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子どもの発達障害が増えているのは、社会が変わったからです。

こんにちは。
私は小児の理学療法士をしているアラサーです。

最近、こんな話をよく聞きます。
「発達障害の子どもが増えている」
「昔はこんなに多くなかったのに」
「なぜこんなに増えているんだろう」
この問いに対して、
よく出てくる答えがあります。
「診断基準が変わったから」
「認知が広まったから」
「早期発見が進んだから」
どれも正しいです。
でも私は、
それだけじゃないと思っています。
今日は小児PTとして、
この問いに正面から向き合います。

まず、数字を見てください
発達障害の診断数は、
この20〜30年で大きく増えています。
ADHDの診断数は、
1990年代から比べると数倍になっています。
自閉スペクトラム症の診断数も、
同様に増加しています。
学習障害の認識も、
広まっています。
この増加を見て、
「子どもが変わった」と言う人がいます。
でも私は、
子どもが変わったとは思っていないです。
子どもを取り巻く環境が、
根本的に変わったと思っています。

発達障害とは何か、正直に説明します
まず前提を整理します。
発達障害は、
脳の発達の偏りによって、
特定のことが苦手だったり、
特定のことが得意だったりする状態です。
ADHDなら、
注意を持続することや、
衝動を抑えることが苦手なことがあります。
自閉スペクトラム症なら、
コミュニケーションの取り方や、
感覚の処理の仕方に特徴があることがあります。
学習障害なら、
読む・書く・計算するという特定の学習が苦手なことがあります。
大事なのは、
これらは「脳の特性」だということです。
病気ではないです。
弱さでもないです。
育て方の問題でもないです。
その人の脳の動き方の特徴です。

では、なぜ増えているのか
ここが本題です。
私は、発達障害が増えている理由を、
大きく3つで説明できると思っています。
理由①:社会が「じっとしていること」を求めすぎるようになった
30年前の子どもと、
今の子どもを比べてみます。
30年前の子どもは、
放課後に外で走り回っていました。
公園で転び回って、
友達と喧嘩して、
暗くなるまで遊んでいました。
授業中に落ち着かない子も、
放課後にその分のエネルギーを発散できていました。
今は違います。
放課後は習い事。
帰ったら宿題。
外遊びをする時間がない。
公園でも大きな声を出せない。
走り回れる場所も減っている。
エネルギーを発散できる場所と時間が、
圧倒的に減っています。
その状態で授業中に座っていることを求められると、
それが難しい子は「問題」として見えやすくなります。
30年前は、
放課後に発散できていたから、
授業中も何とかなっていた子が、
今は発散できないから、
授業中に出てしまう。
社会の構造が変わったことで、
「問題行動」として見える機会が増えています。
理由②:感覚統合が育ちにくい環境になった
小児PTとして、
ここは強調したいです。
感覚統合とは、
脳が複数の感覚情報を処理して、
適切な行動につなげることです。
この感覚統合は、
体を動かすことで育ちます。
走る。転ぶ。登る。砂を触る。
泥んこになる。虫を捕まえる。
でこぼこした道を歩く。
これ全部が、
感覚統合を育てる経験です。
今の子どもたちは、
この経験が圧倒的に少ないです。
清潔な室内で過ごす時間が増えました。
スマホやタブレットの前にいる時間が増えました。
体を使う遊びの時間が減りました。
感覚統合が育ちにくい環境が、
感覚処理の問題を持つ子どもを増やしている可能性があります。
感覚が敏感すぎる。
感覚を求めすぎる。
体の使い方がぎこちない。
これらは感覚統合の発達が十分でない場合に見られる特徴ですが、
それは脳の特性だけの問題ではなく、
感覚統合を育てる機会が少なかった環境の問題でもあります。
理由③:「普通」の範囲が狭くなった
ここが一番大事かもしれないです。
昔は、
少しぼんやりしている子も、
少し落ち着かない子も、
少し不器用な子も、
「個性」として扱われることが多かったです。
でも今は違います。
学校のシステムが整備されるほど、
「そのシステムに合わない子」が見えやすくなります。
均一な授業スタイル。
均一な評価基準。
均一な行動規範。
このシステムに合わない子が、
「問題がある子」として見えるようになります。
昔は「ちょっと変わった子」で済んでいたことが、
今は「発達障害の疑い」として見られることがあります。
これは、
子どもが変わったのではなく、
社会が求める「普通」の範囲が、
狭くなったということです。

診断が増えることは、悪いことだけじゃないです
ここは誤解してほしくないので、
正直に書きます。
診断数が増えていることは、
悪いことだけじゃないです。
早期発見が進んだことで、
適切なサポートにつながれる子どもが増えました。
昔は「問題児」として扱われ、
理解されないまま傷ついていた子が、
今は「この子にはこういう特性がある」と理解されるようになりました。
発達障害という概念が広まったことで、
「なぜ自分はこんなに生きにくいのか」という疑問に、
名前がついた大人もたくさんいます。
診断は、
レッテルを貼るためのものじゃないです。
その子を、
その人を、
より正確に理解するためのものです。

でも、診断で終わってはいけない
ここも正直に言います。
診断名がついたことで、
「この子はこういう子だから仕方ない」で終わってしまうことがあります。
診断名は、
その子の特性を説明するものです。
でも診断名は、
その子の可能性を決めるものじゃないです。
ADHDという特性があっても、
環境を整えることで、
生活しやすくなることがあります。
自閉スペクトラム症という特性があっても、
その子に合った関わりで、
力を発揮できるようになることがあります。
診断名は出発点です。
終着点じゃないです。

社会が変わったなら、社会が変わればいい
私が言いたいのは、
結局ここです。
発達障害が増えているのは、
子どもが変わったのではなく、
社会が変わったから。
だとすれば、
社会がさらに変わることで、
生きやすくなる子どもが増えるはずです。
外で思い切り遊べる場所を増やす。
じっとしていることだけを求めない授業スタイルにする。
多様な学び方を認める評価基準にする。
「普通」の範囲を広げる。
これは夢物語じゃないです。
実際に、
そういう方向に動いている国や地域があります。
日本でも、
少しずつ変わってきているところがあります。
でも、まだ足りないです。

親御さんへ伝えたいこと
子どもに発達障害の診断がついた親御さんへ、
伝えたいことがあります。
それは、
あなたの育て方のせいじゃないです。
遺伝的な要因があることも、
環境的な要因があることも、
どちらも本当です。
でも、
「私がこうしたから」という単純な話じゃないです。
脳の特性は、
親の愛情の量で決まるものじゃないです。
自分を責めてほしくないです。
その代わり、
この子の特性を理解して、
この子に合ったサポートを探してほしいです。
その子の脳の動き方を知ることで、
関わり方が変わります。
関わり方が変わることで、
その子が生きやすくなります。

子どもに発達の特性があることを、
隠さなくていいです。
療育に行くことを、
恥ずかしいと思わなくていいです。
専門家に相談することを、
大げさだと思わなくていいです。
その子に合ったサポートを探すことは、
その子の可能性を広げることです。

最後に
発達障害が増えているのは、
子どもが弱くなったからじゃないです。
社会が変わって、
子どもが発達するために必要な環境が、
失われてきたことが大きいと思っています。
外で遊べる場所。
じっとしなくていい時間。
多様な「普通」を認める空気。
これらが戻ってきたとき、
発達障害として診断される子どもの数も、
少し変わるかもしれないです。
少なくとも、
診断がついても生きやすい社会に、
なっていくべきだと思っています。
今、
子どもの特性と向き合っている親御さんへ。
あなたは一人じゃないです。
その子の特性を理解しようとしていること、
それだけでもう、
十分やっています。

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