子どもが砂場でずっと遊ぶのは、実は高度な感覚統合訓練です。
こんにちは。
私は小児の理学療法士をしているアラサーです。
砂場って、地味ですよね。
公園に行くたびに砂場に直行して、
ひたすら砂を触っている。
山を作って、崩して、また作って。
水を入れて、ぐちゃぐちゃにして、
手も服も砂だらけ。
「また砂場か」と思う日、ありませんか。
でも今日から、
砂場の見え方が変わるかもしれないです。
あれ、かなりすごいことをしています。
感覚統合とは何か
少し専門的な話をします。
感覚統合とは、
脳が複数の感覚情報を同時に処理して、
適切な行動につなげることです。
人間の感覚は、
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五感だけじゃないです。
固有感覚:自分の体の位置や力加減を感じる感覚
前庭感覚:バランスや重力を感じる感覚
触覚:皮膚で感じる感覚
この7つの感覚が、
脳の中で同時に処理されています。
そして感覚統合が育つためには、
実際に体を使って、
いろんな感覚を経験することが必要です。
砂場は、
この感覚統合の訓練場として、
最高の環境です。
砂場で起きていること、全部説明します
砂を握る
砂を握ったとき、
手のひらの触覚が全力で働きます。
砂の一粒一粒の感触。
乾いた砂と湿った砂の違い。
握る力を変えると感触が変わること。
これ全部、触覚の学習です。
しかも砂は、
毎回同じじゃないです。
今日の砂と昨日の砂は、
湿度も温度も違います。
その違いを感じ取ることが、
触覚の精度を上げていきます。
山を作る
砂を集めて山を作るとき、
固有感覚が働いています。
どのくらいの力で押せば山が崩れないか。
どのくらいの量を積めば高くなるか。
手の力加減を、砂の感触から学んでいます。
これは、
鉛筆を持つ力加減や、
人に触れるときの力加減につながります。
力加減が苦手な子は、
固有感覚の発達が追いついていないことがあります。
砂場での遊びは、
その力加減を学ぶ練習でもあります。
水を入れてぐちゃぐちゃにする
これが一番重要かもしれないです。
乾いた砂に水を入れると、
砂の質が変わります。
さらさらからどろどろへ。
軽いから重いへ。
バラバラからまとまりへ。
この変化を手で感じながら、
脳は「物質の変化」を学習しています。
しかも水の量によって、
毎回結果が変わります。
予測して、試して、結果を確認する。
これ、科学的思考の基礎です。
砂場遊びは、
理科の実験でもありました。
型に砂を入れる
型に砂を詰めて、
ひっくり返してケーキを作る。
この動作には、
視覚・触覚・固有感覚が全部使われています。
型の大きさを目で確認して、
手の力加減で砂を詰めて、
ひっくり返すタイミングを感触で判断する。
これ、かなり高度な協調運動です。
しかも失敗することがあります。
ひっくり返したら崩れた。
砂が足りなかった。
詰め方が甘かった。
その失敗から学んで、
次はどうするかを考える。
問題解決能力の練習でもありました。
砂場が苦手な子の話
ここからは少し違う話をします。
砂場が苦手な子がいます。
砂を触りたがらない。
砂場に近づこうとしない。
手に砂がつくと大泣きする。
これを「わがまま」と見ることがあります。
でも実際は、
触覚の感受性が高い子に多いです。
砂の感触が、
その子にとっては不快な刺激として入ってきます。
「気持ち悪い」「痛い」「嫌だ」
これは感覚の問題です。
性格の問題じゃないです。
無理やり触らせても、
逆効果になることがあります。
こういう子には、
まず見ることから始めて、
道具を使って触ることに慣れて、
少しずつ直接触れる経験を積む。
という段階的なアプローチが有効です。
砂場が苦手なことを責めずに、
その子の感覚の特性として見てほしいです。
「また砂場か」から「また砂場か!(感動)」へ
話を戻します。
砂場でずっと遊んでいる子どもを見て、
「また砂場か」と思っていた日から、
触覚を学習している。
固有感覚を育てている。
科学的思考を練習している。
問題解決能力を鍛えている。
と見えるようになったとき、
砂場の見え方が変わります。
服が砂だらけになるのは、
全力で学習した証拠です。
手がドロドロになるのは、
感覚統合が進んでいる証拠です。
最後に
公園に行くたびに砂場に直行する子どもを見て、
「また砂場か」と思っていた親御さんに伝えたいです。
あれ、かなりすごいことをしています。
脳が全力で、
感覚の情報を集めています。
触って、握って、混ぜて、作って、崩して。
その繰り返しの中で、
脳は着実に育っています。
砂場は地味に見えます。
でも小児PTの目から見ると、
最高の発達の場でした。
今日も砂だらけで帰ってきた子どもを、
少しだけ誇らしく見てあげてください。
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