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発達支援の現場で、一番多く聞いた言葉は「私のせいですか」でした。

こんにちは。
私は小児の理学療法士をしているアラサーです。

発達支援の現場に長くいます。
その中で、
一番多く聞いた言葉があります。
「私のせいですか」
相談に来る親御さんの、
ほぼ全員が言います。
最初の言葉じゃないことも多いです。
話を聞いていると、
少しずつ出てきます。
「あの、先生に聞いてもいいですか」
「変なことを聞くかもしれないんですけど」
「私の育て方が悪かったから、こうなったんでしょうか」
この言葉を聞くたびに、
私は少し止まります。
何年現場にいても、
慣れないです。

「私のせいですか」が出てくる前に、何があったか
この言葉が出てくるまでに、
その親御さんがどんな時間を過ごしてきたかを、
想像することがあります。
子どもの様子が気になり始めた日。
最初は、
そんなに深刻に考えていなかったかもしれないです。
「少し育てにくいな」
「他の子と少し違うな」
「でもまあ、個性の範囲かな」
でも気になることが続いて、
誰かに相談してみた。
保育園の先生に話してみた。
「様子を見ましょう」と言われた。
小児科に行ってみた。
「個性の範囲ですよ」と言われた。
それでも気になって、
また相談してみた。
「お母さんが心配しすぎなんじゃないですか」
と言われた日もあったかもしれないです。
その間ずっと、
頭の中で何かがぐるぐるしていた。
私の関わり方が悪いのかな。
もっと早く気づけばよかった。
あのとき別の対応をしていれば。
私がちゃんとしていれば、こうならなかったんじゃないか。
そうやって何ヶ月も、
場合によっては何年も、
一人で抱えてきた。
その末に、
やっと専門家に会えた場所で、
絞り出すように言う言葉が、
「私のせいですか」
です。

この言葉を聞いたとき、私が最初に思うこと
正直に書きます。
「私のせいですか」と聞かれたとき、
私が最初に感じることは、
この人は、どれだけ長い間、
一人で背負ってきたんだろう
ということです。
発達の特性は、
親の育て方だけで決まるものじゃないです。
脳の発達には、
遺伝的な要因があります。
環境的な要因があります。
生まれつきの特性があります。
そのどれもが、
複雑に絡み合っています。
「お母さんのせいです」と言える場面は、
ほぼないです。
でも、
それを言うだけでは足りないと思っています。
「あなたのせいじゃないですよ」と伝えることは大事です。
でもそれだけでは、
その人が長い時間かけて積み上げてきた罪悪感は、
一言では消えないです。
だから私は、
少し時間をかけて話を聞きます。

「私のせいですか」の中に、何が詰まっているか
この言葉の中には、
いくつかのものが詰まっています。
一つ目は、
罪悪感です。
自分が何かをしてしまったから、
この子がこうなったんじゃないかという感覚。
二つ目は、
孤独です。
誰にも相談できないまま、
一人で抱えてきた時間の重さ。
三つ目は、
恐怖です。
「あなたのせいです」と言われるかもしれないという怖さ。
それでも聞かずにはいられないという切実さ。
四つ目は、
愛情です。
この子のために、
何かできることがあるなら知りたいという気持ち。
自分が原因なら、
自分が変われば何とかなるかもしれないという希望。
「私のせいですか」は、
責められたい言葉じゃないです。
この子のために何かしたいという、
切実な愛情から出てくる言葉です。

なぜ親御さんは自分を責めるのか
ここを考えてみます。
発達の特性は、
親のせいじゃないことが多いです。
でも、
親御さんが自分を責める理由があります。
一つは、
情報の問題です。
インターネットで検索すると、
「愛着障害」「愛情不足」「育て方の問題」
という言葉が出てきます。
発達の問題が、
育て方の問題と結びつけられて説明されることがあります。
それを見た親御さんが、
「私の育て方が悪かったのかもしれない」と思います。
二つは、
周りからの言葉です。
「お母さんがもっとちゃんとすれば」
「愛情が足りないんじゃないか」
「育て方の問題でしょ」
悪意なく言われることもあります。
でもその言葉が、
深く刺さります。
三つは、
日本の文化です。
子どものことは親の責任。
特に母親の責任。
この空気が、
日本社会には強くあります。
子どもに何かあったとき、
真っ先に母親が疑われます。
責められる文化の中にいれば、
自分を責めることを学びます。

「私のせいですか」と聞いてくれた人に、私が伝えること
現場で、
この言葉を聞いたとき、
私が伝えることを書きます。
まず、話を最後まで聞きます。
「私のせいですか」と聞かれた瞬間に、
「違いますよ」と言うことは簡単です。
でもそれは、
その人が話したかったことを、
遮ることになります。
だから先に、
話を聞きます。
いつ頃から気になり始めたか。
どんなことが気になっているか。
誰かに相談したことはあるか。
その結果、どう感じたか。
全部聞いてから、
伝えます。
それはあなたのせいじゃないです。
でも、
「違います」で終わらないようにします。
なぜ違うのかを、
できるだけ具体的に伝えます。
脳の発達には個人差があること。
その個人差は、
育て方だけで決まるものじゃないこと。
お母さんがこんなに悩んでいること自体が、
この子を大事に思っている証拠であること。
そして、
今からできることがあること。
原因を探すより、
これからどうするかを一緒に考えることが、
この子のためになること。

「私のせいじゃない」が腑に落ちるまでに、時間がかかります
ここを正直に書きます。
「あなたのせいじゃないですよ」と伝えても、
その日に全部解決することはないです。
何年もかけて積み上げてきた罪悪感は、
一言では消えないです。
次の面談でも、
「やっぱり私のせいだったんじゃないかと思って」
と言ってくる親御さんがいます。
それでいいです。
一回で全部解決しなくていいです。
「あなたのせいじゃない」を、
何度も聞いて、
少しずつ腑に落ちていけばいいです。
腑に落ちていく過程で、
子どもへの関わりが少しずつ変わります。
自分を責めることに使っていたエネルギーが、
子どもを理解することに向かい始めます。
そのとき、
親子の関係が変わります。

今、「私のせいですか」と思っている親御さんへ
この記事を読んでいる人の中に、
今まさに「私のせいですか」と思っている人がいるかもしれないです。
誰にも言えないまま、
一人で抱えているかもしれないです。
そのために書きます。
あなたのせいじゃないです。
これを言うのは、
慰めじゃないです。
現場で何百人もの親御さんと関わってきて、
「この人の育て方が原因だった」と言える場面は、
ほぼなかったです。
子どもの発達の特性は、
そんなに単純な原因では説明できないです。
あなたが一人で背負ってきたその重さは、
あなたが背負うべきものじゃなかったです。
でも、
一つだけお願いがあります。
一人で抱え続けないでほしいです。
専門家に話してみてください。
発達の相談窓口に電話してみてください。
保育園や学校の先生に話してみてください。
話すことで、
何かが解決するかもしれないです。
解決しなくても、
一人じゃなくなります。
一人じゃなくなるだけで、
重さが変わります。

現場にいて、思うこと
最後に、
個人的なことを書きます。
「私のせいですか」という言葉を、
何百回も聞いてきました。
その度に思います。
この人は、
どれだけ一人で抱えてきたんだろう。
誰かに話せる場所が、
もっと早くあればよかった。
「あなたのせいじゃない」を、
もっと早く聞ける場所があればよかった。
一人で抱える時間が長いほど、
罪悪感は深くなります。
罪悪感が深くなるほど、
子どもへの関わりが苦しくなります。
早く相談することは、
この子のためだけじゃないです。
あなた自身のためでもあります。
発達支援の現場は、
責めるために存在していないです。
一緒に考えるために、
存在しています。
怖くなくていいです。
特別なことじゃないです。
ただ、
話しに来てください。

最後に
発達支援の現場で、
一番多く聞いた言葉は「私のせいですか」でした。
この言葉を聞くたびに、
私は思います。
違います。
あなたのせいじゃないです。
でも、
そう思わせてきた社会には、
問題があると思っています。
子どもに発達の特性があることを、
親のせいにする文化。
相談しにくい空気。
情報の偏り。
孤立した育児。
これらが重なって、
「私のせいですか」という言葉を生んでいます。
この言葉が、
少しでも減ってほしいです。
そのために、
書き続けたいと思っています。
今、一人で抱えている親御さんへ。
あなたのせいじゃないです。
その言葉を、
届けたくて書きました。

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