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リハビリで「良くなっている気がしない」と感じたとき、見るべき場所|理学療法士が解説

「最初の頃は変化を感じたけど、最近は全然変わらない気がする」

「毎日同じことをしているだけで、意味があるのか分からなくなってきた」

「頑張っているのに、良くなっている気がしない」

こういった声は、リハビリを続けている方からよく聞きます。

実際にリハビリの効果が止まっている場合ももちろんありますが、実際私がみている中では変化そのものは起きている。

ところが、本人が見ている場所がズレているために「良くなっていない」と感じてしまっているケースも少なくありません。

この記事では、「良くなっている気がしない」と感じたときに、実際にどこを見れば、本当に停滞しているのか、それとも見ている場所がズレているだけなのかを整理していきます。


なぜ「感覚」と「実際の変化」がズレるのか

回復の感じ方がズレやすい理由はいくつかあります。

まず、体の変化は多くの場合、直線的には進みません。

最初の数週間は分かりやすい変化が出やすい一方で、その後は伸び方が緩やかになる時期が訪れます。

この緩やかな時期に入ると、以前と同じような伸びを期待してしまい、「止まった」と感じやすくなります。

また、本人が注目している指標と、実際に変化している指標が違うということもよく起こります。

たとえば、

「歩く速さ」

ばかりを気にしている間に、実際には、

「歩いたあとの疲れにくさ」や「介助の必要量」

が変化している、というようなことです。

分かりやすい一つの指標だけを見ていると、他の場所で起きている変化に気づけません。

さらに、毎日同じ動作を近くで見続けていると、変化そのものに慣れてしまい、感覚が鈍くなることもあります。

体重の変化を毎日見ているとき、100gずつコンスタントに落ちているのに、一定の時期から変わっていないように見えるあれです。


見るべき5つの場所

「良くなっている気がしない」と感じたときは、次の5つの場所を確認してみると、実際の状況が見えやすくなるかと思います。

それぞれ違う角度から変化を捉えられるため、一つだけでなく、複数を組み合わせて見ることをお勧めします。

①比較する期間を変えてみる

「今日と昨日」を比べると、変化はほとんど見えません。

比較する期間を「1ヶ月前」「3ヶ月前」まで広げてみると、当時できなかったことが今はできている、というケースは多くあります。

可能であれば、以前の動画や記録を見返してみると、変化に気づきやすくなります。

ダイエットとかも同じですよね。
一日に50g落ちているのであれば、一カ月で1500g、1.5㎏です。かなり大きな変化です。

②見ている指標を増やしてみる

「歩く速さ」や「筋力」といった一つの指標だけでなく、

疲れにくさ
動作にかかる時間
介助の必要な量
痛みの程度

など、複数の指標に目を向けてみます。

一つの指標が停滞していても、別の指標では変化が出ていることがあります。

歩く速さは変わっていないけど、一カ月前より50m長く歩けている。などもよくあります。

③動作の「質」を見てみる

同じ動作でも、以前より力の入れ方が少なくて済んでいる、より安定してできている、という「質」の変化は、数字や見た目だけでは分かりにくい部分です。

介助する側の負担が減っているかどうかも、質の変化を知る一つの手がかりになります。

立ち上がるとき、3回に1回は立ち上がれなかったのに、最近はあまりそんなことがない。なども質の変化です。

④生活の中での変化を見てみる

リハビリの時間の中だけでなく、日常生活の中で「以前は避けていたことができるようになった」「前より活動範囲が広がった」という変化がないかを確認します。

リハビリの成果は、訓練の場面より、生活の中に現れることが多いです。

⑤停滞している期間の長さを見てみる

数週間程度の停滞であれば、体が今の状態に慣れている時期である可能性が高く、まだ様子を見てよい範囲だと思います。

一方で、数ヶ月にわたって明らかな変化がなく、生活動作にも改善が見られない場合は、内容や負荷そのものを見直すタイミングかもしれません。

または、その状態を維持できている。といった立派な変化かもしれません。


確認しても変化が見えないとき

上記の視点で確認しても、はっきりした変化が見つからない場合は、感覚のズレではなく、実際に見直しが必要な段階に来ている可能性があります。

その場合は、

目標が今の状態に合っているか
運動の内容や負荷が適切か
生活の中での活動量が足りているか

など、担当のセラピストと一緒に振り返ることをお勧めします。

停滞の原因は一つではなく、複数の要因が重なっていることも多いため、自分だけで判断せず、専門職の視点を借りることが近道になります。


家族が気をつけたいこと

ご家族が「良くなっているように見えない」と感じたときも、同じように複数の指標で確認してみることをお勧めします。

本人の前で「変わってないね」と口にしてしまうと、本人の気持ちがさらに落ち込んでしまうことがあります。

変化が見えにくいときほど、意識して小さな変化を探し、見つけたら言葉にして伝えることが、本人の意欲を支えることにつながります。


まとめ

「良くなっている気がしない」と感じたときは、実際に停滞していることもありますが、見ている場所がズレているだけで、他の部分では変化が起きていることも少なくありません。

比較する期間、見る指標、動作の質、生活の中での変化、停滞している期間の長さ、この5つを確認することで、感覚だけに頼らない判断ができるようになります。

すぐに答えが見つからなくても構いません。

まずは、今見ている一つの指標から視点を広げてみることから始めてみてください。

お読みいただき、ありがとうございました。


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