観戦記 第29節 RB大宮アルディージャ VS V・ファーレン長崎
概要
2025/9/13
第29節
大宮VS長崎 1-2
得点:大宮: 30'豊川 長崎: 19’山口、45+3’エジガル
@NACK5スタジアム
*現地観戦*
大宮フォーメーション

試合開始前、肉離れによるイヨハの離脱が公表された。
これでCBは、ガブ様、濱田、イヨハの3人が負傷離脱という緊急事態となり、育成レンタルの貫を呼び戻したり、ユースを二種登録したり、現場がバタバタしちゃっている感じの大宮。
おまけに吏音がU-20 W杯でチームから抜けるという…。
おそらくイヨハの離脱の影響から、今日の試合はいわきFC戦以来の3-4-2-1を選択 (あとは津久井の累積出場停止も考えてかな?)。
ただ3-4-2-1も去年から磨いており、今年も多くの試合でやってきていた事もあり、守備面で大きなほころびはなかった印象。この辺りはこれまでの積み上げてきた貯金が活かされた形。
CBは左から下口、吏音、村上。
トップのラッソと、豊川とカプリーニのシャドーで3トップを組む。ラッソのスタメンも、6月の愛媛FC戦以来と久しぶり。
長崎 印象

長崎も3-4-2-1を選択し、大宮とはミラーゲームとなる。
前節藤枝MYFC戦から変更は一人。右WBに関口が入ってきて、翁長は左WBに部署異動していた。
前回対戦ではハイプレスをほとんどしてこなかった長崎だったけど、この試合では前から追う姿勢を見せる。基本的にはマテウスとエジガルの2人で大宮のCBにあたり、澤田がボールを受けに落ちてくる大宮のボランチを捕まえに行く事が多かった。
前からプレスに行くことで、大宮のCB/GKにロングキックを蹴らざるを得なくし、そのロングボールを照山と新井のCBで迎撃して回収するようにしていた。この二人のCBは空中戦が強く、ラッソも苦戦していた。
またラインも思ったより高く、前線との距離を縮めて圧縮し、ミドルゾーンでのプレスで奪ってカウンターを発動させる意図も見られた。一旦カウンターが発動すると、やはり前線の迫力は怖い物があった。

前節の藤枝MYFC戦では、前半は左CB江川が前に出る左肩上がりで、後半は山口を最終ラインに落とした4-1-2-3でビルドアップしていた長崎であったが、今日はまた違ったやり方をしてきた。
今日は左肩上がりでなく右肩上がりでのビルドアップ。
右CBの照山が前に出て、右WB関口と右STマテウスを押し上げるやり方。左STの澤田は逆サイドに張るのでなく、中に入ってきて、1.5~2列目にいる事が多かった。
後ろから繋いでいく時は、山口とピトゥカがうまい具合いにポジションを入れ替わったり、CBとWBの間に落ちたりして、目立たないけどビルドアップをうまく補佐。なお今日はチーム戦術なのか、そこまで後ろからロングボールは蹴ってこなかった。
*大宮もやはりボランチ潰しを優先していて、小島とシルバが素早く長崎の両ボランチにボールが入ると迎撃に向かっていた。
翁長は前節の右WBから左WBに移ったが、役割は似ていて、攻撃時は右サイドに人を集めるから、左サイドは独力でなんとかしてね!って感じだった。右から作っていく狙いだからこそ、翁長が左になったってのもあったと思う (前節は左で作っていきたいから右WBに翁長を配置)。
実際、翁長の縦突破と運動量は流石だった。なんか大宮時代より体幹が厚くなってる気がした。
そして何より今日のスペシャルはマテウス・ジェズス。
体は強いわ、テクニックはあるわで、一人で大宮のDF陣を混乱させまくっていた。今日のMVP級の活躍だったけど、詳しくは後述。
試合展開 前半
まず大宮がいい形で試合に入る。
高木監督も大宮が4-4-2で来ると思っていたフシがあり、序盤は大宮のプレスに苦しむ。
右肩上がりの長崎だったため、豊川が一列落ちた形で、長崎の2CBにラッソとカプがプレスに行き、ボールを貰いに落ちていく山口かピトゥカにはシルバが潰しに行く形が多かった。プレス時にはシルバと小島が縦関係になる事が多く、流れからシルバが最前線までプレスをかけに行くことも散見された。
中盤以降も噛み合わせ的に大宮がマンマークぎみにあたり、茂木と泉も、対面する長崎のWBに入ると素早くチェックに行っていた。
ロングボールを多用せずに後ろから繋いでいく意図が強かった長崎に対し、序盤はプレスがハマっていて大宮ペースで試合が進んだ。
大宮の攻撃、まずは左サイド。
泉がボールを持つと長崎の2枚が引き寄せられていたため、必然小島か豊川がフリーになっていた。泉からそのフリーの選手 (特に小島)にパスを出して、左サイドをいい感じで攻略することができていた (2分のシーンとかがいい例)。小島は左サイドのいい場所にしょっちゅう顔を出していた。
右サイドで違いを見せたのはカプリーニ。
長崎はラインを上げて (先発がサンデーだったら上げてなかったかも?)中盤で密集を作って、ミドルプレスで潰しに行く感じ。
当然カプリーニにボールが入ると左CBの江川が後ろからファールにならない程度の強度で体をぶつけにいっていたが、カプリーニはワンタッチではたいて茂木などに落とす。フリーでボールを受けた茂木は、中央のシルバにパスを出して幅を広げる。密集を作っていた長崎は中央にフリースペースがあり、そのスペースをいい具合いにシルバが持ち運び中央突破からのチャンスメイクに繋げていた。
今日は、右サイドでのカプリーニのレイオフと、中央でのシルバの2人で、大宮の基点がいいように作れていた。
しかしそんな大宮ペースで進んでいた中、落とし穴。
19分、大宮のFKをゴール前で長崎が弾き返したルーズボールを、小島からマテウスがかっさらってロングカウンター発動。マテウスはカプリーニのスライディングもかわし、無理な体勢から左足でゴール前にアーリークロス。これをゴール前に走り込んだ山口が、さすがの技術のスーパーボレーでゴールに流し込み、長崎が先制。
とにかくマテウスの凄技3つ(奪取、かわし、アーリークロス)と、山口の凄ボレー技術という、スペシャルな個人技を4つ連続成功させた長崎のゴラッソであった。やっぱ長崎のカウンターは破壊力があるなー。
長崎のクリアボールが高いバウンドになってしまい、マテウスが後ろから勢いよく走っていくことができたため、小島としては処理が難しい対応になってしまった。。。
そしてこの辺りから大宮のプレスにも慣れ、徐々に長崎もゴール前まで行ける感じに。
20分のピトゥカのビューティフルスルーパスから、エジガルがGKをかわしてのシュートは下口が必死のクリア。23分のFK崩れからの江川のシュートは枠の上。等々、何個かピンチもあった。
しかし29分、ショートコーナーからカプリーニが上げたクロスに、豊川がヘッドで押し込んで大宮が早い段階で同点に追いついた。ここ数試合惜しいシーンが多かった豊川の執念が実ったゴールに。
その後も一進一退の展開だったが、大宮が押し気味に試合を進める。
38分のカプのスルーから茂木が大外を突破してのクロス、41分のラッソがDFを背負ってからの反転シュート、43分のカプのスルーからの泉突破等、ゴールに多く迫る大宮。
今日はサイド突破からのクロスが多かったが、中央で合わせられないシーンが目立ってしまった。
チームとしてもクロスは多い方なんだけど (リーグ6位)、今年は中央でヘディングで合わせる得点がちょっと少ないんだよね。ラッソも右に流れて受ける事が多く、中央でクロスに勝負できていなかった印象。
このまま大宮ペースで同点で前半終了かと思われたラストプレー。ゴール前のピトゥカの左足から放たれたFKを、中央でエジガルが頭でそらしてゴール。
エジガルが外から中央の密集に飛び込んでいった事で、マークしていた下口がつききれずに振り切られてしまったのが悔やまれる。あの密集での押し合いに負けずに、頭で触ったエジガルも流石だった。
ということでラストの一瞬の隙を突かれて1-2、長崎のリードで前半は終了。
全体的には長崎のビルドアップをある程度プレスで抑えられてて、ゴール前に迫れていた大宮の内容の方が良かった前半であったが、チャンスを決めきる長崎の攻撃の質の高さにやられてしまった。
特にマテウス・ジェズスはやっぱりスペシャルな選手である事を再確認。あれだけの体の強さで大宮のタックルを弾き返し続けるだけでなく、足下のテクニックで一人二人を軽くかわしまくるのは反則だよなぁ。山口に上げたアーリークロスとかも、相当に体幹が強くなくちゃ成立しないプレーだよねー。
あと大宮としては自陣地でファールを与えすぎてしまったのはいただけなかったなぁ。前回対戦に引き続き、セットプレーからの失点は本当悔やまれる。
ただ個人的には、前半同点で終わってた場合、後半頭から長崎が攻撃モード(前節の4-1-2-3など)で押し込んでくる可能性が高く、そうなられるよりかは、リードしてそこまで前掛かりに来ない長崎の方が戦いやすいのかなぁとは思ってた。
終盤まで長崎がリードで進んで、守備系の選手交代をしたぐらいで同点→逆転ってのが理想だなぁ、と。
まぁ、そんなに甘くはなかったんだけどね…。
試合展開 後半
後半頭から長崎は、エジガル・澤田を山崎とエメルソンに交代。高木監督曰く、先に動いて大宮の狙いを崩したかったとの事だけど、ちょっと具体的にどんな狙いだったかは現地ではよくわからず。
想定外だった3バックの大宮に対するプレスのやり方を再整備したのかな?ちょっとこの辺はDAZNで見返す予定。
ただ、個人的には早めに交代数を削ってくれて、ちょっとラッキーという第一感想であった。
そして後半も前半と似た展開に。
やはりリードしたためか、長崎は前半同様、そこまでリスクを負って攻めてはこない感じ。山口落としの4-1-2-3などはやってこず、前半に引き続き右CBを上げたビルドアップで後ろから繋いでくる感じだが、どちらかというとカウンターを狙っている雰囲気。
大宮も前半に引き続き、カプリーニとシルバが基点を作ってサイドにボールを送り、ゴールを狙う。56分の泉のカットインからのシュートや、59分のシルバキープからのカウンターなどいいシーンも作る。
62分に大宮はいつものように前線を交代。ラッソと豊川を下げて、サンデーと健勇を投入。
サンデー投入からは裏抜けパスも多用するようになり、狙い通り前線の高い位置でサンデーが受けられることも多かった。しかし、ボールを受けても周りのフォローが少なく、サンデーが孤立してしまっていてシュートにまでは中々持って行けず。
裏抜けのパスに走り負けしても、その後はサンデーをゴール方面に振り向かせないように対応しきった、江川らCBの対人守備の強さも光っていた。
73分には茂木→関口、小島→谷内田の交代。この交代で攻撃時は4バック気味にし、泉がより高い位置を取るようにしてきた。
久しぶりに出場 (欠場続きだった理由は不明)の関口は、Aロアッソ熊本戦のカプゴールの時のような積極的な縦突破からチャンスを何度も構築。前目に上がった左の泉と共に、サイドから長崎に圧をかけ続ける。
守勢に回り始めた長崎相手に、同点に追いつくには非常にいい時間帯。
*長崎は右WBを米田に交代して、泉対策
しかし前半同様、サイドから上げたクロスは中央で中々合わせることができない。
サンデーが右に流れてボール受けた時に、サンデーが空けた中央のスペースに健勇が入っていって、クロスに合わせるって形をもっと見たかったんだけどなぁ…。
やはり去年に比べて、クロスに対しての中央での人数であったり迫力不足は否めない。カテゴリーが違うってのは勿論あるんだけど。
そして最後まで大宮が長崎を押し込むも、長崎のCBに弾き返されて、そのまま1-2で敗戦。
「シュート数:大宮18 VS 長崎10」「ゴール期待値:大宮1.72 VS 長崎0.88」と、内容的には大宮が勝っていた試合であったが、ラストパスとシュートの精度のところで長崎に刺されてしまった形の試合に。
大宮としては1点は取れたが、13本放ったCKをもう少し活かしきりたかったところ。また、自陣内でファールが多く、長崎にFKを与えすぎてしまった。
雑感
内容的には勝っていた大宮だったが、実際は長崎に力負けした感じの試合。
やはり長崎は後ろから前まで、いずれの選手のレベルが高く、単純なミスなどが少なかった。パスの精度も高く、全員の体も強く、またカウンターに移った際の迫力も凄かった。特に、とにかくスーパーマテウスにボールが入った時はことごとくチャンスに繋げられており、非常に怖い存在であった。
シーズン序盤、失点を重ねまくっていた長崎のDFラインの統率や、前線からのプレスも整備されていた印象。この辺りはやはり高木さんの手腕なんだろうなぁ。
今の長崎相手に内容を上回れたんで、シーズン序盤であったら「負けは仕方ないなー」ってことになるのだろうけど、今は終盤。上位の長崎相手の負けは非常に痛い・・・。
これでPO圏外の7位に順位を落とし、2位の長崎とは勝ち点差7に。残り9試合で勝ち点差7は中々に厳しい状況。おまけに守備陣は怪我人続出に加え、吏音がU-20 W杯で離脱と、上位陣との戦いを控える大宮に試練が続く。
チームが置かれている現状と今日の戦い方を見ると、今後は3-4-2-1に回帰するっぽいかな?
今日は2点は取られたけど、守備固めるならこれまでの蓄積もある3バックが現状では適切な選択肢と思われる。
おそらく下口と村上と福井の3バックで、後ろを固める戦い方をしていくことになるとは思うけど、特に村上と福井には奮起してもらいたいっすね!
