見出し画像

先を走る人 #169

子どもの夏休みに入って、
自分時間が欲しくて朝散歩をしている。

ある朝の散歩道。

いつものペースで歩いている時、
私より少し先を走る人を見つけた。

まっすぐ伸びる一本道で、
だんだんと小さくなっていく背中。

気づけば私は、
その後ろ姿に思いを巡らせていた。


自分より前を、
自分より速いスピードで、走る人がいる。

こんなことは実生活でもよくある。

自分より大変なはずなのに、
自分よりも要領よく、それでいて軽やかに、
何でもこなしてしまうような人。

そんな人の背中は、何だかかっこよくて、
手が届かないくらい遠くて、

しかも、
どんどん小さく見えなくなっていって。

いつの間にか置いていかれている自分が、
何とも情けなくて、
「私なんて」という言葉に、
飲み込まれそうになる。

でも、私はその人にはなれない。

その人の速さで走ろうとすれば、
きっと途中で息が上がってしまう。


散歩道。

私はいつものペースで歩く。

私の前を走る人の姿は、
もうすっかり見えなくなっていた。

私は歩く。

私にとっては速くもなく、遅くもない、
このスピードで。

息を切らさず、
私が気持ちよく最後まで歩ける、
このスピードで。


◯関連記事

いいなと思ったら応援しよう!