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影の立役者〜主動作筋の影となる筋〜


臨床のリアルと迷い

つま先立ちができない場合、何が原因と考えられるでしょうか。
単純に考えると、底屈筋が上手く作用していない可能性があげられます。
どうしても「主動作筋がどれだけ強く収縮しているか」という視点に目を奪われがちですよね。

しかし、本当の理由は個々の筋力不足だけでなく、周囲の筋肉との協調性にあるのかもしれません。

では、どの筋がその協調性を保つ役割を果たしているか。
そんな報告を見つけました。

知見の整理と道標

今回は、健康な成人10名を対象に、うつ伏せでの足関節底屈運動における下腿の筋群の動態を、従来の筋電図に加えて非線形指標である「度数中心性(DC:Degree Centrality)」を用いて分析した研究です。

測定には表面筋電図(sEMG)を用い、前脛骨筋(TA)、長腓骨筋(PL)、短腓骨筋(PB)、ヒラメ筋(SOL)、内側腓腹筋(MG)、外側腓腹筋(LG)の6つの筋肉を評価しました。

度数中心性(DC:Degree Centrality)とは?

自分も詳しくはよくわかりませんが、簡単にいうとその筋肉が全体の筋肉ネットワークの中で「どれだけ周囲の筋肉と太いパイプを持って協調しているか」を示す指標だそうです。

結果

実験の結果、以下のようなデータが得られました。

  • すべての筋肉で活動性が上昇
    安静時と比較して、底屈時にはテストされた全筋肉のRMS(二乗平均平方根)、MF(中央値周波数)、DCの値が有意に大きくなりました。

  • 長腓骨筋(PL)の変化
    すべての筋肉の中で、長腓骨筋(PL)が最も著しい変化を示しました。

  • DCのランキング
    DC値を大きい順に並べたところ、安静時と底屈時で明確な変化が観察されました。

    • 安静時: SOL > PB = MG > PL > LG > TA

    • 底屈時: PL > MG > SOL > LG > PB > TA

主動作筋であるヒラメ筋(SOL)や内側腓腹筋(MG)より、長腓骨筋(PL)のDC値が最も大きくなっています。

臨床への落とし込みと深掘り

なぜ底屈運動において、主動作筋よりも長腓骨筋(PL)のDCが最も高くなったのでしょうか。

考察では、強力な底屈筋である下腿三頭筋が働くと、足関節は内反作用が同時に生じてしまいます。
そこを中間位に保持するために、PLの働きが強まり主動作筋による内反作用を相殺したと考えられます。
ただの底屈ではなく、中間位に保持するために働きが強まった可能性がありますね。

今回使用された「DC(度数中心性)」という指標。
私は初耳でした。
こういった解析等はいまいち知識がないのですが、従来の筋活動量だけではなく、筋肉同士の協調性の強さを計算するという視点は重要だと思います。

ただ単に主動作筋の問題のみで片付けず、協調性の観点を持つことも重要であると思います。

締め

今回の論文ではうつ伏せで行った研究ですので、これが立位や歩行とどこまで応用できるかは不明です。
しかし、主動作筋に対して協調的に働く筋があることに着目することは、新たな介入の要素になりうりそうですね。

参考文献

Xu, Ying, et al. Higher involvement of synergistic muscle than active muscles in ankle plantar flexion. Scientific Reports 15.1 (2025): 25561. doi: 10.1038/s41598-025-09892-1.

足関節底屈における主動作筋よりも協調筋のより高い関与

ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

ご覧いただきありがとうございました。

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