見出し画像

接客現場が抱えるジレンマ|禁煙ルール違反に毅然と対応した老舗宿に学ぶ

接客応援団アールです。
先日、あるニュースが目に留まりました。
老舗宿の禁煙室でタバコを吸った“客”に対し、女将が「弁償金を請求する」と毅然とした対応したという内容です。

「毅然とした対応」は文字で書くよりも難しいことだと思います。
女将はどうすることが一番正しく、社会的に受け入れられるのかを手探りで考えたのではないでしょうか。
今回はこのニュース記事で私がショックを受けたことを書きたいと思います。

衝撃だった「いくらですか」のあっさり反応

このニュースで私が一番衝撃をうけたのは“客”の反応です。

電話を受けた客は、「しまった…バレた…」というリアクションを取りつつも、「(弁償は)いくらですか?」。あっさりと事実を認め、追加料を支払うことで話は決着しました。

まいどなニュース(Yahoo!ニュース掲載)

ごねるわけでも、とぼけるわけでも、逆ギレするわけでもない、なんか気軽に迷惑行為をして、見つかればあっさり追加料払う…
この“客”の反応がショックでした。
この人にとって、禁煙というルールを破ることは「やってはいけないこと」ではなく、
単に「見つかったら追加料金が発生するオプション」のような感覚だったのかなと思いました。


「満足」と「環境づくり」の間にあるジレンマ

サービス側は、こうしたトラブルの際にも、
「お客様に主張すべきか」
「主張して不快に思ったら…」
「受け入れないと逆ギレされたら…」
と様々なことを心配しながら、対応することも多いです。

このケースの人のように、気軽な気持ちでルール違反されてしまうのは、サービス側との温度差があまりにも違うと感じました。

現場において、
「目の前のお客様に満足してほしい」と
「多くのお客様のために快適な環境づくりを努める」は、
時に相反する対応になることがあります。
今回のように一度でも喫煙をしたお部屋は、禁煙ご希望のお客様にすぐに提供することができない状態になります。
このように現場はジレンマを抱えることが多いです。


働く人のストレスとサービス品質への影響

このジレンマは、働く人へのストレスだけではなく、サービスの品質にも影響があると考えています。
一つは、「一歩踏み込んだおもてなしをしても、裏切られるかもしれない」という心理的負担から、「余計なことはしない」「お客様と距離を置く」といった、防衛的なサービスへとシフトしてしまうのです。
それが常態化すると、おもてなしではなく単なる作業になってしまうのです。


「予防線」を張ることで失われる体験価値

さらに深刻なのは、一部の無自覚ルール違反な“客”への対策が、結果として「良いお客様」の体験まで損なってしまうことです。
「ルールを破られるかもしれない」という防御が先に働くと、宿の入り口や館内に「罰金」「厳守」といった強い言葉が並ぶようになります。
マナーを守っている善意のお客様に対しても、
「必ず守ってください」「罰金になりますので」
といった威圧的なメッセージで予防線を張らざるを得なくなります。

本来ならもっと柔軟で温かいコミュニケーションが取れるはずなのに、不本意な「厳格化」によって、お客様の楽しい体験価値が削られていく。
これはサービス業における大きな損失だと思います。


我慢を爆発させないための「正当な主張」

だからこそ、現代のサービス現場では、接客のプロとしてのお客様への正当な主張の仕方を身に着けることが大切です。
主張をせずに、「お客様だから」と我慢を重ねると、つい感情的に爆発してしまい、周囲に対して強いコミュニケーションになりがちです。
私たちに期待を寄せてくださるお客様とは、対等な良い関係を作る
そのためのコミュニケーションスキルは、お客様と私たちサービス側、双方にとって良い状態を作ることができると思います。


おわりに~女将さんの対応は「誠実」の証

私は、今回の女将の決断を支持します。
今回のこの対応は、この宿を信頼して、ルールをしっかり守る他の大切なお客様への誠実さにつながるとも思っています。
ですが、一件落着かと言われると、事柄は収まってもサービス側のマインドはすぐに納得できるものではないと思います。
ただお部屋のクリーニング代の賠償支払いということでスッキリ完了ではなく、自分たちの誠実さを受け取ってもらえなかった悲しい気持ちは残るのではないかなと感じます。
現場の皆さんの心を守って、新たな気持ちで頑張ってほしいです。


最後まで読んでくださってありがとうございます。
よろしければ「スキ♡」やフォローしていただけると嬉しいです!

👉接客応援団のほかの記事はこちら

#接客 #サービス業 #接遇 #ホテル #人材育成 #カスタマーハラスメント #カスハラ #顧客満足 #クレーム対応 #コミュニケーション

いいなと思ったら応援しよう!