見出し画像

不安が消えたわけじゃない。ただ、飲まれなくなった|おーつーnote部修了生 きりんさんインタビュー

「この文章、誰かを不快にさせていないだろうか」

書きたい、届けたい。そう願いながらも、投稿ボタンを押す直前に指が止まってしまう。note部(※)0期に参加したきりんさんは、かつてそんな葛藤を抱えていました。

発信を続けていれば、今でもふとした瞬間に不安がよぎると言います。けれど今のきりんさんは、以前のように立ち尽くすことはありません。

「不安がなくなったわけではない。ただ、飲まれなくなった」

一時は書けなくなりながらも、一行から書くことを再開し、やがてKindle出版という夢を叶えたきりんさん。その背景には、彼女が手に入れた「不安との新しい付き合い方」と、それを支えた「戻ってこられる場所」の存在があります。
——ここからは、きりんさんへのインタビューを通して、心境の変化をたどっていきます。

聞き手/冨田 裕子(おーつー)・note部主宰

※ note部:おーつーnote部の略称。noteで発信する人たちが集まり、「自分の本音と繋がること」を目指す、3か月間の伴走型オンラインコミュニティ。これまでに0期・1期を開催。


「不快にさせていないか」が、ずっと頭にあった

——note部に入る前は、どんな状況でしたか?

きりん:出産を機に仕事を辞めてから、ずっと専業主婦をしていました。社会とのつながりが一気に減って、どこか心もとないというか、つらい感覚が長いことありました。

noteは何年か続けていたんですけど、「読んだ方を不快にさせていないかな」「どう思われているんだろう」という不安が波のように来る感じがあって。人とつながりたくて発信しているはずなのに、その分、反応が気になっていました。

——参加にあたって迷いはありましたか?

きりん:ありましたね。以前、主宰のおーつーさんと単発セッションでお話ししたとき、初対面なのにすごく安心できたのが印象に残っていて、募集を見たときも「やってみたいけど、どうしよう」って結構悩みました。

久しぶりに人と関わることへの不安もありましたが、「変わるきっかけにしたい」という一心で、最後は「えい」って飛び込みました。

「やめる」ことが、「続ける」ための選択になった

——当時、とくに苦しかったことはありますか?

きりん:参加当初は毎日投稿をしていました。でも私、気持ちの切り替えが早い方じゃなくて。毎日同じペースで書き続けようとすると、どうしても苦しくなるタイミングが来るんです。

家のことよりnoteが気になって、子どもにきつく当たってしまったり、「こんな私ダメだ」って、自分を責めてしまったり。だんだん自分が嫌になっていく感じがありました。

——そこから毎日投稿をやめる決断へ?

きりん:はい。「無理するより、かえって一度やめた方が長く続くんじゃないかな」って思えたんです。note部には、毎日でも週一でも、一度やめてもいい、どんな結論でも「自分で決めたならOKだよ」って雰囲気がありました。そのおかげで、「これは自分のペースじゃない」と前向きに腹落ちできました。

言葉のやり取りが「つながり」になった

——印象に残っているイベントはありますか?

きりん:「note感想シェア会」です。自分の記事に感想をもらう機会って、普段はあまりないですよね。最初は怖さもありましたが、いざ参加してみると、メンバーの皆さんが本当に温かい目で読んでくださっているのを感じたんです。

「自分にも当てはまった」「昔の記憶を思い出した」と言ってもらえて、ほのぼのした日常を切り取った文章が、誰かの心に触れたんだって印象に残っています。

それと同時に、私自身が誰かの記事に「この一文が刺さりました」って直接伝えられたことも大きな喜びでした。普段はコメントするのも勇気がいりますが、あの場があったからこそ、率直な言葉を届けられたと思います。

不安の正体は、外ではなく「自分の中」にあった

——発信に対する不安は、どう変わりましたか?

きりん:全く気にならなくなったわけではありません。ただ、不安の根っこは「自分が自分をどう見ているか」にあるんだと気付けたんです。

以前は「怖い、どうしよう」と立ち止まるだけでしたが、今は不安になったとき、「今、自分で自分を否定してない?」「自分で自分を縛ってないかな?」と、視点を内側に戻してチェックできるようになりました。不安はあっても、それに飲まれなくなった。それが一番大きな変化です。

一度、書けなくなった。それでも「戻れる場所」があった

——卒業後、書けなくなった時期もあったそうですね。

きりん:はい。私生活で落ち込むことが重なり、noteを書く余力がなくなってしまいました。でも「いつかまた、noteを書きたい」という気持ちがどこかにあって、Threadsで朝の挨拶だけは続けてきました。

——そこから、どうやって戻ってきたんですか?

きりん:おーつーさんが、その挨拶を毎朝必ず拾ってくださったんです。卒業後もこうして見守ってくれているんだ、つながりは切れていないんだと、本当にありがたかったです。

「一行でもいいから書こう」という言葉を思い出し、「短い一言なら、今の私にも書けるかもしれない」って思えた。一人じゃなかったから、また戻ってくることができました。

一言の発信から、Kindle出版へ。拍手の空気が背中を押してくれた

——そこから、Kindle出版に至るまでは、どんな道のりだったんでしょう?

きりん:数年前から「出してみたい」とは思いつつ、「私には難しいだろうな」ってブレーキをかけていました。でも、note部のメンバーが葛藤しながらチャレンジしている姿を見て、私も力をもらったんです。

「noteを書きました!」と報告すれば、メンバーが拍手で迎えてくれる。その温かな雰囲気に応援されて、自分も思い切ることができました。

Kindle出版をした瞬間は「バンザーイ」という気持ちでしたが、その後、読んでもらう難しさに直面して「そうか、最初から順風満帆じゃないんだな」という現実も知りました。でも今は、一人で不安を膨らませることはありません。基地のように安心できる場所があるからこそ、知ってもらう努力も続けていける。この一年で、私自身も大きく変わりました。

不安があっても、書き続けたいあなたへ

——これから、発信とはどんなふうに付き合っていきたいですか?

きりん:私にとって一番大事なのは、「noteを続けること」そのものです。投稿ペースが変わっても、少し距離を置く時期があってもいい。いつでも戻ってこられる場所として、noteを手放さないでいたい。

そこからまた何かが生まれたら、うれしいなと思っています。

——そう思えるようになったのは、どうしてですか?

きりん:「一人で抱えなくていい」と思えるようになったからです。今でも不安から立ち止まりますが、そんな時はおーつーさんの記事を読み返して、「あ、大事なのはこっち(自分の本音)だったな」と視点を戻しています。そうすると、すっと気持ちを切り替えられるんですよね。

続けるために必要なのは、根性でがんばり続けることではなく、戻ってこられる環境を持つことだと実感しています。

——最後に、どんな人にnote部をおすすめしたいですか?

きりん:少し前の私のように、「反応が気になる」とか「投稿ボタンを押すのが怖い」という人にこそ、おすすめしたいです。

メンバーとつながって、それぞれの想いや背景を知ることで、一人で書いていた頃とは、記事の受け取り方も、書くことへの安心感も全く変わりました。「書き続けたい」という気持ちがどこかにあるのなら、きっと大切な何かを見つけられる場所になるだろうと思います。

(おしまい)

【プロフィール】
きりん(きりん)
出産を機に仕事を離れ、専業主婦として暮らす中で数年前からnoteでの発信を始める。
noteでは「​​​​Bookきりん屋」として、詩やエッセイの創作を中心に、好きな本や懐かしい一曲を紹介している。

反応に振りまわされる不安や、書けなくなる時期を経験しながらも、自分に合ったペースで書き続ける形を模索する。現在は短文や詩的な表現を中心に、読者のそばに寄り添う発信を継続。

これまでに、詩集『今日もゆれて迷って歓喜をうたう』など3冊をKindle出版し、日英版の制作にも取り組んでいる。読者からは「とても美しい場面が浮かんできます」「世界観が大好きです」といった声が寄せられている。

執筆/石川 えりさ

【この記事もおすすめ】

【他のメンバーさんインタビュー記事】

【おーつーnote部の活動マガジン】


いいなと思ったら応援しよう!