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規模も、フェーズも違う。それでも、同じだったこと


今日は肩の力を抜いて、私がこれまで見てきた「景色」の話をさせてください。

私はこれまで、二つの立場から、ずいぶん多様な会社に関わってきました。一つは、企業の中の人として。40か国以上に事業を展開しているグローバル企業で、人事責任者を務めていました。もう一つは、外から伴走する立場として。組織づくりのコンサルタントとして、歴史ある日本企業から、社員が十数人の会社、走りはじめたばかりのスタートアップまで、さまざまな現場に入ってきました。

内側からも、外側からも組織を見てきて、いつも思うことがあります。会社によって、「人の動かし方」がまるで違う、ということです。

たとえば、大企業では、制度が人を動かしていることが多いように思います。等級があり、評価があり、研修体系がある。よく整った仕組みは、それ自体が人を一定の方向へ導いていく力を持っています。

中小企業では、「関係」が大きな比重を占める場面によく出会いました。社長の顔が見え、あの人が言うならやろう、と人が動く。制度よりも、日々のやりとりと信頼が組織を回している——そんな会社が少なくありません。

スタートアップで印象的だったのは、「熱」の強さです。制度もまだ整っていない、実績もない。それでも人が動くのは、この事業を成功させたい、世の中を変えたい、という熱量があるから。そういう現場を、何度も見てきました。

外資系企業では、「役割」の輪郭がはっきりしている会社が多かった。あなたの仕事はここまで、と線が引かれ、その責任範囲の中でプロとして動く。曖昧さの少なさが、逆にスピードを生んでいることもありました。

制度、関係、熱、役割。——同じ「人が動く」でも、その動かし方はこんなにも違う。はじめのころは、この違いにばかり目を奪われていました。どのやり方が正しいのか、進んでいるのか、と。

けれど、経営の側からも現場の側からも会社を見続けて、少しずつ気づいたことがあります。
——動かし方は違っても、人が「本気で動きだす」瞬間だけは、どこも同じだった。

制度で動く。関係で動く。熱で動く。役割で動く。それらは、いわば人を動かす「きっかけ」です。でも、きっかけで動いているうちは、人はまだ、外から与えられた理由で動いているにすぎません。

やがて、その人の中で、自分の仕事の”見え方”が変わる瞬間が訪れます。この仕事が、会社の何につながっているのか。その先の、お客さまの何に役立っているのか。——それまでぼんやりしていた「自分の仕事の意味」の解像度が、ぐっと上がる。すると、誰かに言われたからではなく、自分の内側から「やりたい」という気持ちがわいてくる。「やらされている」が「自分がやりたい」に変わる——。その瞬間は、大企業の会議室でも、小さな会社の現場でも、スタートアップのオフィスでも、同じ表情をしていました。

では、その瞬間に、何が起きているのか。

いろいろな言い方ができると思いますが、私はこう捉えています。——その人の中で、「自分の仕事」と「その先にある、信じられるもの」が、一本の線でつながった。目の前の作業が、会社の大切にしている想いと、その先のお客さまと、そして自分自身の願いと、ひとすじにつながって見えた。たとえば、そんな瞬間なのかもしれません。

制度も、関係も、熱も、役割も、その入口としては、どれも正しい。ただ、そのどれもが、それだけでは「入口」で止まってしまう。人が本当に力を出しはじめるのは、その先で、自分の仕事の意味が、信じられる何かとつながったときでした。そしてそれは、会社の規模にも、フェーズにも、日系か外資かにも、まったく関係がなかったのです。

理念というのは、この「つながる」ための、一本の芯なのだと思います。掲げた言葉が、一人ひとりの仕事に、意味の線を通していく。その線が組織のあちこちで通ったとき、理念はようやく、日々の判断や振る舞いににじみ出す「文化」になっていく——。私が CULTIVA で本当に見たいのは、この景色です。

規模も、フェーズも、成り立ちも違う。たくさんの会社を見てきました。それでも、私が信じているものは、最初から一つも変わっていません。人が「自分の仕事は、これなんだ」とつながれたとき、その人は驚くほどの力を出す。そして、その力が集まったとき、事業は静かに、けれど確かに伸びていく。

——たぶん私は、これからも、あの目の色が変わる瞬間に立ち会いたくて、この仕事を続けていくのだと思います。

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