スクワットで歩行能力を改善させましょう。
参考文献
Choi, M.; Ahn, N.; Park, J.; Kim, K. 12-Week Exercise Training of Knee Joint and Squat Movement Improves Gait Ability in Older Women. Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18, 1515. doi: 10.3390/ijerph18041515.
70歳以上の高齢女性における膝関節およびスクワット運動を組み合わせた12週間のエクササイズトレーニングが歩行能力に及ぼす影響
とりあえず内容を知りたい方はここ(論文の要約)
目的
この研究は、デジタル制御された膝関節複合運動機器(レッグリンクシステム)とスクワット運動を組み合わせたトレーニングプログラムが、70歳以上の高齢女性の身体組成、健康関連体力、および歩行能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的としました。
方法
70歳以上の高齢女性54名を、対照群(n=18)、有酸素トレーニング群(n=18)、複合トレーニング群(レジスタンス運動+有酸素運動、n=18)の3群に無作為に割り付けました。
有酸素群は50分間のウォーキング等を、複合群はレッグリンクシステムとスクワットを含む計60分間のプログラムを週3回、12週間実施しました。評価項目は身体組成、握力や背筋力などの健康関連体力、TUGや歩行速度などの歩行関連体力、およびGAITRiteを用いた歩行の時空間パラメータとしました。
結果
12週間の介入後、複合トレーニング群では体重・BMI・体脂肪率が有意に減少し、骨格筋量は有意に増加しました。
また、握力や背筋力などの健康関連体力、およびTUGや8m歩行速度などの歩行関連体力の全項目で有意な向上が認められました。
さらに、歩行の時空間パラメータ(歩幅、単脚支持時間、両脚支持時間など)においても、複合トレーニング群のみに有意な改善が確認されました。
一方、有酸素群では身体効率指数や一部の筋持久力・バランス項目の改善に留まり、歩行パラメータに有意な変化は見られませんでした。
結論
下肢および体幹筋肉を標的とした膝関節複合運動とスクワットを組み合わせたトレーニングは、高齢女性の筋力や身体組成を改善させるだけでなく、歩行パターンそのものを最適化し、歩行能力を包括的に向上させる効果があることが示唆されました。
ポイントと感想
歩行の「質」を変える
この研究の結果からは、有酸素運動だけでは歩行のパラメータ(歩幅や支持時間など)に有意な変化をもたらすことができませんでした。
よく歩いてくださいと指導しがちですが、歩行の質を改善するためには、単に歩く時間を増やすだけでなく、適切な筋トレは不可欠そうです。
特に複合トレーニング群で見られた、歩幅の増加や両脚支持時間の短縮は、動的バランスなどが向上したことを示しています。
腓腹筋・ヒラメ筋へのアプローチ
考察において、今回使用されたレッグリンクシステムとスクワットの組み合わせが腓腹筋やヒラメ筋を強く活性化させることが強調されています。
高齢者の歩行不安定性の背景には、足関節の底屈筋力の低下が大きく関与しています。
このプログラムでは足首・膝・股関節の連動、さらにはコア(体幹)筋力の向上を同時に図る構成になっています。
単関節的なトレーニングに留まらず、スクワットのような多関節運動とデジタル制御された複合運動を組み合わせることで、実際の歩行動作に近い形での筋出力向上が得られたことが、歩行解析の結果に反映されたのだと考えられます。
日々の臨床では最新のデバイスを使用せずとも、スクワットに足関節の制御を意識した要素を加え、有酸素運動とセットで行うプログラム構成を検討できるといいですね。
ではでは。
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