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儀式的闘争の中にある本当の戦い

スポーツ、格闘技、そしてプロレスに見る“戦い”の構造

――「儀式的闘争」としての戦いを現代社会から読み解く

僕たちは「戦い」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。
殴り合い、競技、勝敗、暴力、あるいは戦争。けれど、その本質を突き詰めていくと、実はもっと広く、もっと人間的な営みであることに気づかされます。

スポーツというもの自体が、もともと「儀式的闘争」のかたちをしています。
ルールがあり、安全性が確保されている中で、力や技術を競い合う。
暴力を形式の中に閉じ込め、社会に受け入れられる“戦い”へと昇華しているのです。

たとえば水鉄砲の撃ち合いは、安全で楽しい遊びですが、観ていて心が揺さぶられることはあまりありません。

一方で、ボクシングや総合格闘技(MMA)には、人の感情を大きく揺さぶる力があります。
そこに、身体と精神を賭けた「本当の戦い」の気配があるからです。

プロレスもまた、勝敗よりも演出に重きが置かれた世界ですが、だからこそ成立する“見せる戦い”があります。
観る人はその中に、リアルな痛みや人間ドラマ、選手の覚悟を感じ取っているのです。

こうした格闘技やプロレスを見ていると、「最も戦いの純度が高いスポーツは何か?」という問いが自然と浮かんできます。
僕は、総合格闘技(MMA)がその答えのひとつだと思っています。

打撃も組み技も投げもある。戦術も心理戦もある。
その自由度とリアリティの高さゆえに、MMAは“キング・オブ・スポーツ”と呼ばれることがあります。

しかし、戦いの純度をさらに高めていくと、それはもはや「スポーツ」とは呼べない領域に入っていきます。

たとえば、軍の近接戦闘訓練や特殊部隊の実戦シナリオ、あるいは戦争や犯罪の現場――
そこでは、本当に命が懸かっていて、安全のためのルールや演出といった“形式”はほとんど意味を持ちません。

こうした「本物の戦い」の世界と、「儀式的闘争」としてのスポーツや格闘技の違いを理解することは、現代社会を生きるうえでとても大切な視点だと僕は思います。

ところで、「儀式的闘争」という概念は、格闘技やスポーツの枠を超えて、文化人類学や進化生物学、社会学などさまざまな分野で論じられています。
簡単に言えば、命のやりとりに発展しかねない争いを、ルールや演出の中に封じ込めて、社会に適応させた“象徴的な戦い”のことです。

実は動物の世界にも、こうした行動は多く見られます。
鹿の角突き、猫同士のにらみ合い、あるいはクジャクの羽の誇示。
それは「本気の戦い」を避けるための見せ合いであり、生き残るために進化の中で獲得された知恵です。

人間もまた同じように、暴力をそのまま使うのではなく、一定の形式に閉じ込めることで“戦い”を文化化してきました。
スポーツ、武道、プロレス、ビジネス交渉、SNSでの発信……これらはすべて、現代社会における「戦いの形式化」、すなわち儀式的闘争の一部なのです。

現代の戦いは、拳や武器ではなく、言葉、態度、実績、印象、美貌、肩書などによって行われています。
直接的な暴力ではなく、優位性や影響力をめぐる象徴的な競争――。
この構造は、現代社会のあらゆる場面に深く根を下ろしています。

そして、戦いの構造を考えるうえで、僕たちは“極限の抑制”という視点から、もう一つ重要なテーマに触れる必要があります。

それが、核兵器を持つ人類がなぜ核を使わないかという問いです。

人類はすでに、地球を何度も滅ぼせるほどの力を手に入れました。
にもかかわらず、核保有国同士が実際に核を使うことはありません。
その背景には、外交や経済的な相互依存に加えて、「相互確証破壊」というゲーム理論的な均衡があります。

この状態は、まさに人類規模の儀式的闘争です。
お互いに「力を持っていること」を見せ合いながら、実際にはその力を使わないという選択によって、均衡が保たれている。
これは、最も危険でありながら、最も合理的な「戦いの抑制」のかたちです。

こうして振り返ると、戦いとは単なる暴力の発露ではなく、
「どう戦うか」「どこまで抑えるか」という戦略と構造の問題でもあると分かります。

僕たちが格闘技やスポーツに取り組むとき、そこには単なる技術の習得を超えた意味があります。
それは、防犯や安全保障の感覚を育み、社会の中での争いを見抜く目を養い、そして何より「戦わずに済ませる力」を磨くことでもあるのです。

戦いの構造を知ることは、世界を知ることでもあります。
この記事が、その入口のひとつとなれば幸いです。

株式会社MI8では、防犯や護身術、安全教育に関する講演・セミナー・ワークショップなどのご依頼も受け付けています。
学校や地域団体、企業・自治体での安全対策に関心がある方は、お気軽にご相談ください。

槌 大介(つち だいすけ)

株式会社MI8 代表取締役
名古屋市出身。
元逮捕術準指導員
元警察格闘技クラブチーム(格闘部)副代表
現在は「武道・格闘技を社会に役立てる」ことをテーマに活動中。
• パラエストラ東京/誰ツヨDOJOy 所属
• こどもヒーロー空手教室 指導員
• 赤坂中ノ町・新四町会・広報部・副部長

主な武道歴・段位
• 伝統派空手(三段・黒帯)
• 柔道(三段・講道館)
• 柔術茶帯(IBJJF)
• 杖道(二段・全日本剣道連盟)
• 武神館(黒帯初段)

戦績
• JBJJF 全日本マスター柔術選手権 2022
 紫帯 無差別級 優勝
他MMA等

今後の予定
• 2025年7月 敬天愛人練部大会 出場予定

https://ktaj.net

株式会社MI8
https://mi8.tokyo

赤坂中ノ町・新四町会
https://www.akasaka-naka4.com

©️株式会社MI8
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