オールアウト後の追い込みは意味があるのか
臨床のリアルと迷い
全可動域でオールアウトまで行って、最後部分的な可動域で数回行っている方、いますよね。
少しでも負荷を与え、筋肥大を目指すその姿はまさにトレーニーの鏡に思えます。
しかし最近では、一回一回のトレーニング負荷量よりも、トレーニング全体での総負荷量の重要性が着目されています。
「限界まで追い込んでいるのに結果が出ないのはなぜか」
「本当にフル可動域のあとに追い込む方法がベストなのか」
トレーニング方法そのものを見直す時期に来ているのかもしれません。
知見の整理と道標
今回紹介する研究では、トレーニング経験者23名を対象に、左右の脚で異なる可動域戦略を用いて週2回、8週間のレジスタンストレーニングを限界まで実施し、その効果を比較しました。
初期パーシャルレップ(Initial Partials)
筋肉が最も引き伸ばされた状態(最大ストレッチ位)からニュートラル位置までの部分可動域のみで、最初から最後まで限界まで反復する手法。限界後パーシャルレップ(Past-Failure Partials)
まず全可動域で動作を行い、最大短縮位で挙上不能という限界に達した後にセットを終了せず、ストレッチ領域での部分動作を追加してさらに限界まで追い込む手法。
8週間の介入の結果、筋肉の厚みの平均変化率は、初期パーシャル群で+9.5%(1.9 mm増)、限界後パーシャル群で+6.7%(1.4 mm増)となりました。
ベイズ解析による統計的な確定差としては「可能性を示唆する程度」にとどまるものの、初期パーシャル群の方が0.40 mm大きな肥大を示しました。
総挙上重量は、実験期間を通じて、初期パーシャル群の方が常に高い総挙上重量を維持しました。
臨床への落とし込みと深掘り
今回の結果を受け、やはりトレーニング全体の総負荷量の重要性が示唆されました。
フルROMの後に追い込む「限界後パーシャルレップ」という方法は、非常に強度の高い方法に思えますが、疲労の蓄積が大きく、その後のトレーニングに影響を及ぼし、結果的に総負荷が減ってしまった可能性があります。
最も強い張力がかかる伸張領域にターゲットを絞り、そこで確実な負荷量を確保することが重要な可能性があります。
それでも、最後まで追い込みたい場合は、最後の1setに留めておくのがいいと思います。
締め
重要なのはトレーニング全体の総負荷量です。
オールアウトは、最後の1setに留めましょう。
参考文献
Larsen, Stian, et al. Resistance Training Beyond Momentary Failure: The Effects of Past-Failure Partials Versus Initial Partials on Calf Muscle Hypertrophy Among a Resistance-Trained Cohort. European Journal of Sport Science (2025): e70030. doi: 10.1002/ejsc.70030.
限界挙動を超えたレジスタンストレーニング:トレーニング経験者を対象とした、腓腹筋肥大に対する限界後のパーシャルレップと初期パーシャルレップの効果
ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション
ご覧いただきありがとうございました。
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