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【短編】再出発 No.06

一つ前の話


智美の友達

「もしもし、裕一さんですか。急に連絡を差し上げてしまい申し訳ありません。私、智美と仲良くしていた美雪です。もう会社には出社されないと聞いてお電話してしまいました。あっ、電話番号は智美が元気な時に教えてもらっていました。緊急連絡が必要な時にはお願いって言われていたんです。ご迷惑でなかったらこれからお伺いしてもいいでしょうか。智美に手も合わせたいので」

「え、今からですか。構いませんが、もうすぐ日が沈んでしまいますよ」

「大丈夫です。私のアパートもそんなに離れていませんから」

 それから三十分ほど過ぎた頃に、美雪が訪ねて来た。ドアを開けて中に招き入れると手に何やら袋を持っている。裕一は、どことなく会社で見ていた時よりも女らしく見えるなと思いながら美雪を見ていた。

「お久しぶりです、美雪さん。どうぞ、お上がりください」

「ありがとうございます。ご無沙汰しています。突然に押しかけてきてしまい、申し訳ありません。まず先に智美にお参りさせていただきます」

 そういうと美雪は智美の遺骨の前に行き、ひとしきり手を合わせ話しかけているような感じだった。そして振り返り様に、裕一に話し始めた。

「実は、智美が入院して間も無い頃に、お見舞いに行った時に智美から手紙をもらっていたんです。もし私に何かあったら読んでと言われて。お葬式が終わった後、私も読んだのですが、とても怖くてこちらに来ることができずにいました。でも裕一さんが退職されることを知り、決心して今日やって来ました。手紙はこれです。目を通していただけますか。その間に夕飯の支度をしますから」

「えっ、夕飯って。いや、そんな迷惑をかけられませんよ」

「大丈夫です。ほとんど作って持ってきてますので、盛り付け程度の作業です。とりあえず手紙に目を通してください。全てはその後で。私はキッチンをお借りしますね」

「あぁ、はい。わかりました。じゃあ、お言葉に甘えることにします。お皿は適当に出してもらって結構です」

 そういうと、美雪は少し顔を赤らめながらキッチンに立ち、エプロンをして持って来たタッパに入っている料理を出し始めた。美雪は自分の家で料理を作って持ってきていたのだ。突然のことで裕一はポカンとするしかなかったが、ひとまず手紙に目を通すことにした。封筒を確認すると、美雪に当てた手紙と封を切っていない裕一に宛てた手紙が入っていた。まず、すでに美雪が読んだ手紙を広げてみた。

 美雪は時折裕一が手紙を読んでいる表情を気にするかのように、料理の盛り付けをしながら、時折チラッチラッと裕一の様子を伺っていた。


つづく



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