【亀戸住民】五代目岩井半四郎×鶴屋南北×歌川国貞【コラボ】
今日は五代目岩井半四郎の役者絵を
半四郎が座頭の舞台
鶴屋南北作品
歌川国貞画
に絞って見ていきます。亀戸住民によるコラボというわけです。
お染久松色読販
まずは、文政10年4月に中村座で上演された鶴屋南北作お染久松色読販 の五代目岩井半四郎(国貞画)を見てみます。
7役早替わりで話題となった作品で、文化10年に初演されてから、半四郎主演で何度も再演されました。
見てください。この愛らしい顔。このあとお染は、一瞬にして久松になり観客を驚かせます。

ARC浮世絵・日本絵画ポータルデータベースより

ARC浮世絵・日本絵画ポータルデータベースより
久松になったとたん、服装だけでなく仕草や表情もガラリと変わります。このあとさらに、お光→竹川→小糸→貞昌→お六と変化します。
隅田川花御所染(亀戸メンバー大集合)
次にご紹介するのは、天保3年 3月に市村座で上演された鶴屋南北作隅田川花御所染です。
描かれているのは、五代目岩井半四郎と五代目市川海老蔵(国貞画)です。
団十郎にとって半四郎は、子役の頃からお世話になっている先輩役者です。

猿嶋惣太(団十郎改 市川海老蔵)
ARC浮世絵・日本絵画ポータルデータベースより

猿嶋惣太と吉田の松若丸(団十郎改 市川海老蔵)
ARC浮世絵・日本絵画ポータルデータベースより
「天保3年 」「3月」「市村座」とくれば、七代目市川団十郎が長男に八代目を継がせ、歌舞伎十八番(成田屋相伝の荒事18種)の制定を発表した舞台のはず......と思い調べてみたら、隅田川花御所染は本狂言、団十郎襲名披露をした助六所縁江戸桜は、所作事として最後に行われていました(半四郎は助六では揚巻として団十郎の相手役を務めています)。
ちなみにもう1人、この舞台に出演していた重要人物がいます。市村座の興行責任者で、菩提寺が亀戸の自性院にある十二代目市村羽左衛門です。
1832年春のこの舞台は、亀戸ゆかりの役者が3人揃ったとても熱い舞台でした。
座元として活躍!十二代目市村羽左衛門
江戸一番の役者!七代目市川団十郎改海老蔵
江戸一番の女形!五代目岩井半四郎
そして海老蔵に改めたばかりの団十郎がこのあと出会うのが、亀戸町のお為さんというわけです。1832春、激アツです。
杜若艶色紫
次にご紹介するは、文化12年5月に河原崎座で上演された鶴屋南北作杜若艶色紫で、土手のお六を演じる五代目岩井半四郎(国貞画)です。
お六は悪婆役なので、いつもの半四郎スマイルは封印しています。

ARC浮世絵・日本絵画ポータルデータベースより
文化12年の土手のお六は、お染の7役で話題となった於染久松色讀販(文化10年)のお六をベースに設定を変え、ドラマ性を加えた発展形です。
「悪婆」という新しい女性像の原型を作った上で、職業や家族関係を具体化し、華やかさを加え、単なる悪役から「粋で肝の据わった魅力的な女」へと発展させました。
廓春誉編笠
最後にご紹介するのは、文政10年1月、河原崎座で上演された鶴屋南北作廓春誉編笠です。
描かれているのは、五代目岩井半四郎、七代目市川団十郎、三代目尾上菊五郎(国貞画)です。

不波伴左衛門 (七代目市川団十郎)
名古屋山三(三代目尾上菊五郎)
お瀧所蔵
廓春誉編笠のあらすじは不明ですが、不波伴左衛門と名古屋山三、仲居らしき女性が描かれているところを見ると、男2人がお玉を巡って争うといった内容でしょう。
不破と名古屋は、美少年で有名だった実在の武将をモデルとしています。不破伴左衛門の不破が不波になったり山三郎が山三になったりと演目によって名前は多少変化しますが、不破と名古屋が出ると恋の鞘当というのはお約束のパターンです。
不破は市川家が代々演じてきた役で、七代目市川団十郎によって、歌舞伎十八番のうちの一つにも選ばれています。
五代目岩井半四郎×鶴屋南北×歌川国貞コラボ、いかがでしたでしょうか。こうして見ると、役者、作者、絵師が切っても切れない関係だったということが、よくわかると思います。
役者がいて、その魅力を引き出す作者がいて、舞台を宣伝する絵師がいる。歌舞伎の興行は、この3つが揃って初めて成立するのです。
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