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「歩くの良さそう」と思い始めた私が選ぶ、もっと歩きたくなる本7選

先日、30年前の手紙を読み返す機会がありました。
中学生だった当時の自分を思い出し、少し照れくさい気持ちになったのですが、それと同時に、ひとつの事実に気づきました。

──もしかして私、30年前の体重に戻って、そのままキープしている?

30年前といえば、軟式テニス部に所属し、人生でいちばん運動していた時期です。一方、今の私は特別な運動をしていません。筋トレもランニングもなし。やっていることといえば、ただ「歩く」ことだけ

それでも、身長163cm・体重52〜53kg、BMIは20前後。この状態を、ここ4年ほど維持しています。フィットネスゲームなどを取り入れていた時期もありましたが、ここ2年ほどは、「歩く」ことだけで保てています。

10kg前後の体重の増減を繰り返してきた、もうすぐ50代になる自分が、人生で最も運動していた頃と同じ体重を保てている。それは嬉しい一方で、正直なところ、少し不思議でもありました。

Apple Watchのデータを見ると、歩く習慣が身についてから、体力レベルを示す指標(最高酸素摂取量)は高い水準を保っていました。年齢換算すると20代相当で、歩くことによる有酸素運動の効果が、はっきりと表れていました。

2021年と2025年の体力レベルを示す指標(最高酸素摂取量)のデータ

数値だけでなく、その変化は日々の暮らしの中にも表れています。

駅の長い階段を上っても息切れしない。スーパーでたくさんの食材を買い、両手にぶら下げて帰っても大丈夫。以前は休みながらでないとできなかったシーツの取り替えも、疲れることなく何枚もこなせるようになりました。

体力がつき、生活がずいぶん楽になった。それは確かでした。だからこそ、なぜ、歩くだけでここまで体力がついたのかを、感覚ではなく科学的な根拠をもとに知りたくなりました。そこには、きっと再現性のある理由があるはずです。

そうして手に取ったのが、「歩く」ことをテーマにした本でした。

* * *

この記事では、「歩くの良さそう」と思い始めた私が、歩くことの効果を理解し、これからの歩き方のヒントになると感じた7冊を紹介します。

歩くことが大切だとわかっていながら、どこか他人事のままになっていた──そんな、かつての私のような方に向けて書きました。

「歩く」という素朴な動きが、体だけでなく、考え方や日々の過ごし方まで少しずつ変えていく。この記事が、歩くことに目を向け、最初の一歩を踏み出すきっかけになればうれしいです。


歩く効果を科学的に理解できる本

まずは、「歩くと体にいいらしい」という感覚を、科学的に納得させてくれる本から紹介します。

体の変化は実感できていても、「なぜそうなるのか」がわからないままだと、手応えがありません。この章では、国のガイドラインや研究結果をもとに、歩くことが体や心にどう作用するのかを、わかりやすく整理してくれる本を取り上げます。

「とりあえず歩いてみよう」から、「だから歩き続けたい」へ。そんな納得感を与えてくれる本として、まずはこちらを紹介します。

Tarzan特別編集 歩く&筋トレこそ、最強の健康メソッド!

表紙にある「ウォーキング1日8,000歩」「筋トレ週2回」という文字の通り、約10年ぶりに改訂された厚生労働省の健康・体力づくりの指針をベースに、何を・どれくらい・どうやればいいのかが具体的に示されている一冊です。

2025年12月現在、Prime Readingで読むことができます。

前半では、歩くことの効能が科学的な視点から整理されています。たとえば、ポジティブになりストレスに強くなること、創造性が高まり認知症予防につながること、腸内環境や血流の改善骨から若返りに関わるホルモンが分泌されること、さらには肩こりや腰痛の軽減まで。

一石二鳥ということわざがありますが、歩くことに関しては一石百鳥と言ってもいいほど。歩くことは単なる移動のための動きではなく、身体を保つ前提として、もともと組み込まれている基本的な動きなのだという考えが、改めて強まりました。

後半では、筋トレについても丁寧に解説されています。実は、今の私はこの部分をあまり実践できていません。

というのも、歩き方を工夫したり、重さのある食材を買って歩いたりすることで、日常の動きの延長でも、脚や腕には筋トレに近い刺激が入っているのではないか──そんな感覚があるからです。

本当にそれで足りているのか。筋トレと同じような効果が得られる「歩き方」はあるのか。そんな疑問に、真正面から答えてくれそうだと感じたのが、次に紹介する一冊です。

ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方

著者は、「インターバル速歩」の第一人者の能勢博さん。「ややきついと感じる速歩」と「ゆっくり歩き」を3分ずつ交互に繰り返すこの歩き方は、筋力や持久力を効率よく高められる方法として、以前から耳にしていました。

効果があることは理解していたものの、時間を計って歩き方を切り替えるのは少し面倒そうで、これまで本格的に取り入れたことはありませんでした。

ところが振り返ってみると、人や車の多い場所を歩く日常の中で、知らず知らずのうちに「速く歩く」と「ゆっくり歩く」を繰り返しており、結果的に「インターバル速歩」に近い歩き方になっていたようでした。

実際に自分の歩く速度を確認してみると、以前は一般的な歩行ペースとされる時速約4.8km/hを下回っていましたが、今年の平均歩行速度は5.5km/h。平均値でこれだけ出ているということは、場面によっては、さらに速いスピードで歩いていたことも考えられます。

ただ歩いていただけのつもりでしたが、ぐんぐん歩ける場面と、人や車を待たなければならない場面が入り混じる中で、自然と筋トレ効果に近い負荷のかかる歩き方になっていたのでした。その積み重ねが、体力レベルを示す指標(最高酸素摂取量)の向上につながっていたのだと、ようやく腑に落ちました。

この本から得た気づきや実践の変化については、別の記事で改めてまとめていきたいなと思っています。

歩く マジで人生が変わる習慣

タイトルを見た瞬間、「わかる!!!」と思いました。

著者は、経済ジャーナリスト・NewsPicks CMOの池田光史さん。「文明やテクノロジーの進化は、果たして僕たちを幸せにしたのだろうか──?」という問いを投げかけつつ、その問いが、私たち一人ひとりの中にも、潜在的な疑問として芽生え始めているのではないか、と指摘しています。

人間の幸せは、 動物として快調かどうかにかかっている。その生きた心地というものは本来、身体感覚と密接に関わっている。それをあまりにも置き去りにした、身体性を奪ってゆくばかりの社会システムは長くは続かず、やがて 綻びが生まれ、辻褄が合わなくなる──

この考え方は、サイエンスライター鈴木祐さんの『最高の体調』で語られていた、「人間の身体は狩猟採集時代からほとんど変わっていない」「現代人の不調は、身体の設計と生活環境とのズレから生まれている」という指摘とも、強く響き合います。

私自身、サバンナを歩き回っていた時代を思い出すところまではいきませんが、人間が本来、生きるために行ってきた「歩く」という行為そのものに、自然と関心が向きつつあります。

本書の冒頭で紹介されていた、「靴」をきっかけに身体感覚を取り戻していったエピソードにも興味を持ちました。足の指が自由に動く靴を履き続けることで、「歩くのってこんなに楽しかったっけ?」という感覚が戻っていった、という話です。

現在の私は、「歩ければ十分」くらいの感覚で、近所の靴屋さんで買った紐のないスリッポン風のスニーカーを履いています。中敷きがダメになったため、違うブランドの中敷きを入れ替えたいわばキメラ仕様。機能的には不満がない一方で、靴を変えることで、身体感覚がどれほど変わるのか──その体験を、少し試してみたいとも感じました。

この本につきましても、別の機会にまとめていきたいと思っています。

歩く習慣を無理なく続けるための本

歩くことの効果を頭では理解できても、それを日々の生活の中で続けられるかどうかは、また別の話です。

忙しい日常の中で、どう歩く時間をつくるのか。特別な準備や強い意志がなくても、自然に歩く量を増やすにはどうすればいいのか。この章では、歩くことを無理なく生活に組み込むための考え方や工夫を教えてくれる本を紹介します。

「歩いたほうがいい」から、「気づけば歩いている」へ。そんな変化のヒントを与えてくれる一冊として、まずはこちらを取り上げます。

「歩く習慣」が後半の人生を決める!

タイトルを見た瞬間、「やっぱり!!!」と思いました。

人生100年時代。ちょうど後半に差しかかりつつある自分にとって、「歩く習慣」が後半の人生を決めるという言葉は、かなりストレートに刺さりました

著者は、約30年間マガジンハウスで編集者を務め、現在はフリーランス編集者の能勢邦子さん。本書は、スコッチ・ウイスキー「ジョニー・ウォーカー」のブランドロゴと、「Keep Walking(歩き続けよう)」という哲学を起点に、歩くことを生活に取り入れている10人のライフスタイルを紹介する一冊です。力強く、前向きに歩き続ける人たちの姿が、写真とともに描かれています。

俳優の市毛良枝さん、作家の林望さん、ファッションデザイナーの稲葉賀惠さん、エッセイストの坂崎重盛さん──。ページをめくっていく中で、思わず二度見してしまったのが、落語家・三遊亭好楽さんでした。

「あの好楽さん?!」毎週の日曜夕方『笑点』で、カラフルな着物姿のおじさんたちがキャッキャと大喜利をしている姿を見慣れている私としては、ピンクの着物ではない好楽さんだと気づくまで、少し時間がかかってしまいました。

そのページに添えられていた、「目的のない歩き これ最高!!」という手書きの言葉も、なんとも好楽さんらしくて最高でした。

もう一人、目が止まったのが、文筆家、情報キュレーターの佐々木俊尚さんです。SNSでは黄色いアイコンが目印で、登山を再定義した『フラット登山』の著者の方です。

歩くを楽しむ、自然を味わう フラット登山

タイトルを見た瞬間、「めっちゃいい!!!」と思いました。

「とにかく気軽に、気持ち良く、楽しく歩きたい。登山なんてそれでも十分じゃないか」

本書では、そんな発想から生まれた新しい登山のかたちを「フラット登山」と名づけ、次の三つの考え方で定義しています。

ひとつ目は、フラット(平坦)な道も含めて歩くことそのものを楽しむこと。ふたつ目は、ヒエラルキーを持ち込まず、みんながフラット(平等)に登山を楽しめること。そしてみっつ目は、ふらっと気軽に、週末の日帰りで登山を楽しむことです。

現在、私は在宅勤務を中心とした生活を送っています。一時一日の歩数が2,000歩まで落ち込みましたが、意識的に歩くことを続けた結果、今年は12,000歩まで回復しました。

歩いている範囲は主に家の周辺です。それでも歩き続けていると、季節ごとに風景が変わり、新しい建物が建ち、店が生まれ、町の表情が少しずつ更新されていくのがわかります。歩かなければ気づかなかった小さな変化が自然と積み重なっていく感覚は、それだけで十分に楽しいものでした。

そんな日常の延長に、「たまには別の場所を歩いてみるのもいいかもしれない」と思わせてくれたのが、このフラット登山という考え方でした。本書の最後には「フラット登山コースガイド30」として、日帰りで行ける、歩行時間3時間前後の実際のコースが紹介されているのも嬉しいポイントです。

もし実際にフラット登山を実践することができたら、そのときは改めて、体験記として別の記事にまとめてみたいと思っています。

歩くことが人生を動かすと気づける本

歩くことの効果を知り、習慣として続けられるようになると、次に浮かんでくるのは「そもそも、なぜ人は歩くのか」という問いかもしれません。

この章では、歩くことを単なる運動や健康習慣としてではなく、思考や人生のあり方と結びつけて捉え直してくれる本を紹介します。歩くことで何が変わるのかではなく、歩くという行為そのものが、私たちの考え方や世界の見え方にどのように作用するのか。そんな視点を与えてくれる書籍を取り上げます。

今回紹介するのはいずれも、他の方のおすすめや印象的なコメントをきっかけに、来年ぜひ読んでみたいと思っている本です。まずはこちらの一冊。

歩くという哲学

『「歩く習慣」が後半の人生を決める!』の著者・能勢邦子さんが、「私がやりたかったのはこれだと思った」と評している一冊です。

能勢さん自身も本書の感想をnoteにまとめており、「歩くことは生きること」「歩くことはクリエイティブ」「フランス語では『歩く』と『山を歩く』が同じ言葉である」など、心に残るキーワードがいくつも挙げられていました。

私自身、歩き続ける中で「歩くことは、生きることなのかもしれない」と感じる場面がありました。その感覚が、この本ではどのように言語化されているのか──ぜひ読んで確かめてみたいと思っている一冊です。

トレイルズ 「道」と歩くことの哲学

夢枕獏さんが帯で、「実に刺激的な本である。道とは何かという旅を通じて、人間とは何か、人類とは何か、そういう場所まで我々を運んでゆく」と評していることから、この本にも強く惹かれました。

「歩く」という行為を入り口に、「道」という存在そのものを問い直し、思考を人間や人類のレベルへと押し広げていく──。歩くことの意味を大きく拡張してくれそうな一冊で、こちらもこれから読むのを楽しみにしています。

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