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子どもがわざと転ぶのは、遊んでいるんじゃないです。脳の練習をしています。

こんにちは。
私は小児の理学療法士をしているアラサーです。

子どもって、わざと転びますよね。
ソファから飛び降りる。
わざとよろける。
ゆっくり倒れていく。
転んだあと、なぜか笑っている。
「なんでそんなことするの」
「危ないでしょ」
「またやってる」
全部正しいです。
普通にヒヤヒヤします。
でも今日は少し待ってください。
あれ、遊んでいるんじゃないです。
脳がものすごく真剣に、練習をしています。

転ぶことで何を練習しているのか??
小児の理学療法士として子どもの動きを見ていると、
「わざと転ぶ」行動には明確な目的があります。
前庭(ぜんてい)感覚の練習です。
前庭感覚とは、平衡(へいこう)感覚のことです。
体がどの向きにあるか。
どのくらいの速さで動いているか。
倒れそうになったとき、どう立て直すか。
これを司るのが前庭感覚です。
そしてこの感覚は、
実際に体を動かして、倒れて、立て直すことでしか育ちません。
転ぶことは、前庭感覚を育てる最高のトレーニングです。

「わざと」がポイントです
ここが一番面白いところです。
偶然転ぶのと、わざと転ぶのは、脳への刺激が全然違います。
偶然転ぶとき、脳は予測できていません。
だから怖い。だから泣く。
わざと転ぶとき、脳は予測しています。
「今から倒れる」「このくらいの衝撃が来る」「こう着地する」
この予測と結果のすり合わせを、何度も繰り返しています。
つまりわざと転ぶことで、
脳は「倒れる感覚」を安全に練習しています。
怖くない範囲で、倒れる練習をしている。
これが「わざと転ぶ」の正体です。

他にも「実は練習」な行動があります
同じ視点で見ると、
「やめてほしい」と思っていた行動が全部変わって見えます。
くるくる回る
これも前庭感覚の練習です。
目が回る感覚を自分でコントロールする練習をしています。
感覚統合が育っている証拠です。
高いところに登る
固有感覚と前庭感覚の同時練習です。
自分の体の重さ、高さ、バランスを確かめています。
怖いけど、やめられないのは脳が求めているからです。
わざとぶつかってくる
固有感覚の練習です。
自分の体がどのくらいの力で動いているかを確かめています。
力加減の調整を、体当たりで練習しています。
ソファからジャンプする
着地の衝撃を体で受け取る練習です。
足裏の感覚、膝の曲げ方、バランスの取り方を一気に練習しています。

じゃあ全部させていいのか??
正直に言います。
全部OKとは言えないです。
危険な高さ、危険な場所、危険な状況はちゃんと止めてください。
ただ、止めるときの見え方が変わります。
「なんでそんなことするの」じゃなくて、
「脳が練習したがっているんだな、でもここは危ない」になる。
この見え方の違いは、
子どもへの声かけにも影響します。
「やめなさい」より、
「そこは危ないから、こっちでやろう」のほうが、
子どもの脳の欲求を満たしながら安全を確保できます。
否定じゃなくて、代替案です。
これが前庭感覚を育てながら安全を守る、一番賢いやり方です。

親がヒヤヒヤするのは正しいです
ただ、ヒヤヒヤしながら全部止めると、
前庭感覚が育ちにくくなることがあります。
前庭感覚が育ちにくい子は、
バランスが取りにくい。
姿勢が保ちにくい。
乗り物酔いしやすい。
集中が続きにくい。
これ、全部前庭感覚と関係しています。
つまり子どものわざと転ぶ行動を、
ある程度許容することは、
長い目で見て体と脳の発達につながっています。

最後に
子どもがわざと転ぶのを見て、
「また危ないことして」と思っていた日が、
今日から少し変わるかもしれないです。
あれは遊びじゃないです。
真剣な練習です。
しかも誰かに言われたわけじゃなく、
脳が勝手に「これが必要だ」と判断して、
体を動かしています。
子どもの体は、
ほっておいても育とうとしています。
親がすることは、
全部止めることでも、
全部させることでもなくて、
安全な範囲で、思い切りやらせてあげることだと思っています。
ヒヤヒヤしながら見守る。
それが一番難しくて、一番大事な仕事です。

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