投資信託で実感する“複利の力”|#16(第1章)
2013年、世界経済インデックスファンドへの積立投資を始めた私は、それまでとは少し違うお金の増え方を、徐々に実感するようになっていました。
それが「複利」の力です。
複利とは、得られた利益を再投資することで、利益がさらに利益を生み、時間とともに資産が雪だるま式に増えていく仕組みのことです。貯金や配当金はこれまでにも経験していましたが、本格的に複利という概念を意識したのは、この投資信託が初めてでした。
投資信託を始めるとき、私は最初に約3,000万円を一括で投資しました。
今振り返ってみると、初手で3,000万円を投資するというのは、なかなか思い切ったことをしたなと思います。
ただ、当時の自分の感覚としては少し違いました。もともと手元にあったこの資金を、さらに毎月少しずつ積み立てていくのは、時間分散という意味ではあまり意味がないように感じたのです。それよりも、この資金は一度まとめて投資しておき、毎月の積立は給与など別のお金から行えばいい。そんな考えだった記憶があります。
こうして私は、3,000万円を投資信託に入れたうえで、さらに毎月の積立投資を続けていくことにしました。
やっていることはとてもシンプルです。
毎月、決まった金額を積み立てる。そして時間をかけて資産が育っていく。
証券口座を開くと、購入した投資信託の残高が少しずつ増えていく。その過程は決して派手ではありませんが、確実に資産が積み上がっていく感覚がありました。
当時、私はマネーフォワードというアプリを使って、自分の資産状況を管理していました。銀行口座や証券口座を登録すると、資産の推移がグラフで可視化される便利なサービスです。
このアプリで資産の状況を確認するのが、いつの間にか日課になっていました。会社へ向かう朝、地下鉄のホームでスマートフォンを取り出し、グラフを眺める。そんな時間が、ちょっとした楽しみになっていたのです。
まだ大きな金額ではありませんでしたが、積立投資の仕組みがきちんと機能していることを、目で見て実感することができました。
不思議なことに、積立投資を始めてからの記憶を振り返ると、当時はいつも投資額以上に資産が増えていた印象があります。もちろん細かく見れば上下はあったはずですが、記憶に残っているのは「思ったより順調に増えていく」という感覚ばかりでした。
金融資産が少しずつ増えていくにつれて、将来への不安も少しずつ和らいでいきました。以前は「このままで本当に大丈夫だろうか」という漠然とした不安が心のどこかにありましたが、資産残高が確実に増えていくことで、その不安が徐々に薄れていったのです。
そのとき私は、改めて思いました。
結局のところ、お金に対する安心感は、「確実に積み上がる仕組み」があるかどうかで大きく変わるのではないか、と。
もちろん、相場は常に順調とは限りません。残高が前月より減っていることもありました。ですが、それも想定の範囲内でした。むしろ、価格が下がったときには同じ金額で多く買えることになります。それが将来のリターンにつながると考えていました。
この考え方は、私の性格にもよく合っていました。
短期間で大きな利益を狙うよりも、コツコツと時間をかけて積み上げていく。そのほうが自分の生活スタイルにも無理がなく、長く続けられると感じていたのです。
ちなみに2026年の現在でも、私はマネーフォワードのアプリを使い続けています。「マネーフォワードでんき」というサービスを利用することで、プレミアムサービス(スタンダード)が無料で使えるため、銀行口座や証券口座などを一元管理できています。自分の総資産を直感的に把握でき、資産の推移グラフも見やすいため、今でも日々の資産管理に役立っています。
積立投資を始めてから数年が経つ頃、資産は着実に増えていきました。目先の増減に振り回されることなく、ただ仕組みを信じて続ける。それによって、私は少しずつ「複利の力」を実感するようになっていたのです。
次回(第17話)は、毎月15万円の積立投資という、シンプルだけれど強い仕組みについて書いていきます。
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