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2026年6月5日、金曜。半導体株中心に大きく下げた。オルカン−3%

上げ相場で乗り換えた人ほど、この下げで深く傷ついた

6月5日、金曜。株価が大きく下げた。終値ベースの下落率を、リスクの小さい順に並べてみる。

・ダウ平均        −1.35%
・S&P500        −2.64%
・オルカン(全世界株)  −2.98%
・ナスダック総合     −4.18%
・NASDAQ100      −4.77%
・SOX(半導体指数)   −10.26%
・SOXL(SOX3倍ブル)  −30.51%

見事なまでに、リスクを取りに行った順に、きれいに傷が深い。そしてこの日、恐怖指数(VIX)は40%近く跳ね上がった。

私はこの数字の並びを見て、下落そのものより、ここに至るまでの「乗り換え」のことを考えていた。

■ 上げは、半導体が引っぱっていた

ここ最近の上昇は、半導体が中心だった。

AIだ、データセンターだと、半導体に資金が集まり、関連株がぐんぐん上げていく。最初はオルカンやS&P500を持っていた人も、毎日のように流れてくる「半導体が何%上がった」という話を見ているうちに、だんだん物足りなくなってくる。

全世界に薄く分散したオルカンより、米国に絞ったS&P500。S&P500より、ハイテクに寄せたNASDAQ100。NASDAQ100より、半導体に集中したSOX。それでも足りない人は、3倍のレバレッジがかかったSOXLやレバナスへ。

リターンに欲を出すほど、一段、また一段と、乗り換えていく。上げ相場では、リスクを取った人のほうが正しく見える。 だから「分散なんて非効率だ」「集中とレバレッジこそ正解だ」という声が、上げているあいだは大きくなる。

■ 下げは、その順番をそのまま逆再生した

そして6月5日、風向きが変わった。

下落率の並びを、もう一度見てほしい。乗り換えていった順番が、そっくりそのまま、傷の深さの順番になっている。オルカンは−3%のかすり傷。S&P500も−2.6%。けれどNASDAQ100は−4.8%、SOXは−10%、SOXLにいたっては一日で−30%だ。

上げ相場で「物足りない」と感じて一段ずつ乗り換えた人は、下げ相場でその一段ぶんを、まとめて支払うことになった。集中とレバレッジは、上げ相場では輝く。けれど調整局面では、同じだけ牙を剥く。今回の下げは、その非対称性を、数字でそのまま見せてくれた。

私は、これを責めたいわけではない。半導体に乗り換えたくなる気持ちは、痛いほど分かる。隣で誰かが大きく増やしているのを見て、自分の地味なオルカンが急につまらなく見える。その感覚を、私も知っている。

■ 上げでも下げでも、淡々と続けるだけ

だから私は、もう乗り換えないと決めている。

上げているときに「もっと取れたのに」と思わない。下げているときに「逃げておけば」と思わない。オルカンとS&P500を中心にした、低コストで分散の効いたインデックスを、上げでも下げでも、ただ淡々と持ち続ける。それだけだ。

以前、「長期インデックス投資の『何もしない』は、台風の中で踏ん張ることに似ている」という記事を書いた。台風の日に外へ飛び出す人ほど、危ない目に遭う。いちばんいいのは、家の中でじっと過ぎるのを待つことだ。乗り換えというのは、台風の予報を見て、もっと条件のいい場所へ走り出すような動きだと思う。たいてい、走っている途中で風に飛ばされる。

低コストのインデックスは、地味だ。一日で資産が3割増えることはない。でも、一日で3割消えることもない。その「消えない」ほうを、私は選んでいる。

■ いちばん伝えたいのは、淡々と続けてきた人へ

そして、ここがいちばん伝えたいことだ。

オルカンやS&P500を、コツコツ続けてきた人がいる。今回−3%下げて、初めて大きな赤い数字を見て、不安になっているかもしれない。「やっぱり株は怖い」「やっぱり現金が安全だ」と思って、投資をやめよう、NISAを止めよう、と考えている人がいるかもしれない。

その人に、いちばん言いたい。どうか、それだけはやめないでほしい。

あなたが持っているオルカンやS&P500は、今回いちばん傷が浅かった側だ。−30%溶けたSOXLとは違う。−3%は、長期で見れば何度も通り過ぎる、ただの一つの波だ。ここで現金に逃げて積立を止めてしまうと、見える恐怖から逃げて、現金が静かに目減りしていく見えない恐怖のほうへ、走り込むことになりかねない。

現金が安全に見えるのは、数字が動かないからだ。でも、動かない数字の裏で、物価が上がれば買えるものは減っていく。長いあいだ続けてきた積立を、いちばん傷が浅い側にいる人が、いちばん怖がってやめてしまう。それが、私にはいちばんもったいなく見える。

手取り16万円で、節約とこの淡々としたやり方を続けて、資産は3,800万円台まで来た。派手な銘柄に乗り換えていたら、たぶんここまで来られなかった。でも同じくらい、途中の暴落で怖くなってやめていたら、やっぱりここまで来られなかったと思う。

今回のような日は、また必ず来る。攻めすぎた人は深く傷つき、怖くなった人は逃げ出したくなる。その両方の誘惑のあいだで、淡々と持ち続けた人だけが、かすり傷で波をやり過ごす。

派手なリターンの話も、暴落の恐怖も、これからもタイムラインに流れてくる。そのたびに少しだけ心が揺れる。それでも私は、地味なオルカンとS&P500を、上げでも下げでも、淡々と持ち続けるほうを選ぶ。

(指数の下落率は出典・時点により多少前後します。投資は自己責任で)

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