仕事だと思うと書けなかった私が、noteで「書く手触り」を取り戻すまで|おーつーnote部修了生・にふみんさんインタビュー
「仕事として、ちゃんと有益な情報を発信しなくちゃ」
そう話してくれたのは、イラストレーターとして活躍するにふみんさん。フリーランスになった途端、かつて楽しかったはずのnoteが、負担感の強い「仕事」へと変わってしまったそうです。
note部(※)に参加する前の彼女は、公開できない下書きばかりが溜まっていく日々を過ごしていました。しかし「おーつーnote部」への参加を機に、にふみんさんは発信の「手触り」を取り戻していきます。
有益さよりも大切な、心が触れ合う瞬間。ライフワークとライスワークの再定義。思い込みを手放した先に待っていたのは、自然体な自分を面白がってくれる人たちとの出会い、そして新しい挑戦でした。
——ここからは、にふみんさんへのインタビューを通して、書く手が止まった時期から、書く環境を整え、やがて原点へ立ち返るまでの道のりをたどります。
聞き手/冨田 裕子(おーつー)・note部主宰
※ note部:おーつーnote部の略称。noteで発信する人たちが集まり、「自分の本音と繋がること」を目指す3か月間の伴走型オンラインコミュニティ。これまでに0期〜2期を開催。
仕事として発信しなきゃ、と思った瞬間から書けなくなった

——よろしくお願いします!note部に入る前は、どんな状況でしたか?
にふみん:もともとnoteは、朝活のコツや学んだことのアウトプットなど、自分の感じたことを自由に楽しく発信できる「良いお付き合い」ができている場所だったんです。
ところが、2024年秋にフリーランスになってから、発信にすごく肩に力が入るようになってしまって。「仕事をしている人として、ちゃんとした発信をしなきゃ」「有益な情報を書かなきゃいけない」という思いが強くなりすぎてしまったんです。
そうなると、どんどん発信が難しくなって。書いては消し、書いては消し……公開ボタンが押せない。「このままだと、もう発信そのものができなくなる」と危機感を抱いていましたね。
——そんなとき、なぜnote部を選んだのでしょうか。
にふみん:イラストレーターのことみさんの発信を通じて、note部を知りました。規模が大きいコミュニティだと、参加者を把握しきれないまま進んでしまい、どこか自分ごとになりにくいだろうなと感じていたんです。
note部は、お互いの顔が見える少人数の環境でした。ここならもう一度、書く環境を作れるかもしれない。その「温度感」が今の自分にはちょうどいいと感じて、飛び込む決意をしました。
読まれている実感が、発信に少しずつ手触りを戻してくれた

——実際に参加してみて、印象に残っていることは?
にふみん:顔を合わせる一つひとつの機会が、お互いを知るための「関係づくりの土壌」になっていたと思います。参加者が普段どのような記事を書き、どんな活動をしているかを理解したうえで、note感想シェア会では、自分の記事について直接感想をいただきました。
「その言葉に心が震えた」と言ってもらえる機会は、そう多くありません。だからこそ、その声を聞けて本当に良かった。孤独になりがちな発信にも、ちゃんと「手触り」が戻ってきたように感じました。
——さらに、価値観がひっくり返るような出来事もあったとか。
にふみん:初めてnoteでチップをいただいたんです。記事の対価として、読者の方から直接お金を受け取ったのですが、「ええっ!」て、本当にびっくりして。しかも、書いていた内容はノウハウではなく、「イベントに参加して良かった」といった、自分の素直な心境を書いたものでした。でも、その記事にチップという形で感謝してもらえた。
きちんと有益な情報を出さないとお金はもらえないと思い込んでいた私にとって、「そうじゃない部分にも、人は価値を感じてくれるんだ」と気付いた衝撃の瞬間でした。
書くときの力の入れ方が、自然と変わってきた

——note部を修了してからの発信に、何か変化はありましたか?
にふみん:相変わらず「有益な情報」は発信していないです(笑)。読んだ本の感想を書いたり、「一か月に一回これを頑張るぞ」という決意をイラストにして、それをやり切ることを目標にしたり。
——いいですね。以前のようなプレッシャーからは解放されたのでしょうか。
にふみん:そうですね。note部の中でお話ししたときに、「みんなのフォトギャラリー」にイラストを登録する話がありましたよね。普段はお仕事として描くことが多いんですが、ただ「こんなん描きたいなあ」と思って自由に描く場を持てたことで、自分自身がすごく楽しめました。
——にふみんさんの描くイラスト、本当にかわいくて。実は私、イラストをお借りした100人目の利用者だったんですよ。
にふみん:そうそうそう!記念すぎて(笑)。そう言ってもらえると、また頑張って登録したくなります。自分の「面白い」を大事にできるようになったのが、一番の変化かもしれません。
noteで積み重ねた感覚が、地元メディアの立ち上げにつながった

——ご自身の発信以外でも、大きな動きがあったそうですね。
にふみん:実はこの春、京都・西山エリアでローカルメディアを立ち上げる話が進んでいます。地元のライターさんや動画編集者さんと一緒に、「地域の暮らしを楽しもう」をテーマに発信していく予定です。媒体を検討する中で、私から「noteでやろう」って提案しました。
マガジンやメンバーシップなど、読者さんと関われる形がたくさんありますし、noteの「とげとげしていない肌触り」がすごくいいなと思って。
私が実際に書いてその良さを体感していたからこそ、仲間に提案したときも「あ、noteいいね」ってスッと動いてくれたんです。熱が乗っていたからこそ、腹が決まったのかなと思います。
——メディアの構築段階から発信していくのも、楽しみですね。
にふみん:ありがとうございます。3月5日の開運日に「やるよ!」って、まずは土台だけでも形にしたくて。「ここへ打ち合わせに行ってきます」といった「調理前の素材」を見せるような、「Coming soon」みたいなワクワク感を大切にしたいですね(笑)。
そうやって、みんなで所信表明を書きながら、読者の方と一緒に作り上げるプロセスも楽しみたいと思っています。
考えすぎず、仕事の時間も、創作の時間も丸ごと楽しめるように

——発信が変わったことで、仕事への向き合い方もより自然体になったように見えます。
にふみん:そうですねえ。なんやろう、以前は「めっちゃ仕事頑張らなきゃ」って思っていたんですけど、今はすごく声をかけてもらえるようになって、変化を感じています。ガツガツやるのは、私のキャラに合ってなかったんやなあって(笑)。
——本来の穏やかな魅力が、発信からも伝わるようになったんでしょうね。
にふみん:今は「イラストで食べられなかったら、もうパートで働いたらええわ」くらいの感覚なんです。実際、去年の夏ごろから近所の和菓子屋さんで、少しだけ働いています。事務で入ったのですが、お団子を刺したり、出荷の荷詰めをしたり。最初は戸惑いましたが、そんな手仕事の時間もめっちゃ楽しくて…。
—— 意外な仕事の中に、新しい自分を見つけられたんですね。
にふみん:そうなんですよ。自分の枠が広がったというか、デザインに固執せずにもっと自由でいいんだって思えるようになりました。
デザインは自分らしい価値を提供するライフワークで、ライスワーク(生活のための仕事)は別でもいい。あんまりカチカチに考えすぎず、今の状況をひっくるめて楽しめたらいいなあって感じています。
書き続けること、という原点に立ち戻って

——あらためて、にふみんさんが感じた「note部の良さ」とは?
にふみん:メンバー同士が、お互いに関心を持ち合っているところでしょうか。単に記事を読み合うだけではなく、「ちゃんと読んで、深いところで心に触れるようなスキ」をもらえている気がします。オンラインなのに、どこか対面のコミュニティに近い距離感だったなと思います。
——確かに、メンバー同士の存在をすぐそばに感じられましたね。
にふみん:そうそう!それがまた書くモチベーションになって、最終的に「noteを書こう」って原点に戻ってこれました。書き続けることで、自分なりの自然体な発信スタイルを、もう一度思い出させてもらった気がします。
(おしまい)
【プロフィール】
にふみん
京都市在住のイラストレーター・デザイナー。2024年秋にフリーランスとして独立し、にふみんワークスを主宰。「好きを広げる!」をモットーに、イラストやデザインの制作・発信を行っている。
手描きイラストと自己紹介グラレコを得意とし、対話を重ねながら制作を進めるスタイルが特徴。「一緒に作り上げていく工程も楽しい」と好評を得ている。
noteでは、地域のにぎわいづくりや働き方について、等身大の言葉で発信。2026年春には、クリエイター仲間とともに「暮らしを楽しむ」をテーマとしたローカルメディアを立ち上げ予定。自分の感覚を大切にしながら、手触りのあるつながりを広げている。
執筆/石川 えりさ
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