不完全情報ゲームって何?MMA(総合格闘技)を例に考えてみた
―格闘技とゲーム理論から考える“戦い”の本質―
「完全情報ゲーム」と「不完全情報ゲーム」
これはゲーム理論における基本的な分類のひとつです。
将棋やオセロ、チェスといったボードゲームでは、盤面の状態やこれまでの手の流れがすべて見えており、プレイヤー同士に情報の差はありません。このようなゲームを「完全情報ゲーム」と呼びます。

一方で、ポーカーのように、相手の手札や戦略の一部が見えないゲームもあります。これは「不完全情報ゲーム」に分類され、駆け引きや心理戦が大きな役割を果たします。

これだけ見ると、ゲームの種類によって情報の完全性が決まっているように思えるかもしれません。しかし、実際にはもう少し複雑です。
同じゲームであっても、プレイヤーの知識や経験、準備の差によって“見えている情報”は変わります。つまり、ある人にとっては完全情報ゲームに近く、別の人にとってはまったくの不完全情報ゲームになることがあるのです。
この構造は、ゲーム理論で「非対称情報ゲーム(asymmetric information game)」と呼ばれる状況です。

この話を、総合格闘技(MMA)の黎明期に当てはめてみましょう。

1993年に始まったUFCの初期は、いわば“格闘技の無法地帯”でした。
ルールは最小限、グローブもほとんどなし。階級もなければ、スタイルの制限もない。
選手たちはそれぞれの格闘技の流派を背負って戦い、「自分の流派が最強だ」と信じて試合に出場しました。
そんな中で、グレイシー柔術は他のスタイルとはまったく異なる寝技中心の戦法で、次々と勝利を収めます。
それはまさに、“相手が知らない技術”で勝つ、情報戦だったのです。

その結果、彼らは何が起きているのか分からないまま極められ、試合が終わってしまうというケースが多発しました。
しかし一方で、グレイシー側は違いました。自分たちの技術を熟知し、相手が何を知らないかも分かっている。試合展開もある程度予測できていたはずです。これは、彼らにとっては“完全情報ゲーム”に近い構造だったと言えます。
つまり、同じルールのもとに行われる格闘技の試合であっても、片方は十分な情報を持ち、もう片方は何も知らないという、非対称な状況が成立していたのです。
情報の格差がそのまま勝敗に直結していた時代です。
そして、これは格闘技に限らず、私たちの現実にも通じる話です。
ビジネスや交渉、人間関係、防犯や護身術といったシーンでも、「どれだけ相手を知っているか」「どれだけ自分が状況に対する情報を持っているか」が、結果に大きな影響を与えます。

たとえば、ある人が何の準備もないまま予期せぬトラブルに巻き込まれたとき、それは完全に不完全情報ゲームです。しかし、事前に知識やシナリオを学んでいれば、冷静に対処することができ、より“完全情報ゲーム”に近づけることができます。
「情報は力である」とよく言われますが、それは単に知識量の話ではありません。情報を持つことで、世界の“見え方”が変わるのです。

戦いにおいても、交渉においても、そして日常の安全の中でも、自分が立つ“ゲームのルール”を可能な限り理解し、見通せるようにしておくこと。
それは、自分を守るための、もっとも基本的で現実的な“戦略”だと言えるでしょう。
最後に、具体的に何を学べばいいのか。
防犯や護身術、危機回避に関する知識や技術を、どこから始めればよいのか。
株式会社MI8では、防犯や護身術、安全教育に関する講演・セミナー・ワークショップなどのご依頼も受け付けています。
学校や地域団体、企業・自治体での安全対策に関心がある方は、お気軽にご相談ください。
槌 大介(つち だいすけ)
株式会社MI8 代表取締役
名古屋市出身。
元逮捕術準指導員
元警察格闘技クラブチーム(格闘部)副代表
現在は「武道・格闘技を社会に役立てる」ことをテーマに活動中。
• パラエストラ東京/誰ツヨDOJOy 所属
• こどもヒーロー空手教室 指導員
• 赤坂中ノ町・新四町会・広報部・副部長
主な武道歴・段位
• 伝統派空手(三段・黒帯)
• 柔道(三段・講道館)
• 柔術茶帯(IBJJF)
• 杖道(二段・全日本剣道連盟)
• 武神館(黒帯初段)
戦績
• JBJJF 全日本マスター柔術選手権 2022
紫帯 無差別級 優勝
他MMA等
今後の予定
• 2025年7月 敬天愛人練部大会 出場予定

株式会社MI8
https://mi8.tokyo
赤坂中ノ町・新四町会
https://www.akasaka-naka4.com
©️株式会社MI8
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