夜のパーティに誘うロールプレイをやりました。
私が緊張しながら一生懸命覚えた英語で誘うと、彼女はいたずら気味の笑顔で "No!" と即答してきました。
周りの生徒はワハハと笑い、教室は和やかな空気に包まれましたが、私はただ教室の前で顔を真っ赤にして立ち尽くしていました。
そんな状態でも予習だけは真面目にやっていたため、教科書通りの質問の受け答えは比較的できておりました。
しかし、私は不意打ちのアドリブ質問にはめっぽう弱かったのです。
急に先生に「昨日どこ行ってた?」「先週末、何してた?」と英語でプライベートについて尋ねられるのです。
あまり悩むのも恥ずかしいので「私はジャスコでジャケットを買いました」…と、当時地元では有名で話が通じやすい大型スーパーのジャスコを使って、いつも同じような答え方をしていました。
気が付くと私は、2週間に1度のペースでジャスコへジャケットを買いに行く男になっていました。
8ヶ月間ほど教室に通っていましたが10着以上のジャケットをジャスコで買ったことになっていたはずです。
ちなみに、ジャスコでジャケットを買ったことはありません。
初級コースのうちはそれなりに楽しかったのですが、一つ上のコースに上がった途端、何を言っているのか聞き取れなくなり、静かにフェードアウトしました。
ちなみに、英会話教室での私の好物は「マクドナルドのハンバーガー」ということになっています。
語学力を磨く前に、私にはもっと大切なものが欠落していることに気が付きました。
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