信用は時間でしか買えない
初めて会った日から、なぜかこの人とはうまくいく気がした相手がいた。
話していて疲れないし、変な緊張もない。
この人になら、安心して任せられる。
そう思うまでに、そんなに時間はかからなかった。
でも本当にそうだろうか。
多くの人は、出会ってすぐに感じる安心を、そのまま信用できる根拠として扱ってしまう。
けれど、安心と信用は、まったく別のものだ。
安心は、その場で作れる。
話し方が心地よい、雰囲気が柔らかい、否定されない。
それだけで、人は安心を感じてしまう。
一方、信用は、その場では作れない。
信用は、同じような状況で、その人が何度も同じように振る舞ってきたという積み重ねの上にしか生まれない。
安心は一度の印象で生まれるが、信用は繰り返し一致した行動でしか生まれない。
だから、出会って数十分で感じた安心と、何ヶ月もかけて確認してきた信用は、まったく別の重さを持っている。
実際に、この違いを思い知らされた出来事がある。
初めて会ったときから、なぜか安心できる相手だった。
話が合い、こちらの話をよく聞いてくれて、一緒にいて楽だった。
その安心感のまま、仕事で悩んでいた判断を、深く相談してしまったことがある。
けれど、いざこちらが厳しい状況を打ち明けたとき、それまでの気さくな態度から一変して、話を途中で切り上げられてしまった。
そこで初めて気づいた。
安心していただけで、信用できるかどうかを、一度も確かめていなかった。
出会ってすぐに感じた安心を、時間をかけて積み重ねた信用と、混同していた。
そこまで慎重にならなくても、と思う人もいるかもしれない。
出会ってすぐに安心できる相手を疑うなんて、感じが悪いのではないか、と。
安心すること自体は、悪いことではない。
安心できる相手と過ごす時間は、それだけで価値がある。
慎重になりすぎる必要はない。
安心をきっかけに人と関わり始めること自体は、自然なことだ。
ただ、安心できることと、信用できることは、別の基準で見ていい。
安心と信用を混同しないために、出会ってすぐ「この人は安心できる」と感じたときは、少しだけ自分に聞いてみてほしい。
・この安心は、まだ一度きりの印象から生まれたものだろうか →YES/NO
・状況が変わったときのその人を、まだ見ていないだろうか →YES/NO
・今のところ、態度が急に変わるような違和感は見当たらないだろうか →YES/NO
上の2つがYESで、3つ目もYESなら、まだ焦って任せなくていい。
安心は感じたままでいい、ただ結論だけを保留すればいい。
そうやって、状況が変わる場面を何度か見ても、その安心が変わらなかったときにはじめて、それは安心ではなく信用と呼んでいい。
もし3つ目がNOなら、話は別だ。
すでに違和感が出ているなら、その安心を根拠に判断するのはやめた方がいい。
安心は、出会ったその日に生まれる。
信用は、それを積み重ねた時間の分しか、生まれない。
次回は、「違和感が消えない人の特徴」について書いていく。
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