予想する投資から積み立てる投資へ|#14(第1章)
個別株を売却し、約3,000万円を現金に変えた2013年のことでした。
アベノミクス相場で膨らんだ資産を前に、私は改めて考えていました。
「このお金を、どうやって増やしていくのか」
今回の利益は、自分の力だけで積み上げたというよりも、アベノミクスによる相場回復という大きな市場環境に支えられた部分が大きいと感じていました。
もちろん、リーマンショック後の悲観局面で購入し、その後も持ち続けていたことは結果的に良かったのだと思います。
ただ一方で、それを自分の実力や再現性のある方法だとは、どうしても思えませんでした。
だからこそ、同じ方法を繰り返す気にはなれなかったのです。
私が求めていたのは、“もう一度当てる方法”ではなく、“続けられる方法”でした。
その答えを探すため、私は久しぶりに本屋へ足を運びました。これまでは株式投資の本ばかりを手に取っていましたが、このときは違いました。自然と、インデックス投資や長期投資に関する本ばかりを探している自分がいました。
個別株で当てるのではなく、仕組みで積み上げる方法を知りたかったのです。
調べる中で、まず「これは違う」と感じたものがいくつかありました。
ひとつは、いわゆる“タコ足配当”のような商品です。高い分配金をうたっていても、その原資が実質的には自分の投資元本を削って支払われているケースもあります。それでは資産が増えているとは言えません。ただ自分のお金を少しずつ受け取っているだけです。私はそれに強い違和感を覚えました。
次に、アクティブファンドです。一見すると、優秀な運用者が市場を上回る成績を出してくれる魅力的な商品に見えます。しかし調べていくうちに、長期的にはインデックスファンドに成績で負けるケースが大半であることを知りました。高い信託報酬を払っても、結果が伴わなければ意味がありません。
さらに、テーマ型や流行りを前面に出した商品も避けることにしました。特定の業界や話題の分野に集中投資するタイプのものです。こうした商品は、売り出される頃にはすでに市場のピークを迎えていることが多い。熱狂の後に出てくる商品に乗るのは、私の性格には合いませんでした。
そうやって消去法で考えていくうちに、残ったのがインデックスファンドでした。
市場全体に広く投資し、特定の銘柄やテーマに依存しない。運用者の腕に期待するのではなく、経済全体の成長に乗る。
この考え方が、私にはとても合理的に感じられました。
ただし、当時は2026年の今のように、オルカンやS&P500といった、信託報酬が極めて低く、かつ実績も十分に積み上がっている商品はまだ存在していませんでした。現在から振り返ると、今から始める人たちは本当に恵まれていると感じます。
その中で私が選んだのが、「世界経済インデックスファンド」でした。
世界中の株式と債券に分散投資できる設計。日本、アメリカ、ヨーロッパ、新興国まで幅広くカバーし、さらに債券を含むことで値動きを緩やかにする。
どの国が伸びるかを当てるのではなく、世界全体に投資する。
この思想に、私は納得しました。
私は、個別株で得た約3,000万円を世界経済インデックスファンドに投じました。さらに、毎月15万円を自動積立で投資する仕組みを設定しました。
感情ではなく、仕組みで積み上げる。
社会人一年目に作った貯金ルールと同じです。あとは自動で積み立てられていくのを淡々と続けるだけ。
こうして私は、市場環境に大きく左右される投資から、自分でも継続できる“仕組み”を重視した投資へと舵を切ったのです。
次回(第15話)は、世界経済インデックスファンドとの出会い──“分散”という考え方を知った日について書きます。
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